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セカイのイドラ  作者: 月島ロロ
ミタメのイドラ
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第一章 1話 ナマエのイドラ

 

 この世界にはスキルというものが存在する。


 そう、ゲームとかで手に入れられるやつだ。スキルには種類がある。なんらかの条件を満たすと、誰でも手に入れることができる最もオーソドックスなスキル「生活スキル」、一人一個五歳になると得ることができる特殊スキル「固有スキル」、約五千人に一人、持って生まれてくると言われている、超人的なスキル「ユニークスキル」などがある。国は、ユニークスキル持つものをを神の子と呼んだ。そして政府は「神の子が生まれたら、政府に預けること、預ければ、その家族は一生安全な暮らしが保障され、神の子だと知った上で政府に預けなかった場合その家族は極刑とされる。」という決まりを作った。この決まりは、神の子を保護するための決まりなのか、支配するための決まりなのか、今となっては知ることはできない深い謎だ。まぁ個人的には前者であることを願う。そして預けられた神の子たちは国立学園「ポイスク」に入りスキルの使い方から一般常識まで色々なことが教えられるそうだ。国立学園といっても一般人が入れないわけではなく普通科に入ればの神の子と同じような授業を受けることができる。だが受験の難易度は信じられないほど高く、学費も想像を絶するほどに高いので誰でも簡単に入れるというわけではないのだ。まあそんな神の子やポイスクについてなんて、普通に生活している上ではさして気にする必要はない。ましてや私のような普通の高校生にとっては教科書の中の世界である、はずだった…………。しかしなんということだろうか、そんな国立学園ポイスクに私こと月折暦は二月と言うなんとも微妙な季節に転入することになってしまった。しかも、中三の二月なんてもう春休みだよ。なんなら受験生だったよ。意味わかんないって……。なんでそんな事になったかって?そんなもん私が知りたいわ。まじで。まぁ、大まかな理由はわかっている。おそらくだが、私の体にユニークスキルを意味する、紋様が生まれたらだろう。ユニークスキルは生まれた時から持っているものでありユニークスキルを持って生まれてきた赤子は体のどこかにスキルにちなんだ紋様があるはずなのだが、私はそれが一五歳の誕生日にできたからだろう。まあ幸いすぐに気づき赤子の時に検査もしていたので突然変異として検査を受けただけで済んだのだが。危うく一家全員死刑になるところだった。まぁともかく国立学園に入ることができるのはすごいことだし喜ぶことなのだろう。しかも学費全額負担というのだから尚更喜んで入学するだろう。だが私はこの学園に通いたくないのだ。なぜか?それは————。

「あの〜〜」

 ポイスクの校門前でしばらく止まっていたら背後から声が聞こえた。校門の前で棒立ちしていたらそりゃ不審だられる。振り返るとそこにはをポイスクの制服を着た少女が立っていた。彼女は生徒だろうか。それにしてわ少々服装が奇抜すぎないか?私が少し首をかしげると、彼女は意を決したように口を開いた。

「月折様であっていますでしょうか?」

 え??様⁉︎動揺を隠せないままとりあえず答える。

「えっと……はい月折は私です…。はい。」

 そう答えると彼女は少し安心したような表情になり、とてもいい笑顔で衝撃の言葉を放った。「学園長がお呼びです。」と。

 私はまだ入学以前に学園の敷地を跨いですらいないのに、もう問題を起こしたのだろうか。思い当たる節がない。どうしよう、一家全員逮捕とかになったら人生終わりだ。詰んだ。よしもう諦めて土下座しよう。うん。それがいいきっと誠意を見せたら許してくれるはず。そんなこんなで方針が決まると、学園長室に案内してくれている少女がなぜか急に立ち止まった。そして正面にある壁に手をついて小声で何かを唱えた。すると、体が宙に浮き私たちの周りが淡い光で包まれ、気づくと私の正面には夥しいほどの数の本に包まれた執務机に、多価そうな椅子。そして、それに座る金髪の髪を綺麗にセットした男いた。おそらく彼が学園長だろう。なんらかのスキルで陰蔽されていたのだろうか。まあそんなことはいい。先程決めたよう渾身の土下座を披露しようとした私の動きは止まった。なぜって?それは——彼が大きな声で私に謝罪の言葉を述べながら頭を下げたからだ。

「本当にすまない」

 何に対して謝られているのかがわからない。あまりに驚きすぎて固まってしまう。しかし学園長?は頭を下げた状態で、動かない。状況説明を求めようとここまで案内してくれたた少女に目を向けると、そこには先ほどまであった少女の姿は無かった。どうしようと焦ると、やっと口を開いてくれた。

「こちら側の不手際で、神の子が編入するという今までにない状況が起こってしまったうえに、その情報が周りの生徒におかしなように伝わってしまった。」

 ん?

 ん?

 ん?

「えっと?学園長?であってますか?」

「あ、ああすまない自己紹介が遅れた。国立学園ポイスク学園長アヴグストスだ。」

 アヴグストス。なんて言いづらい名前だ。

「間違ったふうに伝わったというのは?」

「本当にすまないが」

 そこまで言って学園長の顔が曇った。突然立ち上がると私の額に手を当てて「少し静かにしていてくれ。」といい何かを唱えた。その瞬間。キーンと大きい音が鳴り、白く腰まで伸びたサラサラの髪を靡かせた純白のドレスに身を包んだ小さい幼女と軽くウェーブのかかった茶色っぽい髪のいかつい格好をした少女が現れた。白い髪の幼女は部屋の中を見渡した。

「葉月、どこに隠したの?」

 葉月?だれのことを指しているのだろうか?

「なんのことでしょうか?聖奈様」

「とぼけるな、ウズキが教えてくれたぞ!さっさと言ったほうが身のためだ」

「ウズキの奴……。雨音様私は脅しも貴方様の命令も聞きませんよ。」

「葉月、風奈の命令よ。」

「え⁉︎そ、それは本当でしょうか?聖奈様、雨音様?」

「うん。」

「ああ。」

「まじですか………すいません月折様。風奈様の命令に背くことはできかねます。」

 学園長はそういうともう一度私の額に手を当てて「解除」と唱えた。その瞬間もの凄いで白い髪の聖奈と呼ばれていた幼女が私に抱きついてきた。

「聖奈てめー抜け駆けはずりーぞ」

 そう言って雨音と呼ばれていた少女が引き剥がそうとするが、私に抱きついてきた少女は一向に私から離れようとせず、ずっと、小声で何か言っている。雨音は小さく舌打ちをして「まあいいこいつごと連れて行くか。」そう言って聖奈ごと私を持ち上げた。

「じゃあな、葉月!あ、ちなみに風奈の命令って嘘なー!」

「な!ちょ雨音様⁉︎」



「嘘だろ……最悪だ…私だってゆっくりお話ししたかったのに……あぁ、風奈様に怒られる……」



そんな学園長アヴグストスの心からの叫びは、誰にも聞かれることはなく空に溶けていった。




「よっ」

 気がついたら私は私よりも身長が低いであろう少女にお姫様抱っこされて禍々しい扉の前に居た。ちなみに私に抱きついている少女は体のサイズ変更が可能らしくとても小さくなっていまだに私に抱きついている。

「あのー……」

「ん?なんだ?」

「ここはどこですか?」

「部室だ!」

「部室……?」

 なんの部室だ……?

「あっ、てかおろしてくれませんか?恥ずかしい……。」

 自分より体の小さな少女にお暇様抱っこせれていると言う状況に恥じらいが襲ってくる。

「……ヤダ」

「えぇ」

「だって逃げられたら困る。」

「逃げるも何もここがどこかすら正確にわかっていないんですよ?逃げれるわけないじゃないですか……。」

「ほんとか?」

 そんな不安そうな目で見られても……

「はい、本当ですよ。」

「ほんとだな?」

「ほんとですって。」

「じゃあ、おろすぞ。」

「はい、お願いします。」

 渋々と言った感じで下ろしてくれた。相変わらず、幼女は私に張り付いたままだ。

「なあ、お前。名前なんて言うんだ?」

「私ですか?私は月お」

「月折暦さん、ですよね?」

 私が名乗ろうとした瞬間扉が開き、中から白衣を着た紺色の髪を低めで一本に結んだ眼鏡をかけたキリッとした美人が出てきた。

「えっと?貴方は?」

「いきなりごめんなさい、私は風奈。一応ここの部の部長をさせてもらっているわ。」

 風奈?先ほど学園長が逆らえないって言ってた⁉︎

「ちょ、ちょっと待て」

「なんだ?雨音」

「月折暦ってもしかして本名名乗ってんのか?お前。」

「え?はい……何か問題でも?」

「問題大有りだろ‼︎おい風奈、暦、行くぞ!」

「え?行くって、どこにですか⁇」

「祭壇」

「……祭壇?」

 移動の最中に風奈さんに「祭壇」について説明してもらった。どうやら神の子と発覚した赤子は、まず神殿にある祭壇で「神」に名前をつけてもらうらしい。以降神の子は神からもらった名前を名乗るんだと言う。なんでも身元がバレて、神の子の家族などが危険に晒されるのを防ぐためらしい。神の子にとって、家族は人質になってしまう政府にとって危険存在らしい。

「おい、ついたぞ」

 祭壇について聞いていたらいつのまにか目的地についてた。

「ちなみにこの子とあなたはなんていうんですか?」

「ん?私か?私は雨音だ。お前にずっとくっついているそいつは、聖奈だ。」

 祭壇は学校の中あった。三メートルほどの豪華な扉を開けたら、教会のようなステンドグラスの窓と菱形のそれぞれのへんの中間がないような大きな模型。祭壇というのに相応しい、神を表すような人形、教卓のような少し手前が低く斜めった木製の教壇。床には、言葉では表せないような不思議な模様がえががれていた。雨音さんがに続いて教会に足を踏み入れた瞬間、体が扉の反対側にある壁まで弾き飛ばされた。咄嗟に受け身を取ったので無事だったが、かなりの勢いで弾き飛ばされた。ちなみに私にさっきまでくっついていた聖奈ちゃんは何故か吹っ飛ばされていない。

「暦さん⁉︎」

 風奈さんがすぐに駆け寄ってきてくれた。聖奈ちゃんは顔面蒼白で雨音さんはびっくりしすぎて固まっていた。

「だ、大丈夫ですか⁉︎け、怪我は……?」

「あはは…大丈夫です。受け身とったので。」

「ほほほ本当に大丈夫なのか⁉︎暦⁉︎」

「ななななんで?なんで?」

 風奈さんと雨音さんは私の体をペタペタ触りながら怪我がないか確認している。聖奈ちゃんはうつむきながら何か呟いている。私自身に怪我は全くないが校内の壁と私服を少し傷つけてしまった。

「私怒られますかね?」

 またやってしまったと、どうすれば良いか考えながらしゃべる。

「「え?」」

「いやー壁傷つけちゃいましたし学園長あたりに怒られますかね……?」

「は?え?いやいや、なんでお前は壁が傷つくて言うか凹むくらいの勢いで吹き飛ばされて無傷なんだ⁇人間の体ってそんなにつえーのか?」

「私こう見えても体強いんですよ」

 しまったな

「ふふ、体が強いからと言ってこんな衝撃に耐えられますか?普通。まあ学園長は大丈夫だと思いますよ。あの人が暦さんを怒るとは思いませんし……。もし暦さんを怒るなんてことしたら私が怒りますもの。」

 そ、そういえば学園長は風奈さんのことを様付けしてたし、命令に逆らえないとか言ってたような………。あれって本当にこの風奈さん⁉︎

「ん?どうしました?」

 ややばい風奈さんの笑顔が恐ろしく見えてきた……。き、きくのはやめておこう。権力者の闇なんて知りたくない……。

「い、いえなんでもなんです…。」

「それにしてもなんで暦は祭壇に弾かれたんだ?」

「あーー。多分ですけど……私の血が関係しているんじゃないかと思います。」

「「「ち?」」

「ちって」

「えっとその……ここでは、少し……」

 やばい口が滑った。

「わかった部室に行こう。」

「おい聖奈、行くぞ!」

「え!あ…うん。」

 部室。先程雨音さんに連れられた時に紹介された部室だろうか。

「部室って、何部なんですか?」

「万屋部」

「よろずやぶ⁇」

「まあ詳しくは後で話す。」

「どうせ入部の時に説明するしな。」

 ん?入部?聞き捨てならない言葉が聞こえた気がしたぞ?


 

「ついたぞ。まずは、暦の話だ。」

 雨音さんが押すと、禍々しい扉が開く。中は意外に広く、人が四人くらい座れる見ただけでフカフカだとわかるソファーが一個。人をダメにしてしまいそうなソファーが二個。そしてそのソファー三つに囲まれた、膝下くらいの机。高そうなモニターセット。そしてソファーで寝転んでくつろいでいる謎の女性。

「あれぇ?おかえりーーー。はやかったねぇー。名前、決まったー?」

「春愛。帰っていたのか。それなんだが、なぜか暦が祭壇に入れなくてな。」

「へぇーそんなことあるんだぁ。じゃあ、私たちでつけてあげるー?」

「おお!それいいな!ナイスアイデア春愛‼︎」

「あのー風奈さん、この方は?」

「ああこいつは、」

「はいはーい自己紹介ぐらい自分で、しますよぉー。暦ちゃん初めまして!なんでも部所属、春愛だよぉよろしくねー。」

「あ、初めまして月折暦と申します。」

 そう言って頭を下げると。頭を軽く叩かれた。

「馬鹿野郎、簡単に本名なのんな!」

「ええ、いいじゃないですか自己紹介くらい……。それに春愛さん?私の名前もう知ってるっぽいし。雨音さんもさっき私のこと暦ってよんでたじゃないですか!」

「よくねーよ!名前はいいにしても苗字はダメなんだよ、人に教えちゃ。」

 は?知らないし、てかそこらへんの説明されてないし。

「よしまあそんなことはおいといて!先にこいつの名前決めよーぜ。」

「ええ、勝手に決めないでくださいよ、てか殴ったこと謝ってくださいよ。」

 私が謝罪を求めた時には雨音さんはもう私の名前を決める準備をしていた。

「仕方がない、すまないが暦、こうなった雨音はなかなか折れん。先に名前を決めてから暦の話を聞くとするか。」

「ええ、私の意思は?」

 そんな私の叫びは三人いや四人にには届かず、みんななんだかんだ言ってウキウキで私の名前について話し始めた。私抜きで。五分ほど彼女らを眺めていると、ふと雨音さんがこちらを向き、近づいてきた。いつ言い出すべきか。

「来い」

 そう言って雨音は私をみんなが座っているソファーの正面に座らされた。言い出せる雰囲気ではない。

「俺らがそれぞれ名前を考えたが、俺らだけの話し合いじゃなかなか決まらん!だから俺たちが考えた名前の中からいいと思う名前を選べ!まあ選ばれるのは私に決まってるけどな!」

 驚くほどの自信だ。てかみなさんの意見が一致してたら、勝手に名前決められるとこだったのか。しかも、四人が考えた中から選べって……。

「それ決定事項ですか?」

「そうd」

『スパン!』雨音さんが私の発言を肯定すると同時に何かを叩くような音が響いた。

「馬鹿ですか?あなたは。」

「はー?おい風奈なにしてくれてんだ!」

 どうやら叩かれたのは雨音さんの頭で叩いたのは風奈さんらしい。

「あのですね?勝手に名前つけられるって決められて、その上知り合ってまもない私たちが考えた名前から絶対に選べ、ですって?あなたもも良く分かってますよね?名前が大切なものって、一生ものなんですよ!あなたの、いや私たちのわがままで名前決めることになったんだから。ちょっとは配慮しなさいこの阿呆め。」

 その通りである。

「はぁー?」

 このまま喧嘩されては入学初日が喧嘩で終わってしまうそうである。そもそも学園長の話も途中で抜けてきてしまってるし、早く終わらせたい。

「まぁとりあえずみなさんが考えた名前教えてもらってもいいですか?」

「よしきた!」

 そんなほらな?みたいな顔をしても全体的に間違っているのは雨音さんである。

「待って。」

「ん?なんだよ、聖奈」

「一人ずつ発表したら、選びずらい。紙、書いて選んでもらう。」

「ん。まあそれもそうだな。みな!」

「お呼びでしょうか?雨音様。」

「紙とペン四つずつ持ってきてくんね?」

「かしこまりました。」

 え?雨音さんが何かの名前を呼んだ瞬間。今までいなかったはずの人が現れ、消えた。そして、また現れ、雨音さんに紙とペンを渡して、また消えた。

「サンキュッ」

「じゃ、書いてくれ」

「「「はーい」」」

「え!いや、あの!い、今のどなたですか⁉︎」

「……?」

「いや、あの今紙持ってきてくれた人!」

「え?あぁ、みなのことか?」

「た、多分……」

「そうか!」

「いやそうかじゃなくて、そのみなって方はどなたですか?」

「ん?みなはみなだぞ」

「えぇ」

「まぁそんなことはどうでもいいだろ!書けたか?」

「うん」

「あぁ」

「えぇ」

 私の疑問は解消されることなく、なかったことにされた。まぁおそらくスキルの関係だろう。一人でそう仮定し納得していると、いつのまにか四人と机の前に座らされていた。机には紙が四枚置いてある。左からそれぞれ、「月奈」「ローリエ」「イリス」「柊乃」と書かれていた。

「よし、暦、どれがいい?選べ!」

「え⁉︎本当にこの中から選ぶんですか⁇」

 これから呼ばれることになるらしい名前をあったばかりの他人が考えたものから選べって……。流石に無理だろ……。でも……結構名前かっこいいな。。月奈は苗字と被るし、二個はカタカナだし、最後はいまいちなんて読むかわかんないし、てか…………。

「…………選べません」

「ええぇ‼︎」

「まぁそうよねーー提案した私が言うのもなんだけど、こんな提案急にされて「じゃあこれで!」ってすぐに言える人なんてそうそういないわよぉー」

「いや、でも……」

「雨音」

「っ!じゃあ強いて言うなら……!」

「雨音、自分の提案、暦に断られたからって、無理やり、選ばそうと、しない。」

「……あい。」

「あの!そのことなんですか……。言うのが遅くなってごめんなさい。私もう、その新しい名前?みたいなの多分もう、つけてもらいました。」

「「「え?」」」

「私の名前は————」

 私の体に紋様が生まれて、たくさんある精密検査をしていたときだ。顔も名前も思い出せないが、作業員たちの会話を聞いたのを覚えている。

『あいつ、◼️◼️◼️以外の◼️から嫌われてるらしいぞ。』

『え?◼️に好き嫌いとか言う感情あるの?』

『しらねーけど、あいつ、◼️◼️◼️以外の◼️にご加護もらってるスキルの影響いっさい受けないらしいぞ。』

『まじか!それ、絶対博士が研究したたがるじゃん。』

『それなー!あいつの担当研究員が、悩んでたぞー、このままだと、ポイスクでの生活が難しいかもしれないって。』

『え?ああ、そっか、あそこ◼️様に名前もらって生活するんだもんね。』

『そうそう、だから、◼️◼️◼️だけをまつる神殿つくらなきゃかって、悩んでるらしいよ』

『まじか!かわいそーー。』



 その会話を盗み聞きした夜、変な夢を見た。

 そこには私そっくりの少女がいた。彼女は、私の頬を優しく撫でた後、両手を私の心臓がある場所へつっ込んだ。そうして、歪に微笑みながら言ったんだ。


「あなたの名前は————。」


 



 こんなことを言ったらきみ悪がられるかもしれないと思って、誰にも言わなかった。だけど、この人たちの前で隠し事をするのが、この名前を言わないのが、どうしよもなく愚かな行為だと言本能が叫んでいる。謎の罪悪感から、まるで罪を懺悔するかのように、言葉を絞り出すように、声を続ける。









「私の名前は———シキ、です。」

みなさまこんにちは、月島ロロです。

いよいよ物語が始まりました。なかなかに濃い内容でしたね!なんか話が飛び飛びすぎて、正直どうしよう!ってなってる……。まあ、がんばります!

次回もお楽しみに☺️

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