いきなり始まった非日常
ジリジリジリ!ジリジリジリ!ピッ!
うるさい目覚まし時計の音で目覚める憂鬱な月曜日。
なにかあまりよくない夢を見た気がするが....あまり気にしないでおこう。
おっと、自己紹介がまだだったな。俺の名前は黒宮空。都会の学校に通うごくごく普通の高校生だ。
「ふわぁ~」
でかいあくびをしながらいつもの駅に向かい、いつもの時間の、いつもの電車に乗る。そしていつものように学校から帰る。
そしてベッドに入り、目を閉じ眠りについた。
その時だった
ガタンガタン、、、ガタンガタン、、、キーッ!
聞き覚えのある音と揺れに違和感を感じ目を開ける。
目を開けると異様な雰囲気の電車のようなものに乗っていた。
すると、後ろから声がして振り返る。
「ようやっと目が覚めましたか空様。待ちくたびれて干からびてしまうかと思いましたよ。ハッハッハッ」
と、ひと昔前の紳士のような整った身なりの老爺がハットを深くかぶりながら語りかけてきた。
この車内は自分含め二人しかいないから、自分に話しかけてきたことは明白だ。
自分の状況、場所、老爺の言った言葉の意味すべてが理解できず困惑しながらも老爺に問う。
「どういうことだ?なぜ俺の名前を知ってる?ここはどこだ?」
「おっと、質問は一つずつ、ですよ。まずはそうですね....私の事から話しましょうか。私はオーディンといいます。以後お見知りおきを。」
「よ、よろしく...そんなことより俺の事について教えてくれ!」
「承知致しました。では、なぜあなた様の名前を知っているかについて話しましょうか。単刀直入に言いましょう」
俺はゴクリと唾を飲んだ。
「あなた様は『選ばれた』のです」
「は?」
おもわず気の抜けた声が出てしまった。
「選ばれたって何に選ばれたんだ?」
「これより起こるであろう異変に立ち向かう....そうですね、レジスタンスとでも言いましょうか」
「異変?」
「はい、簡単に申し上げますと、あなた様の周りで異変が起き始めます。それに対抗できるのがあなた様のように選ばれた能力者です。」
「能力?それはどんなものだ?」
「人によって異なります。その人が何を代償に差し出して能力を得るかによって変わってきます。」
「代償?」
「物でも感情、記憶なんでも代償にすることができます。しかし、代償が大きければ能力はより強力なものになります。逆もまた然りです。」
「ちょっとまってくれ。勝手に選ばれて代償を払え?意味が分からない。そもそもなんで俺が選ばれるんだよ!」
「それはあなた様が特別だからです。今詳しく言うことは出来かねますがね。フッフッフ...」
「分かった。分かったからレジスタンスの事を一旦考えさせてくれ。」
「いえ、残念ながらあなた様に拒否権はありません。」
俺はオーディンの言葉に衝撃を受けて少し黙ってしまった。