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悲劇
ある日、僕と二条さんは涼しくなりつつある昼下がりの校内の通路を歩いていた。「涼しいね」「そうだね」と他愛ない会話をしながら、帰路に就く。
その途中、何だか嫌な予感がした。
刹那、僕は叫ぶ。「二条さん!伏せて!」二条さんはすぐにその声に従って伏せる。
――その刹那。二条さんのすぐ上をナイフが飛んでいった。
「良かった…」と僕は呟く。
しかし、二条さんは青ざめたままだ。
僕は思わず「どうしたの?」と聞く。
二条さんは震える声で「せ、背中…刺さってる…」と言う。
――僕は気づいていなかった。自分の背中にナイフが刺さっていたことに。
直後、僕は吐血した。遠のく意識の中、電話で救急車を呼ぼうとする。発信ボタンを押そうとしたところで、意識が途切れた。




