第6話 廃村と美女の遭遇④
ジルさん達が盗賊と対峙している、同時刻、私とテラは、ぼんやりと静かに自分達の短剣を見つめていた。
青い宝石は、私の瞳に似ていて綺麗で暖かく、持っている手を重ねたら、トクンと鼓動が脈を打つようで、生きてるのではと錯覚する感覚があった。
「┄不思議┄だよな。この剣?」
「┄は? なにがだ?」
テラは壊れた家の壁に寄りかかりながら、短剣を握ったまま、隣にいる私を見た。
「これだよ! なんだか私の気持ちと同じ思いを現すように、伝わる温かさが違う気がしてさ?」
「┄? ┄┄そんなふうに、ライは感じるのか?」
「うん。テラは違うのか?」
「┄まあな。なんか自分自身の分身のように、こうしたいと思うと一緒に動いてくれる相棒な感じがする┄かな?」
「ふ~ん。短剣にそんなふうに感じるなんて、ちょっと妬けるなオレ」
「へ!?」
私が軽い気持ちを口にすると、テラが短剣をぎゅっと握りしめて驚いた表情をした。
そして動揺するように声が、上擦るように、口元がヒクヒクしている。
どうしたのかな?
「┄どう┄いう┄意味、ライ?」
「┄テラの相棒って┄、その短剣で、オレじゃないのかな~~っておもってさ」
「┄┄┄┄┄うっ! くっ┄┄ライって、ずり~」
テラはボソリと言って、顔を片手で塞ぎ私から視線を反らした。
うん? ずり~? ってなにが?
┄┄うん? あれ?
私┄何か、いま凄く恥ずかしいこと言ってない?
テラをよく見ると、耳や頬が赤くしていて、私までボッとつられて赤くなってしまった。
「な┄なに赤くなって、照れてんだよ┄バカ」
「┄ライが悪いんだ。俺を喜ばして、何がしたいんだよ!!」
「へ!? ┄嬉し┄かったのか?」
お互いに動揺しながらも、私の言葉で、テラが喜んでくれたことに
驚きながらも少し嬉しくて、聞き返した。
テラが私に顔を戻して見つめてくる顔は、まっすぐに私と視線が絡み合い、二人して赤くなったまま見ているなんて恥ずかしいが、返答を待つと、テラがコクリと頷く、そして┄
「俺さあ┄」
といいかけたときだった。
急に近くから、獣の咆哮が聞こえ、響いた。
近くの倉庫のような建物からは、多くの獣がわらわらとわき出てくる
獣の名前はタイガービート、虎型のモンスターで肉食であり、背や毛並みはオレンジ色をしている。獰猛な気性を持ち、危険視されているモンスターだ。
私とテラは、すぐに近くにある建物の影に身を隠し、その様子を伺った。
「┄なんで、ランクB並みのモンスターが出てくるわけ!?」
「わかんねえよ! でも、今の俺らじゃ┄叶わねえから、気づかれないように┄しないとな」
「うん、わかってる。あんなの相手にして、勝てる自信ねえよ┄┄怖えな?」
「┄だな」
建物の影から互いに密着状態で覗いている体勢は、私が前で、後ろ側にテラがいて、上と下から見ていた。
だから落ち着ける体勢ではない
腕が私の右肩にふれ背中には、テラがくっついてるという状態だ
ここ最近、密着すると胸が妙に鼓動が早くなってしまうことがある。
それに、なんだか少しばかり私よりも、背が伸びてきている気がする
┄┄やめよう、危機的状況で考えるものではない。私は首を振り、テラへの印象を振り払う!
「┄どうした? ライ?」
「え? な、なんでもねえよ」
「ふーん。まあいいけど。┄それより、タイガービートの集団がいなくなりそうだぞ」
ほら、と指をタイガービートのいる場所を示しているテラに、私は同じ方向を見る
タイガービートは、最後の一匹が出ていくが、不意にバッと私達のいる方向を向いた。
私とテラはビクッと体が跳ねて、嫌な汗が背中を伝い落ちていく
「気づかれた?」
「わかんねえよ」
互いに鼓動がバクバクとなるなか、そのタイガービートは、私達に興味がないか? 気づいてないのか? わからないように、ゆっくりとマイペースのごとく集団に追い付くように走っていった。
「なんか、気づかれなかったようだね。でも、最後の一匹だけ、闘争心がないような感じだったね、テラ」
「ああ┄、他の連中とは、違ったな。鋭そうなのに、わざと気にしてないようにも、見えたしな」
「うん。そう┄だね」
テラと会話をしている中で、私は妙に引っ掛かりを感じていた。
だいたいの勘はゲームに関することが多く、変にほっとけない気持ちになった。
けれど、なんとなくいまは、関係ないのかな?
と思っているなか、急にテラが声をかけた
「┄ライ、なに考えてんだ?」
「へ? あ、ああ、ちょっとな」
「┄ライって、ときどき、ぼんやりと考えごとしてるよな?」
ドキッとすることをテラに言われ
私は苦笑して、誤魔化そうと目線をそらす
「┄気のせいだろ! オレ、そんなこと、してないし、見間違いだって、あ、アハハ」
「見間違いじゃねえ! お前、嘘つくときの癖が出てるし、何年┄友人として、お前のこと見てると┄┄」
テラがそこまでいいかけた瞬間だった!
急に強い強い魔力波動の波が、私達の方まで流れ、同時に電気が走るようなビリビリとした衝撃がして一瞬のまにか消滅した。
私とテラは、妙に体がビリビリと、痺れるような感覚に襲われるものの、波の発生源を確認する
すると発生源はジルさんが向かった方向からしている。魔力の検索的に場所は、私達からおよそ1キロメートル先の場所から感じる
他にもジルさんの隣には、穏やかなのに強い存在がいて┄┄前方に1~10人と1人魔力の強い男がいた。
あとタイガービートの魔力がチラホラいた。
魔力探索を中断して、テラを見る
「なんだろうな、これ?」
「わかんねえけど、ジルが戦っていることはわかる。┄チッ、手がビリビリする」
「オレもなんだ、気持ち悪いよな?」
私とテラは、短剣を持つ手には力が微妙に入らない。
まるで状態異常の麻痺に近いと思ってもらったほうが、わかりやすいだろう!
そんなふうに、状態異常を確認していたとき
「┄わあお! 子供が村の中にいるな。どちらも上玉だ、あの男なら高く買ってくれるんじゃねえか?」
「たしかに、いいねぇ~!」
少しの距離的、3メートルの場所から声がして
私とテラは同時に相手を見つけた。
一人はフードを被り、盗賊の格好をしていて青い服を着ていた。
もう一人も同じくフードを被り、赤一色を着て、どちらも目付きは鋭く、卑しい表情を浮かべていた。
「ジルの奴、本当に2~3人来るって、予告どおりに逃がしてんじゃねえよ!」
「┄でも、オレ達なら大丈夫だろう! 手は痺れてるけど足は平気じゃん。ジルさんからモンスター退治の訓練で腕も上達したしさあ、┄人相手は初戦闘だけどさ」
「バーカ! 気合い入れて怪我したら、もともこもねえよ。作戦たてて、冷静に判断して戦おうぜ。人は魔物と違って、頭を使うんだからよ」
「うん、ごめん」
テラからの、全くの正論に、私は己の考えの甘さを知った。
テラも戦闘に揉まれ、ジルさんから色々と指導や戦闘方法の戦略を聞いてたもんね
格好良いじゃん、テラ!
「┄よし、じゃあライ! 背中は任すぜ!!」
「おう! オレの背中も預けるよ!」
「「戦闘開始だ!」」




