I LOVE 幼馴染!
俺の名前は五十嵐亮介。部活には入っていないが、自分では高校生活を精一杯楽しんでいるつもりだ。
放課後になれば、友人と駅に出かけたり……。本屋で立ち読みしたり。どうだ?誰もが普通としか言いようがない生活をしてるだろ。まぁな、こちらからしてみれば普通の暮らしが一番楽しいんだ。
どこかの誰かさんとは違い、部活で毎日練習に励み表彰されたりはもちろんしない。
そんな余談はさておき、今俺は何をしてると思うか……?……一人虚しく誰もいない教室で宿題をしている訳だ……。もちろん目的あってのことでだがな。
誰もがやるだろ?好きな人のリコーダーを舐め……。
無論冗談だがな。残念ながらここは高校なんでね……。
「りょう君お待たせ〜〜〜」
いつにもまして、言葉を伸ばしているな……。
こいつの名前は玉置穂、ただの幼なじみだ……というのが向こうが考えている俺との関係だろうな。しかし、俺からすればあいつは天使だ!!!!!
ここで大体の奴は、『お前大丈夫か?』となるだろう。それはたしかに仕方がない……。しかしだな、俺はこいつへの意志を変えるつもりもないし、隠すつもりもないんだ。へへへ……
こいつのことが大好きだ!!!幼なじみという関係は早く卒業したいものなのだ!!!へへへ……
とは言え、俺は既にこいつに一度ふられている……。残念ながらだ。向こうは、
『悪いけど、私陸上以外に興味ないから。あ、でもりょう君のこと嫌いじゃないよ』
だとさ。ひでー話だ。そこで俺達の関係も死んだかとは思ったが、なぜかそれからも前と変わらぬまま続いているんだ。優しいもんだな。
「返事ぐらいしてよ〜。もしかしていつもより遅かったから怒ってるの〜?」
取りあえず、天使との会話は置いておき、話を戻そう。
こいつは、見ての通り文末を伸ばす癖がある。かわいいだろ?まぁ、真面目な話だけはきちんとするらしいな。俺をふったときとか……。
陸上部に所属していて、ハードル走なら市内であればトップクラスらしい。市内であればだが。
「ひどい〜。私のこと空気だとか思ってるでしょ〜?」
「すまん、悪かった。大丈夫だ、お前のことはいつでも天使だと思っている」
さっき言ったろ。こいつへの思いは隠すつもりはないと。
「もう〜、照れますな〜」
どうだ?既にストライクゾーンど真ん中入ったろ?俺の気持ちも少しは理解したと見た。
「取りあえず、帰ろうぜ」
「うん〜」
しかしだな、こいつは一体どうやって『ん』を伸ばしているのだろうか……?たしかに伸ばせないこともないが俺が言うとでは全く違う。まぁ、聞かないけどな。
「ところでさ、今日なんでいつもより……」
俺が続きを言いかけたその時だ……。
「またまたお二人さんはおあついね」
……、チッ……。俺の天使との貴重な時間を遮るとは……。しかも今ね、会話中なのわかるのかいキミ?
この邪魔なやつ(今だけ)はだな、福田だ。取りあえず今現在は、二人の邪魔しかしない名字しか紹介されないキャラだ。天使の穂ちゃんとは扱いが違うとかは気にしないでくれ。
まぁ、説明するなら野球部のキャプテンで俺と中学二年生以降クラスが毎回同じという腐れ縁で結ばれている関係だ。そんぐらい。
「なんだ、お前は?」
「酷くね?なぁ玉置、お前の犬がなんか言っていているぞ〜」
「え〜?こんな犬身に覚えがないけど〜?」
酷くね?俺犬?しかも覚えがないけど?どういうこと?
「うそだよ〜りょうくん〜。酷いなんて言わないで〜」
いや、俺まだ何も言ってないから。まぁ、これほどにまで想い合っていれば言葉も通じるものみたいだな。まぁ、いつも一緒にいるからこいつも俺の気持ちがわかるんだな。ぷぷぷ……
「よし、じゃあな福田」
「まてまて、俺もいまから着替えてくるからしばしお待ちを……」
「じゃあな〜。ハハハ」
「待て待て、いや帰らせんぞ……。いまからだな校門全て閉鎖してやるからな」
「そんなことやる暇があったら着替えることだな」
バカなので、そこで納得して着替えだす……。発想からして酷かったもんな。
福田……。悪いが、最近勉強でストレス溜まっていてな、もうこいつと二人でいなくては暴走しそうなんだ。悪いな。
一応だが、変態な行為とかは考えてないからね!
「そんなことしたらかわいそうだよ〜。待とうよ〜」
「悪いが、俺はお前と二人でいたいんだ。分かるかい?この気持ち?」
「もぅ〜」
いまの言葉もよく伸ばせたものだ……。かわいい……。
てか、今の発言かなり重傷だよな。まぁ、いつものことだな。
その後俺らは、くだらない話を(こいつと話せばくだらない話も幸せだったが)して、穂の家についた。
「今日も私の家に泊まっていく〜?」
勘違いするなよ?俺らはそういう関係ではないぞ。まぁ、次期になるがな。……これにはふか〜い事情があるんだ。その話はまた後だが。
「今日はパス。家でしたいことがある」
「そっか〜。じゃあまた明日ね〜」
「おう、じゃあな」
「バイバーイ」
無駄にネイティブな発音だった……。ちなみに、俺の家はこいつの隣の隣の家だ。
「ただいま……」
なんて言ったが、俺の家には住人は現在、俺だけだ。両親はお互い研究家で、親父はアメリカで研究中。母は日本の研究所をあちこちまわっている。母はたまに帰ってくるが、それでも半年に一度で、父は中学二年生以降一度も帰ってきていない。
だから俺の家には人がいないはずだった。なのに今日は違かった……。
「おかえり」
……?有り得ない話だ。誰の声だこれは?まさか泥棒か……?泥棒が返事をするか?
二階から声が来たのは分かった。二階に荷物などがあるのは唯一、俺の部屋……。つまり、俺の部屋にいる可能性が高いだろう。泥棒ならだが……。
忍び足で俺の部屋のドアに近づいた。そして勢いよくドアをあける……
「あ、亮介久しぶり〜」
……誰だこいつ〜?なぜ俺の名前を知っている?
しかもあれは俺の大事なケーキではないか!なんで食べてるんだよ。疑問点が多すぎるだろ!
「あの〜、失礼ですがどちら様ですか?」
てか、俺は失礼ではないだろよ。勝手に部屋にいるやつが失礼だよ。うん正論。俺が正しい。
「やっぱり覚えてないか〜。私の名前は五十嵐薫、アメリカから帰国したあなたのお姉さんです」
「……。すいませんもっかいお願いしますか?」
あまりにも、衝撃的だったので聞き返すことしかできなかった……