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消滅の奇跡

まだ主人公くんでてきません…

その男は異世界へと続く扉を応用し、ある異世界の神と出会った。





しかし、ただの人間が異世界とはいえ神と対面する、それはあり得ないことだった。

そのために、その男はその瞬間現世にカタチあるものとして存在することができなくなってしまった。


男はもうすぐ消えてなくなる。既に実体はなく、存在が消滅するというにもかかわらず依然として無くならない異世界への熱い想いだけが、思念体として残っているだけだった。


神は男に問う。


異界より来たる人の子よ。そなたはもうじき消えることになるだろう。そうになってまでなにを思う。


「俺だってチートさえあれば異世界で勇者にだってなれるし!」


それが男の最期の言葉だった。








異世界の神と男が会う前。男は覚悟を決めていた。おそらくこれから自分は神と対面することになるだろうと。そして自分は消滅することになってしまうだろうと。全て理解していた。



と、いうのも男は結果として異世界でチートを手に入れる方法を見つけることをできなかった。

そこで唯一思いついたことは、異世界の神に直談判することだった。


自分でも馬鹿としか思えない考えだったが、もし、もし、それで自分と同じように異世界に夢見ている人が異世界チート生活を満喫することが出来るのなら、この自分の残り幾ばくかの寿命を犠牲にして異世界チートへの道を細くでも繋げる。

きっとどこかにいるであろう同士達に自分の夢を託そう。


その思いから男は自分の研究結果を日本の最高機関に託すことにし、神が待つであろう異世界へと続く扉に手をかけた。






ある1人の冴えない男は確かに偉業を成し遂げた。しかし、それは決して表舞台で日の目をみることなく、たった数人の手で管理され、厳重に保管されることとなった。また、その男の存在の消滅を確認されたのと同時期に、不自然な勢いで世の中からは「異世界」という言葉や、それにまつわる物語が、ひとつひとつと消えていくこととなった。









▽▲▽





ある1人の冴えない男がひっそりと消えてから100年あまりの月日が経ったある研究所でのこと。




その研究所は決して大きな研究所ではなかった。むしろど田舎の山奥にあり、周りは森と言っても過言ではないくらいに世間からは隔離された、そこの研究員達以外には知る人はいないような小さな研究所であった。

にも関わらず、いざその研究所に足を踏み入れてみれば、こんな辺鄙なところにあるとは思えないほどの完全な設備であった。






「所長、あの、あーっと、この研究所の奥の奥〜にある開かずの扉あるじゃないっすか。あの部屋から緊急信号でてるっぽいんですけど、これって故障っすかね??」


そう問いかけたのは、最近この研究所に配属されたばかりのいわゆる下っ端であり、ここでのもっぱらの仕事は各研究室の監視をしている男であった。

といっても、この研究員が必要以上に軽視されているわけではなく、この研究所では一定の期間をここで勤務しない限りは特にこれといった研究員らしい仕事をさせてもらえないことで有名であり、例えこの部署に配属される以前がいかに優秀な研究者であろうと、最低でも3年はほぼなにもできない毎日を過ごすことになる。そんなわけで、この部署は陰で墓地などと揶揄されていたりする。


そんな、頑張って頑張ってポジティブに言って平和な研究所で起きた些細なこと、として新米墓地員は墓地所長にのほほんと質問した。


「開かずの扉……? なにっ!? おい!あの部屋前のカメラの映像みせろ!……おいおいおいおいまじかよ!」


「あっ、所長どこに……」



なぜか急に顔面蒼白になり走り出した所長を見ても、新米にはなにがなにやらわからなかった。しかし、これは閑静な墓地から一変、日本列島そのものを巻き込むこととなる変革の日だったのである。




冴えない男「異世界チートウハウハ勇者生活まだぁ?」

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