表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

またね、大好き

作者: しろかえで

今日は安全安心のしろかえでです(*^^)v

 半ば恋に恋してたあの頃……

 卒業式が終わって、その足で旅立つと言う彼と……

 学校の近くの公園の前の道で

 ドラマか少女マンガのワンシーンの様に背中合わせになって

「じゃあ!」

 とお互いに反対方向へ歩き出した。


 私はやっぱり途中で振り返って

 涙で彼の姿がぼやけてしまったけど……

 あれは……本当に悲しかったのかなあ……


 今、思い返すとちょっぴり苦くて……

 文字通り“苦笑”してしまう。


 あれから私には色んな事があった。

 彼もきっとそうだと思う。

 ふふ!

 だってさ!

 手が触れるのだってドキドキしていたあの頃だもん!

 一番触れ合ったのがお別れの時の背中合わせだよ!

 純情過ぎて居たたまれないよぉ!

 それが今じゃ……お互い()()が付いちゃってさ!


 不貞のダンナと別れて保育士に復職した私と……

 奥様と死別し、忘れ形見の(つむぎ)ちゃんとこの街へ戻って来た彼……


 保育園でバッタリ会った時……彼がとても大人びて見えたのは……きっと辛い影を帯びていたからなんだろうね。

 私は……たぶん、すっかり荒んでたんだろうね。

 彼、私の事、分んなかったから。

 無理も無いか!

 復職した最初の頃は……

 私の顔を見て泣き出す乳幼児が続出したくらいだから。


 それでもね……

 “職員”と“父兄”の間柄だから、あまり大っぴらにはできなかったけど……

 彼とのお付き合いを“飲み友達”から再開して、あれこれ話をする様になって

 私は変わった。

 周りから

愛優美(あゆみ)先生!最近変わったよね!」って言われるくらいに。

 彼も……きっと変わってくれたんだと信じたい!

 うん!

 信じたい!!

 亡くなった奥様には申し訳ないけど……

 私、彼と紬ちゃんに恋してしまったから!


 彼と逢う日は嬉しさと切なさのマリアージュで……

 ついついお酒も進んじゃうんだけど

 今の所、一線は越えていない。

 だって、私、紬ちゃんにも恋してるんだから!

 彼女の事は何時いかなる時でも

 絶対に忘れない!!

 だから私達が飲みに行っている時、彼のお母さんの所に居る紬ちゃんの事を申し訳なく思うし……

 園では……紬ちゃんの事を“贔屓しない様にする”のに必死だ。



 そんなある日……彼は私が注いだビールグラスをコトリ!と置いて居ずまいを正したの!


「明日、紬を連れて亡くなった女房の実家へ行くんだ。紬も来年は小学校だから、今後の事もあるし……」


 こう言われて私……自分の恋の終わりを悟ったから、薄いため息で涙を押し隠して“保育士の私”に戻ったの。


「保育園を退園するなら早めに退園届を出さないと、ひと月余計に保育料を取られちゃうわよ」


「紬は小学校へ上がる迄は今の保育園でお世話になるよ。そうじゃ無くて……明日、()()()()()実家へ行くのはけじめを付ける為なんだ!」


「けじめって?」


 私、本当に意味が分からなかったから聞き返したんだけど、彼、物凄く真剣な顔になって私の手を取ったの!


「オレ!一所懸命に働くから!! 紬の為に、しばらく保育士を休職してくれないか?!」


 一瞬、意味が飲み込めなかったけど……次の瞬間、私は大泣きしてた。


 その翌日、私、彼と紬ちゃんのお見送りに行ったの。


 満面の笑顔で私に両手を振る紬ちゃんと……

 紬ちゃんを抱っこして「じゃあ!行って来る!」ってウィンクする彼に

 私、大声で叫んでた。


「またね!大好き!!」って!!




 

                        おしまい





皆様が温かいお話を書かれるので……

私も書いてみたいと思ったのでした(^_-)-☆



ご感想、レビュー、ブクマ、ご評価、いいね 切に切にお待ちしています!!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
もう二度と離れることはなく、添い遂げてほしいですね。 読ませていただきありがとうございました。
 実は初恋が実ったと云うお話ですね❗❗( *´艸`)  しろかえで様ならではの、ストーリー展開。  ほっこりとするお話。  読ませて戴いた後、とても暖かい気持ちになりましたあ。゜+.゜(´▽`人)゜+…
イイハナシダナー  (*;∀;)  巡り愛仕合せ〜♪  (#^.^#)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ