表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セカイのイドラ  作者: 月島ロロ
ミタメのイドラ
4/4

第一章 2話ケイヤクのイドラ

「「「「シキ」」」」

四人の声が重なる。

その声が月折暦———否。シキの鼓膜を震わせた瞬間、全身に激痛がはしる。

鼓動がはやまる。

視界が霞む。

体が言うことを聞かない。

四肢の力が完全に抜け、前の倒れるその瞬間、白髪の幼女が誰よりも早く動き、受け止める。

そして流れるように抱き上げ、ソファに寝かせる。

春愛が叫ぶ。

「カン!!!きなさい!!」

「ただいま。」

「治しなさい」

「お姉様の仰せのままに。」

【カン】そう呼ばれた少女は、シキが寝かせられたソファの横に膝をつくと、シキの額に手をかざしす。少女は目を見開き、息を呑む。そして顔を歪めながら言う。

「ごめんなさいお姉様。私にはこれ、治せないです。」

「「「「!?」」」」

「は!?」

驚くのもそのはず。【カン】そう呼ばれた少女は、その学校に存在するすべての生物の中で、最も高い治癒能力を持ったものなのだから。

「お、お願いよカン…。無理なんて、そんな…………。」

「あ、お姉様。ご安心を、“私には”治せないだけですので。」

「は?」

「聖奈様少々お願いが…」

「聖奈、必要?シキ、治せる?」

そこにいるすべての生物はおそらくではあるが同じことを考えた。お前に治せないものを治せる物いるわけない、と。だがしかし、学園一の治癒能力の使い手の言うことはやはり、と言うべきか、正しかった。まあ、結論から言うと、月折暦ことシキ、以後呼び名が2つあるのは面倒くさいのでシキと呼ぶこととする、の意識は倒れてから10分もしないうちに復活に成功したのである。どうやったかって?答えは簡単。そもそも私はどこも悪くなかったのである。なんなら体調が良すぎて倒れたと言っても過言ではない。

「いやーー。ご心配おかけして申し訳ございません。」

「ほんとだぞ!!」

「まあ心配はしましたけど、暦さんが無事ならよかったです。」

「あ!シキでいいですよ!」

「いいんですか?また倒れたりは…………。」

「あぁ、それに関しては皆さんが気をつけくだされば。はい。大丈夫です。」

「私たちが…………?」

「はい。まあそれについては今からお話ししますね。」

だが、この“血”について語るのには欠かすことのできない壁がある。

——————————————————否

それを確実なものにするために、安全策を取る。

「私の“血”についてお話する前に、皆さんにやって欲しいことがあるんです。」

私が提案したのは「魂の契り」を交わすこと。

“魂の契り”種類は「自然」属性は「思い」効果は「魂」。使用者、契約者が共に発動を許可した時のみ発動する。※発動時点では契約は完了していないものとする。契約完両前、使用者は契約者に契約内容を嘘偽りなく述べる義務がある。契約完了後、契約者は、その契約内容を守る義務がある。契約完了は、使用者が決定した契約者全員が承諾した時点とする。使用者は、契約内容を決定および改訂する権利、契約を隠す権利が与えられる。契約者は契約内容を知る権利、契約を拒否する権利を与えられる。契約者が使用者の提案した契約内容に不満がある場合改定の進言及び契約の拒否が認められる。しかし、契約を拒否したならば、スキル発動から、契約を拒否した時点までの記憶を一切失うものとする。また契約内容にそぐわない行動をした場合、契約内容、契約に関するすべての記憶を失うものとする。また、使用者は、スキル発動時点で契約を破った際のペナルティを決めることができる。以上の内容は神によって定められたものであり、変えることのできないこの世の理である。



使い所が難しく、入手難易度も高いため、あまり使われないスキルだ。認知度も低いのか、提案した時の四人の反応は曖昧な物だった。一通りスキルの説明をした後、発動を許可してもらった。

「では皆さんに契約内容を掲示します。」

このスキルは発動した時点で現実世界とは隔離された異空間に飛ばされる。任意だが周りに契約内容を隠すことができるのだ。

契約内容の開示とともに、契約内容が示れた電子版がそれぞれの前に浮かび上がる。

「では読ませていただきます。」

「第一にこの契約及び契約内容をここにいる使用者ーシキ、契約者ー春愛、雨音、風奈、聖奈以外に伝えることを禁ずる。

第二に使用者に関する今後一切の強制力をもった命令及び権力の行使を禁ずる。

第三に契約者は、使用者に対しスキルの発動を拒否することを禁ずる。

第四に契約者はこの契約を終えたあと使用者の許可なく使用者について調べることを禁ずる。

第五に契約者は使用者に危害を加える行動をするとことを禁ずる。

第六に第五番目までの契約内容を破った際には、月折暦、シキの一切の情報を忘れ、契約者と、使用者が出会う前まで世界が巻き戻るものとする。しかしシキはそれを覚えているものとする。

なお、以上のことは契約が完了した瞬間世界の(ルール)に追加されるものとする。


この六個の内容に承諾してくださるのであれば、画面の承諾ボタンを、もし疑問があるならば遠慮なくお聞きください。


「なぁ」

「はい、なんでしょうか」

「この、第五条、危害っていうのはどのくらいまで含まれるんだ?」

この質問は想定していたが、雨音さんにされるとは…………。

「それに関しては、致命傷を与えたらと言う判定です。もし皆さんが私に危害を加えていると言う意識がなくても、私からお願いしたとしても、致命傷を与えられたら、危害を加えられたと私が思った時点で、世界も同じように判断します。」

『聖奈さんが承諾しました。』

『雨音さんが承諾しました。』

『風菜さんが承諾しました。』

質問に答え終わるとほぼ同時に3人の承諾が私に通知される。あとは春愛さんだけだ。

「ねえ、シキその、もし、スキルとかで魅了が掛かっちゃったりしたら、それは危害判定?」

「ああ、それは心配ありません。」

「ほんとに?」

「はい」

「ほんとのほんとうに??」

「はい本当の本当です。」

「そう………。ならいいわ」

『春愛さんが承諾しました。』


これより契約を完了します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ