閑話 主との邂逅ージル視点ー
テラとライが布の布団を被り眠りについている頃、私は主と二人っきりで嬉しくも恥ずかしい状態にいた。
何故なら元の姿である聖獣の姿になって欲しいと言われ、一瞬なんで? と疑問がわいたが、お願い! と手を合わせて、可愛い頼み方をするのは、前からやるやり方なので、うっとりしながら頷き元の姿になった。
でもサイズ的に小型に変化をしておくのは忘れてはならない
今の姿で本来の形態にすると、触ってもらえないからだ。
姿的には小さな子犬だと思ってもらうといいだろう。
一応言っておきますが、私は狐の姿なので、犬ではないことだけは主張させていただきます。
そして主は変化した私を見て、ふにゃっと笑い、膝においでと手を振られ近づくと膝に乗せられ抱き締められた。
「久しぶりだよね、この感触、ふわふわだ」
「当たり前です。いつも毛並みは手入れをしていますから、思う存分触っていいです!」
「ドヤ顔に、キメ顔をするセルジオって面白いね」
主はクスクスと笑いながらも、私の体を撫でてくれて気持ち良かった。
本当に懐かしく、少し感傷に浸ってしまいたくなる
もうあの出来事から5~6年ぐらいは経っている。その間の会えない淋しい気持ちは、私の心を締め付けていた。
だから思いっきり甘えていると疑問を不意に感じた。
「主は、あの男に会いたくは、ないのですか?」
こうして幸せの中にいる私だったが、主の思い人の事を忘れていたわけではなく
つい疑問を口にしたら、主の手が止まり、ポテッと私の身体に顔をあて
「┄うん。俺はあの人に悲しみや、俺自身の記憶を奪ったからね。幸せな人生のやり直しをして欲しい、俺じゃ┄きっと無理だから┄」
「┄主、そんなことは┄」
「┄あるんだよ。最後の時に俺自身でおもえたんだから、いくら好きでも、あの人と俺は世界が違うし、それに性別は変えられない。あの人には女性と幸せな家庭をもって欲しいんだ」
「┄主┄」
苦笑気味に言う主に私は、悲しい気持ちになった。すると主は顔を毛並みにあてて、グリグリとしたあとに、バッと起き上がり
「あの人との話しは終わり、それよりセルジオの話しが聞きたいな。あの子達の出会いや、俺と会っていない間を聞かせて、俺も話すからさ」
ニコッと笑う主に私は、強がっているんだと思うものの、突っ込む事はせずに、主に今までの事を話した。
◆◇◆◇◆◇
今まで私がしてきたことを、事細かく説明している中、ときおり相槌を打ちながら、微笑ましそうに、優しい眼差しで見られて恥ずかしくなりながらも、主が自分の話に興味を示して、
楽しそうにしていることを嬉しく思っていた。
だが領主の様子や、黒い靄、闇の玉、そして外套の人物の事を話した。
すると主の様子が先程とは違い、険しい表情になり、ポツリと呟いた。
「┄あの男が言っていたのは、こういうことか?」
「┄主? どうかしたんですか?」
「┄うん? ああ、もしかすると俺が封印した黒の王が復活したかも知れないんだ」
再び撫でるのを再開しながら話された単語に、私は立ち上がり、主に驚いた表情を見せてしまうが、そんな態度に主は難しい表情になり、ポツリと話しの続きを話す。
「外套の男は二人いるように思う。一人は領主を恐怖や嫌悪、疑念や畏怖などを刷り込み、呪いの装飾品を嵌めさせ操作した。それによりブルーヒストにある聖なる宝珠を願いが叶う物とし、襲撃を促した」
「そんな残忍性を持つ奴など、黒の王だと判断できる。そして今日見かけた外套の男は部下だと思ったほうがいい」
「あの男はね、俺が冒険者として最初の依頼に関わった事があるんだ、あいつは黒の王ではない」
そう説明をしてくれる主は、何処か辛そうに見えたが、すぐに優しい笑顔に戻る
主にそのような顔をさせるとは、異様に気になりますが、今は話してくれるまで待ちます。
私はあの時より大人になりましたからね!
「┄┄┄確かに主の言う通りです。モヤモヤしていた霞が晴れるように、考えが纏まります、やはり主は頭が良いです」
「そんなことはないよ。昔の経験が俺を成長させてくれて、思考が纏まるだけさ」
主はそう言い返し、私の頭を撫でて
「┄セルジオ。彼等二人を守ってあげて、あの子達は黒の王と戦うために必要だから」
「┄はい」
「いい子だね」
主の暖かな笑みを見せられ、嬉しく思いながら
私は主のつぎに子供達を守ろうと誓いをたてた
◆◇◆◇◆◇
次の日の朝、私は今日の朝食を用意している
昨日のカレーの残りをアレンジして肉じゃがに変化させた。
僅かにカレー風味のピリッと感を残しつつ、ブロッフ肉やジャガイモ、ニンジンに糸こんにゃく、などを鍋に入れて炒め、醤油、みりん、酒、水を500mlを入れる。
ここで出汁を入れるのを忘れてはならない
このメニューも主から教えてもらった料理だ
手順通りに作っていれば、良い匂いが辺りに漂い始めた頃、誘われるようにテラが起きてきた
「┄はよっす、ジル!」
「おはようテラ、今日は早いですね」
「まあ、ライが寝相が悪くて、蹴られて目が覚めた┄」
「あ~なるほど。ライは疲れてたんでしょうし、文句を言わずに、起こさないなんて┄優しいですねテラ?」
「┄┄別に! 気持ち良さそうに寝てたから起こす気に、ならなかった┄┄だけだし!!」
フン! といい顔を背けるテラにクスクスと笑っていたら主が此方にきた。
「お、楽しいことになってるね、私も混ぜてくれるかい?」
にっこりと笑う主に、また悪のりモード再びかと思うが、勘違いさせてた方が、楽しいと主から言われているので、突っ込みを入れることなく主に話しかけた。
「主は┄散歩してたんですか?」
「うん。早く目が覚めたから、ジッとしてるよりは良いかなって」
「あれ? この匂いは、肉じゃがかい?」
「はい、二日目のカレーも異空間にしまってますが、今は朝ですので肉じゃがにしてみました」
「そっか、食事が楽しみだね」
私と主が互いに笑い合っていると、テラの視線に気づき振り向けば
「お前ら、主と従者ってより、夫婦のようだな?」
などと面白い事を言われ、私と主は目を合わせて笑ってしまった。
テラは「┄なんで笑うんだよ!」とムスッとしてますが、夫婦だなんて笑えます。
主の性別を知ったら、本当に面白そうですね
それから十五分後ぐらいたった頃にライも起きてきて、朝食を食べる
テラとライは朝食メニューを珍しげに見つめていましたが、主の美味しそうに食べる姿を見て、テラとライは肉じゃがを口に入れると幸せそうに食べ始めました。
食事が終わり始めた頃に次の目的地を話しました。
「次の目的地は、白狼の村ですよ!」




