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カバン持ちが行きます

 文教振興会事務所である。


浦口は受話器を持ちながらテレビのリモコンのボリュームを下げる。

結城の声が受話器から漏れる。


 「じゃあ、アラタめてご挨拶に」


浦口、


 「ゴアイサツですか。ハハハ」


結城、


 「まあ、それはそれとして、ちょっと」


浦口、


 「チョット? どうしました」

 「ちょっと、理事長から大所高所タイショコウショからの『ご指導』をアオごうと思いまして」

 「アタシが出来る事なら何なりと」

 「いや~ッ! イヤイヤ。あのね・・・、ウチの『若いモン』を行かせますから話を聞いてやって下さい」

 「何だろう。楽しみにして良いのかしら?」

 「そりゃー、アンタ~、甘~いモンですから」

 「ええ! 甘いモノ? ただ、今、ドクターストップなんですよ~」

 「甘さヒカえめですから大丈夫です」

 「うれしいッ! お待ちしてま~す」


 事務所では政信がカップ麺を置いて結城と浦口の電話のやりとりをジッと聞いている。

結城のめの言葉。


 「じゃ、ノチほど。三時頃に土屋と云う『カバン持ち』がお邪魔します」


浦口、


 「カバン持ちですか。ハハハハ。お待ちしてま~す」


結城が受話器を置く。

政信は呆れた顔で結城を見ている。

結城が、


 「どうした?」

 「結城サン、本当に頭がキレますね。詐欺師みたいだ」

 「何? オマエ、俺をバカにしているんだろう」

 「と、とんでもないです。僕、結城さんみたいなキレる方って今まで見た事ありません。いやー、本当に勉強に成ります」


結城は政信の顔を見て、


 「?・・・」


 松永が台車に『湯呑』を載せて購買から戻って来る。

政信はソレを見て、


 「ご苦労さまです」


松永が、


 「けっこう、この湯呑って売れてますねえ」


結城は振り向いて、


 「何処も大変なんだよ」

 「あ、結城さんにお弁当・・・はい」

 「おお、ワリー、ワリー」


結城は政信を見て、


 「おい、早く行って来いや」

 「いや、まだメシ喰ってないっす」

 「ナニ?」

                          つづく

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