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機械人形による魔法世界巡り  作者: 五十猫
第一章-起動-
6/7

♯05

だいぶ前に投稿したと思っていたら操作ミスで出来てませんでしたm(_ _)m

[冒険者ギルド〈セイン〉]


時刻は一一五八、冒険者ギルドが最も混雑する時間帯である。

僕は冒険者ギルドの受付に出来た長蛇の列、その最後尾で、物思いに耽っていた。


「はぁ……失敗したなぁ…。」


博士の書いた術式についてだ。

博士が持たせてくれたショートソードに標準装備されていた高性能な術式であり、仮にも研究者である博士の珠玉の作品。実は僕は、ショートソードを受け取った時からその欠点に気がついていた。


それは、魔力効率の悪さ、である。


この世の全ての術式は"議長"が作ったとされる、所謂“ベース術式“なるものが存在し、“攻撃”や“防御”、“回復”といった数々種類のあるそれに機能や効果を付けていく、という形で成り立っている。


ここで注目したいのは、()()()術式に不備はなかった、という点だ。

あの博士は間違いなく天才だ。

…いや、僕のような発達途上のAIにあんな高性能な術式のついた剣を渡してしまう辺り、天然ではあるのかも知れないが、それでも天才だ。

何せ、あのような()()()()()()ベースの上に、あれほど無駄のない完璧な術式を書いたのだから。

だから、僕が改良したのは、博士の術式自体ではなく、その下。()()()()()である。


だから、博士にちゃんと「改良したのはベース術式の方です」と伝えておけば、博士もあんなに怒りはしなかったのではないだろうか、という考えにたどり着き、軽く後悔していた。


と、僕の前の人が受付の前を退く。お馴染みの受付嬢、猫獣人のケニーがそこにいた。


「あ、セインニャ!初めてのダンジョンはどうだったかニャ?」

「こんにちは、ケニーさん。ちょっと深く潜ったので、日にちの感覚がなくなってしまいましたよ。モンスターの討伐部位の確認と、素材買取お願い出来ますか」

「またまたセインはおかしな事を言う新人だニャあ。ダンジョンに初めて入った新人が、時間感覚が狂う程潜れる訳ニャい…」

「あこちら件の討伐部位になります」

「ニャんと!?」


僕が、暴虐のダンジョン三~五階層(墓地)不死者アンデット系統三九五体、六階層(遺跡)石像ゴーレム系統八七体、七階層(地獄)悪魔デーモン系統五五体分のモンスターの討伐部位を受付の上に置くと、何故かケニーは目を丸くし、口をあんぐりと開けた。

…大した量じゃないと、思うんですけど?



[暴虐のダンジョン七階層(地獄)〈セイン〉]


僕は、七階層(地獄)にある安全地帯の一角にテントを張り、中に座っていた。


博士に、冒険者登録から一週間経っていないのに白銀級(Cランク)冒険者に昇格した事を報告するためだ。


「ああ怒られるまた怒られる。さっき怒られたばっかでまた怒られる。さっきの怒りも鎮まってないだろうし物凄い怒られる。」

『……報告。博士への報告義務は自分にあるものだと報告する。』

「……それを先にいってくれよ…」


今は猫の姿をとるガラハットに僕はジト目を向ける。


『……博士へ報告するのは当機なのだが。』

「それはマジゴメンぐっどらっく。」


安全地帯でどこか楽しげに会話する僕達。ガラハットが僕の軽口に文句を言おうとしたその時、


『―――――ドコマデ、覚エテイル?』

『「!?」』


――――安全地帯の入口のすぐそばに、仮面をした人影があった。


「っ戦闘態勢!」

『了解!』


見た目は、女。黒くて丈の長いコートを羽織っており、辛うじて身体のラインが見える程度だが、恐らくは女で間違いないだろう。しかし、聞こえた声は無機質で、まるでガラハットの劣化版のように聞こえた。


『…当機への侮辱を検知。』

「今はそれどころじゃ」


『―――――私ガ、分かラナイか。まァ、シカたナいダロウ。アンナ反応をシタのダ。対策クライは取ッテ然ルベシだな。』

『疑問。先程から一体なんの話をしている。』

『黙レ。オーダーなンかに用ハ無イ。ワタシガ用がアるノハ、オマエだ――――人形。』

「?!」

『聞ケ…私にはもう時間が無い。もし貴方が()()()()()なら、一番下に来て。』


そう言うと彼女 (?)は、僕の返事を待つことなく、ダンジョンの闇へと消えていった。


僕とガラハットは、臨戦態勢をとってはいたが、()()()()()()。それは、彼女の魔力が膨大すぎて、魔力を感知したとたんに身体制御機能がエラーを起こしたからだ。


「……ガラハット。このボディの欠陥を発見。博士への早急な報告を要請する。」

『了解。強大なエネルギー反応検知による神経装置の麻痺を報告。』

「…"仮面"…」


彼女の消えた方向をみて、僕は拳を握り締めた。

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