表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/50

答弁書(台本)とは

 衆議院第一議員会館。


カラスが一羽、急いで国会議事堂に向かって飛んで行く。

ここは金井事務所応接室である。


テーブルの上に数枚のペーパーが散らばっている。

昨日の植松からレクチャーされた『答弁書』である。

先生は鼻クソをホジリながら、もう直ぐ始まる予算委員会の答弁書を見ている。


 -答弁書(11時45分~)-

 「11時45分から立憲民主党・大塚政晴先生の質疑に入る(持ち時間は15分)。大塚先生から緊急動議の発動がある。大泉防衛大臣の関係する企業からの一千万円の不正寄付の疑惑に変わる。最初、大塚先生は大泉大臣に質問を投げ掛ける。大泉大臣は答弁席に進み「アレは寄付限度額を超えた額は返金しました」と答える。そこで、野党から一斉に怒号が起こる。大塚先生は防衛省と特殊法人、関係企業の関係、天下りの人数等を大泉大臣に質問する。大泉大臣はそれに答えず、財務省の担当(稲葉吾朗)氏が代わって答る。大塚先生は納得せず、

『何故、財務が出て来るんだ!大泉大臣だッ!』

大塚先生は、さらに鷹市総理に質問の矛先ホコサキを変えて来る。そこで、財務担当の副大臣金井先生が割って入り、代わって答弁を始める(異例)」



 -答弁の流れ-

「総理に代わってこの金井がお答えします」(野党のヤジ)


そしてまず与党に向かってワンテンポ遅らせ、大塚先生を見てニッと笑う。(野党の嵐の様な怒号・「違う、違う!財務とは関係ない! 総理! 鷹市総理だッ!」 ) 

そしてゆっくりと金井先生は野党の大塚先生に聞き返す。(時間をかせぐ事)。

 「立憲さんは献金はどちらからイタダいておりますか?」

大塚先生は

 「質問に答えてない」

と怒る。

金井先生は気にしない。そして、金井先生が、

「立憲さんのS氏が総理のインドネシアからの帰国後、株でイタクフトコロを肥やしたと漏れ聞きおよびます」(怒号とヤジ) 

大塚先生が、

 「まったく質問に答えて無い。言いがかりである」(怒る)

金井先生は、ニッコリと笑う。そして答える。

 *「私の方で立憲さんの、株で儲けた先生方のお名前を調べましょうか?」

大塚先生は、

「ダメダメダメ! そう云う事を質問してるのではない。話をはぐらかさないで下さい! 大泉大臣に代わりなさい」(野党からの怒号とヤジ)

金井先生は時間を稼ぐ。議長が鎮める。審議が一時中断。午前中の審議は終わり。


※金井先生は落ち着いて野党のヤジは聞き流す事。発言は十分以内の持ち時間。


 『金井先生の答弁は以上と成ります。』



 先生は机上の受話器を取り短縮ボタンを押す。


 「もしもし、植松くん?」

 「はい・・・」

 「金井だけどね。今回はペーパーを見ないで答弁するからね。総理の時々見る、あのペーパーの評判は非常に視聴者の印象にに良くない。大体、あれは自分の意見では無い。国民に不信感を抱だかせる。地元でも今日は大勢の私の支援者がテレビを見ている」

 「いや金井先生! 今回は是非、そのペーパーを読んで下さい。先生が脱線すると、また混乱を招きかねません。それに、午後一ゴゴイチで鷹市総理の答弁が始まります。あまり余韻を残しては困るんです」

 「固い事言うな。安心して見てなさい。昔とは違う」


植松は心配そうに、


 「大丈夫かなあ~」


先生が話題を変える。


 「それから僕の前に主計局の稲葉が答えるよねえ」

 「はい」

 「アイツ、一昨日オトツイ立憲の連中と笑いながら話してたぞ」


植松はトボケけて、


 「そうですか?」

 「何でそんな連中と話してるんだ」

 「いろいろ有るんでしょ」

 「いろいろ? ああ、イロイロねえ。稲葉もタヌキだからなあ~。ハハハハ」


と、そこに応接室のドアーをノックする音が。


 「コンコン」

 「うん? おお、客が来た。また答弁が済んだら電話するから」


植松の心配そうな声が。


 「上手くやって下さいよ。一応、私も付きますけど」

 「付かなくて良いって言ったじゃないか」

 「いや、ダメですッ!・・・」


金井が受話器を置く。

松永がドアーを開け、


 「失礼します。先生、一番にお電話が入っております」

 「おッ、そう」


先生は机上の受話器を取る。

優しい声で、


 「はい、金井です」

 「あ、先生ですか。今日は宜しくお願いします」

 「失礼ですが、どちら様でご座いましょうか?」

 「稲葉です」


先生は大声で、わざとらしく。


 「あッら~、誰かと思ったあ。総理の秘書官と声がそっくりだ。ハハハハ」


 財務省主計局である。

稲葉が机の引き出しの中を整理しながら、


 「ハハハハ、センだっては老酒まで頂戴チヨウダイして」

 「ラオチュウ? 私じゃないんじゃないの?」

 「ハハハハ。まあ、それはそれとして、何しろあんな所に呼ばれる事はめったにないもんですから」

 「何を冗談言ってんの。先輩のくせに。私は台本通りにやるから大丈夫! ハハハハ」

 「宜しくお願いします。ところで先生。先生のお父さんはお元気で?」

 「おおッ? オヤジをご存知なの?」

 「何を言ってるん・で・す・か。先生の選挙区は私の地元ですよ」

 「あら~、燈台元暗しとはこの事を言うんだねえ。アンタも群馬だったの。後でうちの秘書にご挨拶に行かせなくっちゃ」 

 「ああ、結城さんはよくお見えになりますよ」


先生はわざとらしく驚き、


 「えッ! そうなの? また無理なお願いをしてんじゃないの。彼は遠慮と云うモノを知らない男だから・・・」

 「いえいえ。いろいろ良いお話を聞かせてもらってます。これからも宜しくお願いします」

 「何言ってるの。こちらこそじゃないの。ハハハハ」

 「じゃ、すいません。後ほど、本会議場で!」

 「そうね。頑張りましょう。ハハハハ。じゃ、どう~ぞ」


先生はそっと受話器を置き、ソファーに座り直して独り言をいう。


 「稲葉も役者だな~あ」

                          つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ