・エブリデーでホリデーなナイスデー - 買い物に行こう! -
新しい一日が始まった。
今日の主役はリリィさんだ。
リリィさんが聖堂方面のつてからオジサン・ムーディ大臣に接触し、黄金色のお菓子を使ってお友達となるまでは、俺たちの予定はフリーだった。
もし今夜ラーメン屋の営業をすれば、この前のヤマオカファミリーにからまれることがわかっていたし、個人的にやりたいことも残っていた。
そう、それは――
「今日こそテントをどうにかしようよ、テントを! せっかく手に入れた銀貨があるんだから、寝床に投資をしようよっ!」
寝床だ。
このまま今の生活を続けたら、俺は圧死するか凍死するか血行不良で肢体が壊死するかしてしまう!
「そうか、広いところで我と2人っきりで眠りたいと申すか、ういやつめ」
「死ぬわっ、誇張抜きでで真剣に死ぬわっ!!」
死体系美少女に震えながら眠る夜はもう嫌だ!
「あ、あたしは別に、気にしないわ……」
「マリーもなのですよー! マリーは、お兄ちゃんと一緒がいいのですよーっ!」
「でもさ、君ら……寝ぼけて俺のことかじるじゃん……」
寝ぼけたドラゴンに肉と間違えられていきなり噛みつかれる夜も!
「そんな~、わたくしたちのこと~、お嫌いですか~……?」
「怖いっ、おっぱい怖いっ!」
おっぱいに圧殺されかける夜も!
なぜか顔面ベタベタで目覚めることになる朝も!
ラッキースケベなんて一晩で飽きたよ!
俺にはスケベ展開より新しい家が必要なんだっ!
「しょうがないニコラスお兄ちゃんですねー。じゃ、新しいお家、買っちゃいましょう!」
「ふんっ、ちっちゃい男ね。5、6回間違えて噛んだだけじゃない……」
「頼みます……。十分すぎるほどに命の危険を感じているので、取り急ぎお願いします。今日はもっと大きなテントか何かを買いましょう……」
そういうわけで、俺たちは朝っぱらからラーメンを作ってこってりした幸せな一時を過ごすと、リリィさんと別れて買い物に出かけた。
「我は付き合わんぞー。今日は図書館に新刊が入る日だ」
「ええいいわ。あなたがおとなしくしてくれているなら、なんでもいいわ」
「お小づかい、いるですかー?」
だからさ、君らそうやってコスモスちゃんを甘やかすなよ……。
コスモスちゃんは年下に大きめのお小づかいをたっぷりもらって、図書館のある行政施設方面に去っていった。