Ⅸ
彼とであって10年たつ頃
「レミリア。君の人形。見つけちゃた」
ベッドの上で、父が今までにないくらいの笑顔をその言葉を告げる。
息を飲む。動揺を悟られてはいけない。
とうとうこの日がきた。そう思えば言い。
「そう。見つけてくれたのね?探しにいかなくちゃ。保安部隊に行ったら今頃落とし物で届いているかしら?」
「君は賢いけど。相変わらず、嘘下手だね。俺からみつからないよに、君が隠したんでしょ?」
「まさか?私はここにいるのよ?どこに隠すというの?」
「隠れる能力を彼に植えたでしょ?」
「やっぱり、君は頭がいい。時間かかったもん」
「さて?今から彼、迎えに行こうかな?」
「…………なんて、やはり君には絶望が似合う」
「やっぱり君がその顔を見せるのは彼の事だけだよね。俺としては最初の青年のときとか、文鳥、あとスイートポテトの件を止めたときに、表情崩れないかと見てたんだけど、全然だったよね。」
「でも彼の事となると、そうもいかない。あの日そんな君を見つけて良かった。あぁ今の君の絶望の顔凄く素敵だ。」
「俺はね欲しいものためなら自分の手さえ汚すよ?」
「君の絶望の顔が見られるなら、あの青年を探しだして、君の前でじっくりなぶり殺すのさえ楽しいだろうなぁ」
「あぁ。君のその顔、君の母そっくり。俺の一番好きな表情」
「あの女はね、私に何も心を開かなかった。常に私を睨む。彼をその手で守っていた時の君の目にそっくり。ゾクゾクするなぁ」
「でも俺が一番好きなのは絶望を背負った時の顔なんだ」
「昔あの女から君を奪った時はたまらなかったなぁ」
「君も、あの青年を君の前で殺せば今よりさらに絶望してくれる?」
勝ち誇ったようにワインを飲む
母のように、嫌悪、侮蔑の意味を込め睨まれる事を好み。
絶望の表情を浮かべると更に喜ぶ。長年父は様々な人間の中に母を探して来たのだろう。
「…………。ふ。…………。ふふ」
「腐ってるわね。私も貴方も……この血に流れるのは同じね」
「生憎よ。お父様。」
「私も、欲しいものがるのよ。守りたいものが、この手にあるのよ。」
「そのためなら、自分の手を汚すなんて、わけもないわ」
「貴方と一緒よ。もともと、汚れている手をさらに汚す事に、抵抗などないわ」
この手で文鳥を青年を多くの民の命を奪ってきた。今更王1人の命を奪う事など容易い。
これは自分が一番適役だ。
彼の血を汚すまでもない。
「は?………………っく。……かはっ……」
豚が咳き込む。膝をつき、ごほごほと苦しそうに喉をかきむしる
「速効性の毒でもこんなに遅いのね」
「でもいいタイミングで効いてくれるのね」
「私の中にお母様を見つけることができたでしょう?今まで探してもどこにもいなかった、お母様が私の中に」
「だから、お父様の夢は叶ったのよ。良かったわね?」
「ここからは、私の夢の番よ」
「私の夢が叶い次第、私もすぐにお父様とお母様のところに行くわ。少しだけ、待っててくれる?家族だもの一緒のところがいいわよね?」
なんて、最早返事など言えない父に話かける。
実験で他の富に飢えた豚が毒を食らってしに行く様と同じように父も苦しそうにもがく。
「ふふっ豚は卑しくそのまま地べたを這いずりまわっていなさい」
そう言い残し部屋をでる。
準備は整った。
後は待つだけ。
終わるのを待つだけ。
彼の幕は3年前に上がった。
今から上がるのは私の幕。
ここからは、彼と私の舞台。
もぅ邪魔はさせないわ。




