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10歳になる頃、父の職場について行った際に牢に入れられた赤い髪の少年に出会う。


歳は私と同じくらいか、少し上か。

牢には赤い髪の少年以外にも売買用に囚われた子供が何人かいた。他の子供たちは未来を諦め、絶望に目を伏せている。力のない瞳をし、生気がない。そう、思った。しかし、赤い髪の少年は違った。


いい目をするーー。


赤い髪の少年への最初の印象だった。この状況で絶望もせず、こんな状況理不尽だとばかりこちらを睨み付ける。



彼なら、壊れずにすむんじゃないか?

人が動く衝動として、怨恨はかなり強い動機となる。反抗的なあの目は復讐を誓ってくれそうだ。



「ねぇお父様、私あの子が欲しいわ。ほらあの赤い髪の子」

にっこりと、年相応のわがままな笑顔を父に向けるが


「ふぅん。あぁゆうこが好みなんだね。俺そっくり」と返されたときは笑顔が凍りそうになった。


父はあの反抗的な目が気に入ったのだろう。母と同じ目。買い主に向かって心を永遠開かず抵抗のみして、なくなった母と同じ眼をする所。



「この鞭でできた傷と合わさるときっとあの髪はすごくきれいに映えるわ」

思わずそんな言葉がでた。父とは違う。あの眼をするからなんて、そんな理由で選んだのではないーーと言いたかったのかもしれない。



「ふ、すぐにわかるさ」

わかりたくなんてない。2年前に同じ血が流れている事を改めて認識した。これ以上共通点なんて、見つけたくない。そう思うのに、何故か赤い髪の少年の目を見続けてしまった。




赤い髪の少年は3日くらい後には私の部屋に通された。

やはり反抗的な目。燃えるような瞳にはやはり復讐という字がよく似合う。

今度は大事にしよう。壊さないように、壊れないように。でも確実に私の夢を乗せて。



「人形のくせしてなめた口きくんじゃないわよ。それが人形のルールでしょ?ね?ゼラニウム。返事は?」


「……………はい」




ーーー『深紅のゼラニウム』ーーー



ーーーその名の通りーーー



ーーーマリーゴールド唯一のーーー





ーーー『癒し』となれーーー。



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