10.12年目
彼女と出会ってから12年目
俺は今反国家に身をおいている。5年前に俺は彼女が落としていった情報を元にあの城を抜け出した。最初は隠れて暮らしていたが、次第に誰一人追ってこないと気づいてからは反国家の集まりに参加した。
城を出た5年前。あまりの腐敗の進みかたに驚いた。7年前とは桁違いの困窮の差。治安は荒れ、王都まで犯罪が繰り広げられる。税を払えず没落する貴族が増え、しかし、平民に適応できず命を自ら落とす人も中にはいた。
「どうしてこんな…」
「お前は城から抜け出してきたのに知らないのか?あの王女様だよ。スイートポテトだけじゃあ飽きたらずカボチャのプティングやら、ニンジンケーキやら言い出してな。国家予算を彼女のご飯につぎ込み放題だ。誰がそれを土地から作ってると思うんだっつーの。汗水たらして作っても相応の報酬はでねぇ。こんな国くそ食らえだ」そう、反国家の一人が教えてくれた。
城にいた頃。一番近くで彼女をみていた身としては、どうにも信じがたかった。悔しいが彼女は聡明であった。家庭教師の授業中机上では彼女はいつでも優秀な答えを導いていたからだ。
「城の男どもはみーんな彼女に骨抜きなんだとよ。父親だって彼女には頭が上がらないらしい」
「おいおい。父親にも股開いてるってか?欲のために恐ろしい娘だぜ」
「は。そんなら俺も一回くらい味わってみたいね。絶世の美女とやらをさ」
「あ、お前城から出てきたんだろ?王女様みたことあるか?絶世の美女だったか?」
彼女の事を考えていると話がふられた
「あー。俺は…見た…………ことない。うん。城の末端で動物かのように生きていたから。」
出ていく寸前までの記憶だと、きめ細やかな銀の髪、琥珀色の瞳、毒々しいほどに真っ赤な唇、子供の頃より美しい造形をしていたが年を重ねるごとに彼女の魅力はましていた。すらりと伸びた手足に、肉付きのよい胸、腰はきゅっとしぼられていて、男が思わず手を伸ばしたくなる身体をしていた。独特な雰囲気、絶対的な女王の気質。高嶺の花のような存在。そんなものに惑わされて彼女を欲しがる男は数多くいた。
実際には獣のような求め方をする彼女の初めてを俺にさせたなんて、城では口でも言えなかったし。言うきにもならなかった。
そして、ここでもそんなの彼女の様子を伝えようとは思わなかった。
本当いうと、彼女の事を思い出さない日はない。でもそれは彼女が憎いからに違いない。そうに違いない。
今ごろ蠱惑てきな笑顔を誰かに向けているんだろうかとか。視界の隅にうつっていたあの笑顔以外の表情を他の誰かに見つけられているんじゃあないだろうかとか。また薔薇を触ってケガをしていないか……とか。考えるともやもやするのは彼女が憎いからに違いない。
そう思いたかった。
他の感情など俺は知らないし。知りたくもない。




