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異星界で。  作者: 蜜りんご
第4章 星導教会の人たち
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第92話 ラピステラ

 星灯愛(すてら)は今、進退窮まっていた。

 冷汗がダラダラ止まらない。


 笑い飛ばされたはずの「星球儀(せききゅうぎ)は星の生霊発言について、「やっぱり、不敬じゃん?」みたいなことになったわけじゃない。


 星導会長様は、散々わたしのワードセンスを笑った後、何事もなかったかのように、


「さて、では。早速だが、二人の鍵を見せてもらおうか?」


 と、キラキラわくわくした顔でおっしゃったのですヨ。

 そこで、ようやく。

 わたしは、レイシアの「運命を感じる」発言の意味を理解した。

 でもって、ザザザッと青ざめた。


 まっずい。まっずい。まっずいよ?


 だって、わたしの鍵の具現化した姿ってば。


 青と緑の鍵を両手に持った星蔵様――――だよ?

 星球儀をお地蔵様の形にしてみました――――みたいな、星蔵(ほしぞう)様だよ?


 これ、まっずくない?


 レイジンは、なんか普通に感心してたし、肯定的だったけど。

 レイジンは、わたしと同じ、他の世界からの渡り人で、後、こっちの方が重要なんだけど、ほら?

 感性が天チュウさんなところがあるじゃない?

 だから、ほら?

 あんまり、あてにできないっていうか。


「おお。これは、まさしく! あの日、天の海(きょむ)の彼方へ消えていった白い鍵の光!……………………では、ステラ嬢の方も!」

「はい! さあ、星灯愛! あなたも! ぜひ、見せてあげてください! あなたの鍵を!」

「……………………え? ええ?」


 うわーおう。

 いつの間にか、レイシアの白い鍵が出現していた。

 そして、次はわたしの番だって要求してくる。

 いよいよ、進退窮まってきたぁ!


 あ、でも?

 レイシア的には、星導会長にアレを見せても大丈夫だって、思ってそう?

 むしろ、推奨してる感じ?

 ってことは、何も問題ない?

 わたしが、心配し過ぎてる?


 いや、でも、待って!?


 レイシアはレイシアで、天然入ってるとこあるし。

 お姫様育ちからの星灯愛内での地球生活覗き見組でしょ?

 あと、ほら。星導師なわけじゃないし?


 ――――ん? 何をそんなに心配してるのかって?

 それは、あれだよ!


 だって、星球儀は星導教会のご神体っぽいものなんだよ?

 洞窟の奥で、厳重に大事に隠し守られているご神体っぽいものだよ?


 その大事で神聖(神星っていうべき?)な星球儀を材料にして作ったみたいな星蔵様がわたしの鍵なんだよ?

 しかもだよ?

 星蔵様は両手に鍵を持っているんだよ!

 ってことは、さ?

 星蔵様ってば、台座の代わりみたいな扱いって言えなくもなくない?

 おまけに、その鍵(と台座かもしれない星界柄のお地蔵様)の持ち主は、現時点では星導師でも何でもない、他所の星界(地球のことだよ)からやってきた、ふっつーの女の子なんだよ?


 ふざけてるのかー!――――って、怒られない?


 …………………………いや、待てよ?


 そうは言っても、星導教会だよ?

 なんか、ゆるっと受け入れられそうっていうか。

 レイジンみたいな反応が返ってくる可能性も、無きにしも非ずではあるよね?

 だって、星導教会だよ?

 確かに、レイジンは感性が天チュウさんっぽいところ、あるけれど。

 星導教会の皆さん方は、その天チュウさんと仲良くやってる方々だよね?


 これは、ワンチャンある?


 星の生霊発言がうけちゃったみたいな展開再び、ある?

 くっ。迷う!

 怒られるのも嫌だけど、「なんだ。出せないのか」ってがっかりされるのも嫌だ!

 ああ!

 こんなことなら、里にいた間にルーシアかミナセに見ておいてもらえばよかった!


 アンニュイに浸ってる場合じゃなかった!


 ど、どうする?

 どうしよう!?


「さあ! 星灯愛!」

「うむ! 星球儀柄のオジゾウサマ、見せてくれ!」


 あ、ああー!

 弾む声の催促が両脇から~…………って、ん? んん?

 今、なんて?

 もしかして、知って…………?

 まさか、レイジンから、報告済みだったり……する?


 それ、早く言ってよ!

 無駄な葛藤しちゃったじゃん!


 まあ、でも。そういうことなら、遠慮はいらない!

 …………………………とやっ!


「ああっ! 地球のお地蔵様と星球儀が融合した…………新しい鍵の形! 素晴らしいですわ! 運命を、運命を感じますっ!」

「これが、星蔵(ほしぞう)様か……。このような鍵は初めて見る。それに、鍵が二本同時に現れるというのも、これまでにないパターンだ。実に興味深い……」

「…………」


 ほ、星蔵様のことまでかいっ!

 報連相が、しっかりしていらっしゃる!

 いや、いいことだけれども!

 報告済みだって報告を、わたしにもしていただきたかったんだが!


「ふふ。わたくしと、わたくしの鍵を宿していた星灯愛の鍵が、お地蔵様と星球儀、二つの星界の神聖なるものを模り、さらに二つの鍵を手にしている。やはり、運命を感じてしまいますね」


 うっとりしたような声で白ヒヨコが言った。

 えーと? 待って?

 なんか、星灯愛に夢見過ぎじゃない?

 お地蔵様は、こっちの星界への入り口になった地球の空き地に祀られてて、なんとなく守り神的存在になっちゃったっていうか。

 空き地は通学路で見慣れてたからイメージしやすかったっていうか。

 でもって、浜にいた時に起きた地球世界と融合しかけた大きな揺らぎの時に召喚しちゃったお地蔵様が、揺らぎとして現れた地球の生霊っぽい奴を吸い込んで地球蔵様になっちゃったでしょ?

 たぶん、その辺も影響してるんだと思うんだよね?

 鍵が二つなのは意味不明だけど。

 でも、運命とか、そういうの、関係ないと思うんだよね?


「うむ。柄もちゃんと、星球儀を変形させたらこうだよな、な柄になっているな。ステラ嬢は星球儀を見たことがなく、この星界の全景を知らないはずなのに、これも星の導きか……。ステラ嬢は、ラピチュリンの再来…………いや、ステラリンと呼ぶべき、新たな救世主なのかもしれん……!」

「はっ! ということは、つまり! わたくしは、この星界の星女(せいじょ)として、星灯愛の元に遣わされたのでは!? わたしが星灯愛に宿ったのは、名前や生まれの共通点からかと思っていましたが、そういうことではなく、星が導いた運命だったのでは!?」

「な、なるほど!?」

「いーや、いやいやいやいや! 待って待って待って待って待って! 落ち着いてー!」


 怖い怖い怖い怖い!

 思ってたのと全然違う展開来た!

 た、確かに言われてみてみれば、星蔵様の柄(いや、柄って言い方を星導会長がするのもどうかと思うんだけど)ってば、ご神体っぽいものであるはずの星球儀の柄っていうか地形を反映しちゃってるけど!

 それは、ほら!

 あれだよ!


「が、柄がリンクしてるのは、ほら! 鍵の力が星界(せかい)とリンクしてるからじゃない? だから、勝手に自動で反映されちゃっただけで、誰がやってもそうなるんだよ! てゆーか、ステラリンは止めて!」

「え、ええー? そうでしょうか?」

「うむ。そういう見解もあるか。結論を急ぎ過ぎるのは、確かによくないな! あらゆる可能性を考慮せねば! では、ラピステラにしよう!」

「普通にステラでお願いします!」


 あ、でも。

 ラピステラは、ちょっと可愛いかもしれない。

 いや、でもそれを認めたら、何かとんでもない役目を押し付けられそうだから、やっぱり断固拒否しておこう。

 うん。救世主とか無理!

 揺らぎをなんとかしろとか、宇宙を海に戻せとか言われても!

 いや、何とか出来るならしたいけど!

 そんな力、ないもん!

 いたって普通の女の子だから!

 ついでに言えば、ちょいとポンコツよりな自覚はある!


 なので、謹んでご辞退申し上げたい!


 う、うう。

 レイジンがお相手の異星界恋愛もののヒロインポジなら大歓迎なのに。

 星界を救う系のガチのヒロインは、わたしには荷が重いです。


 …………星導教会。いろんな意味で、恐ろしい場所だな…………。


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