過去(欠片)
僕の髪は、元々は多くの人と同じ黒色だった。でも、ある日から薄紫に変わってしまった。
それは、3年前の話。
僕が通っていた中学校には、赤坂という名前の生徒がいた。彼は一軍の最上部にいて、僕ら三軍たちを思うがままに動かしていた。友人だった雪斗も同じ被害に遭って、髪色が白色になっている。
ある日のこと。赤坂が怖くなって、黙って本を読んでいると、急に赤坂がやってきて、「今日の放課後、体育館裏に来い。来なければ、どうなるかわかってるよな?」と言ってきた。またパシリの命令かな、と僕は思った。なぜなら、こういうときにはいつもパシリを命令してくるからだ。
――しかし、その日は違った。
体育館裏に行くと、赤坂の他に何人かが待機していた。おそらく取り巻きだろう。怖くなりながらも向かうと、急に漂白剤を頭にかけてきた。
「お前みたいな奴には白髪がお似合いだ」と言いながら、いくら拒んでもかけてくる。僕は思わず逃げ出した。
最悪、黒髪が傷つくことはなく、色も抜けなかったが、ストレスのあまり色が完全に抜け落ちてしまった。それでは赤坂の思うがままになっているので、僕はその日のうちに美容院に行って髪を染めた。色が抜けてそうなったかのようで、今後漂白剤をかけて来なさそうな色に。そこで、僕は薄紫色を選んだ。翌日、学校に行くと「チッ、染めやがったな」と僕に言ってきたが、それ以外は何もなかった。
それから数日経ったある日。
その日は文化祭の前日で、個人の展示を所定の位置に置き、家に帰った。
翌朝、準備のために教室に行くと、僕の作品がボロボロになっていた。犯人は分かりきっていた。でも、口出しなんかできない。その日はずっと体育準備室に籠もって泣いた。「こんな世界、抜け出せたらいいのに。」と思いながら。次の日から、僕は学校には行かなかった。自宅の自分の部屋に閉じこもって、PCと向き合いながら。ネット上で生きる意味を探した。そうして、あるものに出会った。それが、「歌い手」である。それからは親を説得して、「歌ってみた」などの動画を投稿し続けた。そうすると、気持ち悪いほどに人気が出た。中学は卒業まで休学し続けた。誰にも同じ目に遭ってほしくないし、赤坂と顔を合わせるのも辛かったから。そんな中でも雪斗は僕を励ましてくれた。いじめの現状を写真に撮ったり、証言を集めてくれたりしてくれた。僕らはそれらを警察に提出。赤坂は傷害や殺人未遂の罪で逮捕された。が、不起訴となった。理由は分かりきっている。赤坂の家は金持ちだ。おそらく買収だろう。でも、同一の中高一貫校だから、嫌でも顔を合わせることになる。しかし、それは杞憂に終わった。入学式に赤坂は来なかった。今思えば、うまく細工をしたのだろう。




