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仕切り(調整)役
衆議院第一議員会館正門受付。
墨紺のスーツにマスク姿、厳つい『品の良い男』が立っている。
背広の内ポケットからモンブランのボールペンを取り出し、面会用紙の氏名欄に『安藤正輝(調整役) と流れる様に書く。
用件欄には「陳情」に丸を付け、受付に提出する。
受付の女子職員が受話器を取り、内線番号を押して行く。
「受付です。アンドウ・マサテル様が面会です」
金井事務所。
「はい。お願いします」
安藤は入館用紙を衛視に提出。
衛視は控えをちぎって渡す。
ロビーでエレベーターを待つ安藤。
エレベーターのドアーが開き、十階のボタンを押す。
ドアーが閉まりエレベーターが上がって行く。
十階。
安藤はビトンのセカンドバックに手土産の「紙袋」を提げ、俯きかげんに廊下を歩いて行く。
すれ違う年配の男性秘書が振り返って、
「? 安藤サン」
安藤は立ち止り男性秘書を見て、
「おお、矢吹サン」
矢吹が、
「あれ、今日は?」
「え? ああ・・・ちょっとね」
「後で寄って下さいよ」
「 分かりました」
安藤が金井事務所の前に立ちインターホンのボタンを押す。
つづく




