第9話 真実と継承ー脱出②ーディグレ視点 前編
攻略対象者のディグレ視点です。少しの過去と村長との出会いを書いてます。
僕は幼い頃から人ならざるものを見ることが出来る体質だった。
だからだろうけど両親が恐怖すると思って話さずにいたものの、一人で誰もいない場所にて会話している所を両親に見られ┄僕は恐怖される目を向けられると思っていた。
でも┄それは杞憂で終った。
だって僕を抱きしめ┄喜んでいたからだった。
「┄怖くないの? きみ┄わるくないの?」
理解と困惑、動揺が一気に僕に襲い、両親に対する態度がよくわからずに問えば
「やはり┄お前も我々の家系の血を受け継いでいたのだと┄いつか覚醒するだろうと思っていたのだ。だから┄気味悪くなるなど┄ありえん!」
「そうよ┄もとより┄そんなこと心配しなくていいわ、貴方は私達の最愛の息子なのだから」
優しく暖かい両親からの愛情は、僕の心を救い、抱きしめ返し泣いた。
そして┄力の操作方法や普段、見ないための瞳変化の仕方などを学んでいき、幸せな生活を送っていくが
ブルス義族長の黒い霧が村の中を襲い、僕は一人┄両親から守られつつ、一つの銅像である祠に避難させられていた。
この状況に普通なら恐怖を感じて泣いてもおかしくないのに、僕は冷静な心が働いて┄ぼんやりと村を眺めていたとき┄
まるで惹かれるような感覚と視線に祠を見れば、うっすらと透明な人物が悲しげに村を見ていて
『どうしてお前は┄』
と短めに呟いている姿が、儚げに見えた。
「┄白狼の化身って┄ここの場所だったんだね┄」
なんとなく声をかければ、バッと男だとわかる人物が僕を見たあと、驚いた表情を見せた。
『お前┄我が見えるのか?』
「うん┄見えるよ。白い髪が銀色で月のように美しいね┄耳なんかも┄モフモフしてそうだよ」
すごく思ったままに話して見たとき、彼は┄とても眩しげに僕を見て、優しげな顔になった。
『┄なあ┄童よ、お主は┄我を視る目を持つが┄怖くないのか?』
怖い? そんなのは思わない、こんな周囲が綺麗で、淀んだ空気が晴れたような感じを纏っているのに、どこに恐れなど抱く必要があるのだろうと
首を振り、彼をみて近づくと透明な手に僕の手を重ねてみれば、少しビクッとする反応があって
「うんん、怖くないよ。だって┄白狼って村の守護神だって聞いてたし、君を見てると特に暖かいよ」
にっこりと僕が笑えば┄口をパクパクと開閉を繰り返し、文句を言いたげだったけど┄呆れつつ
『┄┄よい性格をもってるな童は┄』
と深く溜め息を吐かれてしまった。
「┄本当のことしか言ってないんだけどな┄」
僕はポリポリと掻いてから、そこまで言葉にしようとした矢先、村の方角から爆風が吹いてきた。
『┄童よ┄急ぎ我の近くにこい┄‼』
「え⁉┄う、うん‼」
唐突に何で⁉ と思ったものの┄彼の表情と声音に意味合いと危機感があるのだと理解した僕は、急ぎ祠の近くまで寄った。
その瞬間、波動の波が僕達の場所までスピードが上がり┄襲いかかってくる闇があった。
さすがにゾワリとする寒気と嫌な予感が僕の脳裏に浮かび、村を見ようとしたが、黒いものが眼前にあり見ることができず、迫ってきていた
だが突如┄バシンと目の前に透明な壁にでもあたるように、瞬時に消えていくのを繰り返していた。
何が起こったんだろう? と思っていれば、近くにいる彼が僕の身体の前に手をかざしているのがわかり
上を向けば┄怒りがこもるような表情と、苦しげな声が聞こえる
『┄止めねば┄なるまいお前を┄ブルス┄』
彼の言葉に【ブルス】という名前が出て、何で知って⁉ と口を紡ぎそうになるけれど、彼が白狼の化身で、村を媒介にして見守ってくれているならば、ブルス義族長の悪を知っていても変ではないと思いなおす
そして同時に気づく┄せっかくの出会いをなかったことにするのは嫌だな~とか、緊張感のないことを思ってしまう
「こんな緊急時だけど┄封印って解いてもいいのかな?」
「┄┄は? 何をトンチンカンなことを言っておるのだ⁉」
次々に襲う闇を弾きながらも、間抜けな表情を向け、呆気にとられているが僕は笑み、彼の力と存在の消滅の意図と、このまま自分を庇い続けた結末を説明し
そして┄何故か彼に惹かれる思いを告げたとき
彼は一瞬だけ瞠目しつつも┄どこか理解しえる思いがあったのか、ふふっと笑い口角が上がった。
そのあと『封印を解いてくれ』と短く告げてくるため┄祠に僕は一点に光る場所へ手をあて、両親より教えてもらった言葉を紡ぎ出せば
祠の周囲に光の魔方陣が顕現して広がり、弾かれるように壊れた。
僕は咄嗟に彼を見れば、透明な身体がハッキリとした姿となり、次には白狼へと変化して、村の方向へ向くと、息を吸い込み光の咆哮を吐き、黒が、闇が切り裂かれ、消滅していった。
凄いな~っと思った客観的な感動を浮かべていたけど、村をみて僕は落胆へと変わる
村が炎と剣戟に、悲鳴や怒号が何故か僕の耳に入り、身体がブルッと震えてくる
他にも人に見えない精霊や幽気となる魂の苦しみが聞こえる
さすがに┄この苦痛な声は嫌だと耳を塞ぎたくなったとき┄僕の耳に彼の声だけが静かに入る
『煩き人の声は我が消した、いまは我の声を聞いてほしい┄よいか?』
僕は彼に┄促され白狼様に目を向ければ、狼の表情は僕だけを見て、優しい瞳を向けてくれたことに安堵し、コクンと頷き返した。
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