白狼の村と冒険者試験⑧
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そのあと食事処につくと、テキパキとジルさんが動き、注文を私達から聞いたあと、食堂の受付にて注文し料理を運んだりしていた。
ウエイトレスの女性は少々、困っていたけれど、素早い作業をするジルさんの動きはプロ並みの完璧なものだったことで注意を受ける事はなかった。
そしてジャンヤさんを給仕するように補佐的な動きを見せるジルさんに、普通に『執事』と思い、突っ込みを入れようとした矢先に
「金持ちのお嬢様に仕える執事見たいだなライ」
とテラに先を越されて、私はムスッとして「そうだな」と応えておいた。
「何を┄怒ってるんだよ」
「別に~、怒ってないし~!」
「ほらほら、二人して仲良く口喧嘩せずに、今は食事中なんだから、楽しく食べた方がよくないかい?」
別に仲良く喧嘩してないのに┄
そう思うもののジャンヤさんの言葉は┄もっともなのでテラに謝っておくと、テラは何で謝るのか? と理解に苦しんでいた様子に、ジャンヤさんとジルさんがクスクスと笑いあっているのを見て、あなた達は夫婦かい! と突っ込みをいれたくなったよ。
何故って? だってさあ、子供の私達を母性愛のある瞳でみられたんだよ! そう突っ込みたくもなると思いますよ!
二人の優しげな瞳に耐えきれず、私とテラは┄うぐっ! と言葉を詰まらせながらも食事をすることにした。
このときの食事メニューは、私とテラはお子様ランチにオレンジジュースかミルクでジャンヤさんは鯖の味噌煮、ジルさんは小魚のムニエルで二人して赤ワインの飲み物のセッティングをしてあります。
◆◇◆◇◆◇
食事が一段落した頃、デザートを私とテラが食べているとき
「┄そういえば、冒険者の試験は┄どうだったんですか、二人とも?」
ふと思い出したようにジルさんから質問されて、そういえば報告をしていなかったな? と反省した後、私とテラは互いに笑い、勝利のピースサインをジルさんにみせた。
「「合格したよ(ぜ)」」
「ほう┄二人が合格できるとは意外ですね?」
「何だよ! 俺達が不合格すると思ってたのかよ!」
「┄思ってたんですか?┄ジルさん?」
「ええ┄少し┄」
「「うわ、ひど┄‼」」
などと私とテラ、ジルさんとのやり取りを見ていたジャンヤさんがクスクスと笑い
「┄仲良いね┄」
と微笑ましげにしていた。
いまの何処を見て、仲がいいと思うのでしょうか? ジャンヤさん‼
突っ込みを入れたい気持ちだったが、先にジルさんは何処か、わざとらしく咳払いをした
「┄それよりも主こそ、よく二人が試験を合格すると思えましたね?」
「思えたというよりも、彼等の実力だと思うかもしれないよ。今回は私が試験官だったからね」
「┄それだと身内贔屓だと思われなかったのですか?」
「思われた可能性はあると判断されても┄おかしくないだろうけど、私は実力に見合わせるつもりで、条件を提示させたんだよ。反撃をしても┄いいとね」
ニッコリと笑いながらの説明に、私とテラは試験中の事を思いだして苦笑してしまう
そんなジルさんは私とテラ、ジャンヤさんを交互に見つめ、どういう状況だったのかと判断出来たらしく
「┄なるほど」
と納得していたが、話の内容を聞いて興味をそそられたのか、先の話を促された。
「┄その条件での試験では、結構不利だったのでは? いったいどのように合格をしたのかと興味がそそられますね?」
「そうだね、詳しい内容はね┄┄」
◆◇◆◇◆◇
ジャンヤさんが試験中の出来事を事細かく説明していると、ジルさんは相槌を打ち話しに夢中になっている
私とテラは説明をデザートを食べながら聞いていれば、時おり厳しい話から始まり、改善点の注意、動きの連携などを話し、最後には二人の技についての素晴らしさと今後の方針を言っていました。
最後まで聞き終わった頃、ジルさんは最後の技について思う所があったのか、考え込んだ様子だった。
そんなジャンヤさんはジルさんの態度を気にすることなく、別のことに興味をうつしていた。
「┄所で、二人は、最後の合同技の名前は考えてるのかい?」
「「え? 考えてませんけど、あったほうがいいの(か)?」」
「あったほうが、互いに気持ちが一緒だと、技の力も増す気がするんだよね、どうだい?」
気持ちが一緒という言葉に、私とテラは互いに見つめて頷く
「「名前┄つけてくれませんか、ジャンヤさん‼」」
声を合わせてジャンヤさんを見つめて言うと、「私でいいの?」と返されて頷けば、ジャンヤさんは、考えると思いついたことを話してくれた。
「┄そう┄だね。君達の攻撃や連携がかさなり思いが一つになった感じだから、『双竜雷撃波』って名前はどうかな?」
「意味は┄何ですか?」
技の名前が┄どんな意味合いがあるのかとテラが聞いた。
私はただ┄いい名前だと思っていたから、ついテラを見ると、何か思う所があるのか、ジャンヤさんを見ていた。
「1つの竜がもう1つの竜を守るように、力を合わせて雷撃の波に乗ったって意味かな? 何か気になるのかい?」
「┄いえ、少し気になっただけです。教えてくれてありがとうございますジャンヤさん」
そう礼をいい終わると、難しい表情をしていた。
私はどうしたんだろう? と思っていたら
「┄ライくんは、どう? 技の名前を気に入ってくれたかい?」
急にジャンヤさんから声をかけられて、変な声をあげてしまった。
「ふえ? ┄┄えっと、格好良い名前だと思います」
「そう? なら良かった。それより話しはここまでにしてデザートを食べなさい、残すの嫌でしょ?」
「は! 確かに」
私はジャンヤさんの言葉にデザートの事を思いだし、再び食べていたけれど
テラはジルさんに何か小声でボソボソと話していたことに気づいていなかった。
そのあと┄デザートも食べ終わり自然と欠伸が出てくる。
緊張感や疲労と子供の体力の限界が近く、体が休眠を欲していたようで、目元を擦りウトウトしてしまったあと
「ふふ、二人とも疲れてるようだね。セルジオはテラくんを、私はライを部屋に連れて行くよ」
「はい主、ではまた明日」
「おやすみセルジオ」
ジャンヤさんとジルさんの話し声が聞こえ、私の体が空中に浮いた感覚の中は、気持ちよくて意識を手離したのだった。




