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理由
「櫻井さん、好きです。付き合ってください!」
ある春の日の放課後、俺は告白されていた。
「ありがとう。気持ちはうれしい。でも、どうしても付き合えないんだ。ごめんね。」
「…そっか。」と相手は言って戻っていった。
俺も家に帰ることにした。
でも、なんでなんだろう。俺に告白する理由がわからない。
薄い紫色の髪に、紫と緑のオッドアイ。
そんな異端だと言っているかのような姿なのに、告白してくる。
顔が整ってるだの、運動も勉強もできるだの、何かと理由をつけてくる。
そもそも、僕は恋愛できないのに。
家に帰り、宿題を済ませてパソコンを開く。押し入れから使い古したマイクを取り出す。
俺が付き合えない理由。
それは、俺が歌い手であることだ。
親は最初は反対していたが、渋々認めてくれた。貯めていたバイト代でマイクとパソコンを買い、活動を始めた。
そんな俺でも、気になっている人はいる。それは、同じクラスの二条さんだ。
彼女はなんでもできる。
だから、いろんな人からよく告白されていると聞く。でも、ほとんどは顔が可愛いからと言っているそうだ。彼女の内面を見ている人はほぼいない。だから、彼女は本当に疲れているように見える。




