1章『1.コーヒーを飲めないのは』
『コンティニューしますか?』
何度この文字を見たことだろうか。
無機質な淡々とした生き返るためのの文字を。
動かなくなったはずの腕を持ち上げまたしても『みなと』は、_____________
『yes』の文字をタップした。
__________+__________+____________
「いい加減出てこいやあ!!!!」
清々しい朝のモーニングコールにはちょっとばかし元気がありすぎな声に『矢野 みなと』は、せせら嗤いをしながら真っ白なコーヒーカップに注がれた黒い液体を体内に流し込む。
「きいてんのかあ!!?」
外にいる『借金取り』はドアを壊れそうな勢いで叩きながら怒鳴り散らし、みなとを今か今かと待っている。いや、一概に待っているとは言えない状況だが。
「うすいなあ…」
そんな、借金取りの様子を完全に無視するみなとはカップに入っていた液体を一人愚痴る。
出てこないと察したのであろう、
「てめえ、舐めてると痛い目みんぞ……明日、覚えてろよ…」
そういうと、負け惜しみの一発をドアにぶつけクツクツと笑いながら消えていった。
「…………ふう………」
完全に消えたのを確認すると、みなとは床にへたり込み深いため息をついた。
___________+____________+___________
___矢野 みなと、男、19歳。現在築130年のボロアパートに住む無職である。頭は良く結構いい方の大学に通っていたが、何線女癖が悪いもので、取っ替え引っ替えしていたらトラブル発生で今に至るという情けない状況だ。親は小さい頃に他界。これまで育ててくれた祖父母も1年前に他界。残されていた保険金などは持ち前の女癖の悪さで1カ月前ほどに使い切ってしまった。それでも懲りず、お金を借りてまで遊んでいたというのだからどうしようもない。
借りたお金は200万に達し、返せないと気づいた時には時すでに遅し。借金取りがウロウロするようにまでなってしまった。
当然、ガスは止められ水道も電気も使えない。コーヒーも公園の水道から水を持ってきてから飲まなければならないという始末だ。
_______一度仕事を探そうと思い、2週間前に受かった会社はあった。しかし、女関係のトラブルにより3日で辞めさせられるという新記録を作り出しただけだった。
「はあ……………これからどうするか………」
サラサラと流れる金髪をかき上げながら瞑目する。
_____このままでは、そのうちのたれ死んでしまう。でも、仕事をすると辞めさせられてしまう。どうしたものか。
もうどうしようもないんじゃないか、と考え出した頃だろうか。
「____ドンドン」
「__________」
借金取りが戻ってきたのだろうか。みなとは慌ててドアの方を振り返る。振り返ってもなにも見えないが何かしないよりマシだろうという短絡的な人間の考え方によるものだ。
なんて、どうでもいいこと考えているあいだに、
「ドンドン」
________さっきよりも強めのノックが聞こえた。
「あのぅ……………」
「__________!?」
控えめな声とともに聞こえてきたのは爽快なガチャっという鍵の開く音だった。




