第9話 真実と継承ー過去の真実ーブルス視点 中編
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ブルスの意識がなくなると同時に、黒いフードを被った男はクツクツと笑いだす
「これで第2段階は終了した┄闇も芽吹き、花を咲かせる┄水と肥料は準備が出来た。さあ┄これからが本番だ、夢現の中をさ迷い、己れの道を、思うまま動け、そして我が糧となれ┄」
小さな人間の欲や負は我がエネルギーの源、知らずに喰った物の正体を知った絶望は、どんな味だろうな
ニヤリと口角を釣り上げ、ブルスを見る瞳は、冷たく┄ただ笑っていた
◆◆◆
数分、数秒の間┄ワシは夢を見ていた。
若い頃┄妻になる最愛の女性スライル・ハイデンベルクは、村の中で一際美しい金髪の女性であり┄ワシには、勿体ないぐらいに優しく暖かい人物だった
流された貴族なのに、けして鼻をかけることなく、村の中に馴染み、ワシは┄少しの距離から見て、声をかけるなど出来ずにいた。
スライルから声などかけられたときなど、恥ずかしくて逃げ回っていた
何故なら┄村の中の美人などワシには免疫などなく、赤面症でヘタレが絶好調に発揮してしまった。
しかし、それのせいか、スライルはワシをみるなり、クスクスと笑うため┄ついボーッと見惚れている隙をついて┄いつのまにかワシは、スライルに手を掴まれて
「┄ふふ、捕まえましてよ┄今回はわたくしの勝ちです┄」
などと言われ、勝ちとか負けとか┄どうでもよくなっていた。
手が、手が、ワシの手をスライルが掴まえておる
とボンッと赤面し、恥ずかしくなって、オドオド、ドキドキしていた
「ふふ┄貴方は可愛いですね┄」
「かわ┄可愛い┄のは、あな、あなたただ┄」
ヤバイぐらいに恥ずかしくて、赤面してしまうけど┄ワシも男だと勇気を持っていたのに、最後は噛んで
格好つけれなく┄照れ隠しのように、頬を掻けば、ふふっとまた笑われ
次の瞬間には、とても美しく綺麗な、彼女の笑顔をワシにだけ向けられ┄また赤面してしまった
この出来事がきっかけだろうかは、ワシにはわからないが、ただ彼女は┄よりいっそう話したり、連れ回したり、ときにはお転婆な事や、とんでもない行動を見ていて
ハラハラやらドキドキやらで、ワシを動揺させたり、驚かせる行動に目が離せなくなって
いつのまにか┄お互いに惹かれ会うのに時間はかからなかった。
告白はワシからし、スライルは承諾してくれ┄彼女の身体を持ち上げ、喜びだしてしまうワシに、スライルは、あのとき並みに笑顔を向けられ
ああ┄もう大好きだ‼
と叫び、抱きしめたままキスをし、幸せを噛みしめていた
◆◆◆
そして1ヶ月後┄スライルはワシと婚約し┄もうすぐ結婚式も近い時期、それは起こる
村に一人の騎士が訪れ、領主がありとあらゆる場所の女性を見繕い、嫁に欲しいと連れて行くことになっていた。
ワシはその知らせに不可解さを覚えた
領主様は最近┄様子がおかしくなっていると聞いたが、こんな事をするだろうかと
チラリと騎士を見れば┄村人の女性を下心満載に見てる瞳が妙に、引っ掛かりを感じていれば
スライルが何故かワシの腕を掴み「な、なんであいつが」と呟いているのに気づき
「┄どうか┄したのか?」
「┄ブルス┄わ、わたくし┄貴方と離れたくありません」
ギュッとワシの腕を掴み、近づくなり、スライルが呟く声は震えて、怯えている姿と先程の言葉に
何処か知り合いであり、危険なものであると理解し、スライルを背中に隠すようにし、騎士から見られないように守る
しかし騎士は何故かニヤリと笑い、小声で「やはり┄ここにいたかスライル」と、村人の喧騒で聞こえるはずがないのに、ワシだけに聞こえる
どういうことだ?
不可解な疑問が過る、が!
次の瞬間には疑問など考える余裕などなくなっていた。
村人がまるで騎士が通れるように左右に分かれ、ワシ達のいる方へ行動しているではないか
騎士はツカツカとワシらの所へニヤつきながら進み、背に隠れしているスライルを見つけ
「┄迎えに来たぞスライル・ハイデンベルク譲┄さあ、来るがいい」
と厭らしく言い、手を掴もうとしている姿にワシは、騎士の手を払いのけ┄怒鳴りつけていた
「さわるな‼┄彼女は俺の大事な人なんだからな‼」
「ほう~平民風情が┄気高き騎士の前に┄そのような態度をとるとは、命がいらないようだな‼」
見るからに軽蔑な眼差しで、ワシが払いのけた手を布で拭き、腰の剣を引き抜こうとしている
ワシは彼女を守ろうと護身用の短剣と長剣を両方抜き放ち、構えるが
「ブルス┄もういいわ、わたくしは貴方が怪我をするのを見たくない、大切な人だから」
背中からスライルが声を震わせ前に立つ
「スライル┄駄目だ! 君を┄こんな奴になど┄」
とワシが言った瞬間、スライルの身体を騎士が平手打ちをし、まるで邪魔だと言わんばかりの暴力をふるう
「┄てめえ! スライルに手をあげたなぁーー‼」
「は? 何で貴様に、文句を言われないといけない、もとより、この女は俺の物なのだ。暴力などはふるっていいんだよ」
倒れふすスライルの身体を足でグリグリとしながらいう言葉に、ワシはキレて、剣で薙ぎ倒そうとしたときだ。
村人がグイッと腕を掴まれ「なっ!」と思ったとき
「さあ、騎士様┄匿った人物に罪をどうぞ‼」
などという声が、近くからするのが聞こえ、顔を向ければ、村長がゴマをするように騎士に言っていた
なっ┄なんだ! これは⁉
なんなんだ┄このじょうきょうはーーーーー‼‼
理解や周囲の冷たい視線が、急に突き刺さって、手を掴む相手を見れば、知り合いで親友の奴がいた
「は┄離せ! なんで、なんで、なんで┄こんな┄」
ワシはもがきにもがくが┄まるで人であるはずの力ではないように、身体が自由になれない
騎士はニヤつき、そして次の瞬間には、片目が一瞬で切り刻まれ、足蹴りされ身体が吹っ飛んでいく
地面を滑り身体全体に痛みが走るが、ワシはそんなのは、どうでもよかった
顔をあげれば、ワシの大切な女性を騎士が抱き上げ、卑しい手つきで、撫でる姿が見え
立て、立て、立ってくれ‼
でないとワシの大切な、最愛の、最高の恋人が┄あの男に連れ拐われる
嫌だ┄嫌だ!
地面の土を握りしめ、流血する身体に力を入れ、目じりに溜まる涙を流し
「スライルーーー‼」
と叫んで手を伸ばしたまま、ワシは意識を失っていくなか、村人の喜んでいる姿を憎く思いながら意識を手離した




