いつだって恋人は予想外の答えを出す
基本的にはなんでも”与える”ということが好きだ。
愛情も、それを伝える行為も。それ以外にも、好きな食べ物を食べさせたり、相手の行動を代わりにしたりすることも。
現に、クリスティアの日常行為は俺がやらせてもらうことも多い。恋人ならではな髪を洗う、乾かすことをはじめ、行き過ぎたものなら時に歯磨きだとかも。それらはこちらの、ある種の欲求を満たすためにやっていると言ってもいい。
そのくらい、もとより”与える”という行為が好きだと自覚がある。
「ん、む」
「……は」
キスも、それ以上も。こちらからするのが好きだ。
「もう一回」
「んぅ?」
行為の後。
トロンととろけた顔のクリスティアに、もう一度キスをねだって。ふわふわした彼女が目を閉じたのを合図に、また口づけを落とす。
軽く汗ばんだからだが触れあい、恋人の少し低い体温が気持ちよくて、無意識に抱きしめた。心地よさに目が自然と落ちる。
「ん、む」
「……」
「ふ、ぁ?」
少しだけ舌先をクリスティアの唇へ当てれば、行為の後で緩んでいる彼女の口はいとも簡単に開く。そこに侵入していって、あたたかい口内を楽しんだ。
「ふ」
「っは」
上あごを撫でて、少し強めに舌の先をもてあそんで。また反応し始めるクリスティアを堪能してから、口を離す。
「っぁ」
「……」
どこか物足りないと言いたげな恋人に、そのままもう一度と行きたくなりつつ。
「……」
どこか、その物足りなさを訴える彼女にいたずらをしたくなる心もあって。
恋人の頭を撫でてやりながら、さぁどうするかと悩んでみる。
基本的に”与える”ということが好きだ。快楽も、愛情表現も、なんでも。だからこのまま、愛しい恋人にまた愛を与えるのもいい。
ただ、たまに。
”してほしい”というのも、確かで。
ましてや愛情表現が今までできなかった恋人が相手ならなおさら。控えめとはいえ、できるようになったのなら、たまには、とそう思ってしまう。
いつもなら、男ならではというのか、物足りなさそうな顔をされればこちらから行くけれど。
今日自分は”してほしい”気分らしく。
すりよって、一度恋人の目元にキスを落としてから。
「クリスティア」
「んぅ…?」
あまく、呼んで。
「キスをしてほしいんだが」
そう、ねだってみた。
恋人を見れば、俺の言葉を理解するべくぱちぱちと瞬きしている。
普段なら、こう言えば理解が終わると真っ赤になって首を横に振る。それはそれでかわいいが、今の、いわゆる理性が緩んでいる状態なら少しくらい、と期待もしたい。そう思って反応を待てば。
「…ちゅー?」
「あぁ」
理解した彼女は、かわいらしく首をかしげて聞いてきた。そうしてまたぱちぱち目を瞬かせて。
「…」
照れくさそうに口元を隠すように、身を縮こませる。
「たまにはしてくれないか?」
かわいさに口を緩ませて、目元にまたキスをしながらねだってみる。普段のような、けれど普段とは違う反応にそれだけでも満たされるけれど。
どうせなら、欲求を完全に満たしてほしい。
それを口にしたいのをこらえて、甘えるようにすり寄ると。
「!」
さらっと、髪が撫でられた。
見下ろした恋人はまだどこかフワフワしている様子。してくれるのだろうか、と期待を膨らませつつ、待った。
「リアス」
「うん?」
甘い声に、応えて。
「いまね」
「あぁ」
「起きれない」
今度はこちらが目を瞬かせて、恋人を見やる。口を開こうとしたら「だからね」と言ったので、言葉を発するのはやめて、再度待てば。
「ぁ」
と。
かわいらしいのに、どこか色気のある口の開き方で、恋人は俺を見た。
それは、最中にだけする、恋人からのキスのおねだり。
ぐっと、なにかがこみ上げる衝動を感じながら、その唇を撫でた。
「一回だけ」
「うん?」
「リアスから、して?」
そしたら、いっぱいする、と。
これはもう止まらないだろと言いたくなるようなことを言うから。
「はっ」
思わず、笑って。
「仰せのままに?」
彼女からのキスがしやすいように。お望み通り、身をかがめて恋人へとまたキスを落とした。
『いつだって恋人は予想外の答えを出す』/リアス




