第6話 廃村と美女の遭遇②
私達は互いに声をかけあい、村の散策に行こうとしたとき
「あ! テラにライ、少し待ちなさい」
とジルさんに呼び止められ、私とテラは、ゆっくりと振り返り、嫌そうな表情になってしまう
「「なんですか?」」
「おやおや、嫌さ┄全開ですね」
不機嫌気味になるのは、しょうがないと思う、だって私達だけで行ってこいとか言ってたのに、いきなり止めるんだよ、やる気なくすよね
それに、はっきりと「嫌みかい!」と突っ込みたくなった。
「┄なに、嫌み?」
え? 私の心の代弁者のような言葉に、私はテラを見ると機嫌が悪そうだった。
「いえ、違いますよ。あなた方二人に渡すのを忘れていた物を思い出しましてね」
「┄┄これを受け取ってもらおうかと┄┄」
ジルさんは異空間に手をやると、2対の短剣を取り出すなり、私達に見せてきた。
1つは青く清むように美しく、綺麗な黄玉のような宝石が中央に埋め込まれていて、柄には竜神のガラが刻み込まれ、刀身は凄く切れそうなほど鋭い刃となっている短剣だ。
もう1つは赤く情熱や太陽のように美しく綺麗な柘榴石のような宝石が中央に埋め込まれていて、柄には竜神のガラが刻み込まれ、刀身は薄い青が色どられ鋭い刃となっていた。
この二つ、それぞれに強い魔力を感じ、普通の武器とは、どこか違う気がして食い入るように見てしまう私に対して、テラもさすがに言葉を失いながら、短剣を見入っていた。
目の前にある短剣を私は良く見て観察していると、蠢くような異質な感覚があって、少し怖いと思うがジルさんに受け取るように促されたら断れなくて、チラリとテラを見たら、同じタイミングで目があった。
そして互いに頷きあう
「┄ジルが無意味なことは┄しない┄、そうだろ?」
テラが苦笑気味に話かける。
私も、そう思うけれど、手にするのを躊躇してしまう、少しの恐怖心で受けとるのを躊躇って動けずにいた
するとテラが私から視線をそらし、ジルさんの手から2対の短剣をとり、1本を私の手の上に渡してきた。
異質な短剣が自分の手のひらの上にのせられ、綺麗だけれど怖いと思ってたせいで、ビクッとし、顔の表情がひきつりそうになる。
しかし、テラが両手で私の手を掴み、片方に自分の短剣と私の短剣があたり
「┄この短剣、手を掴んだとき、俺を受け入れてくれた。だから、怖がらなくていい」
「掴んでみなよライ。安心するから大丈夫、俺を信じろ┄な!」
テラの言葉に共鳴するように、暖かい気持ちになり、頷くとテラがニッと笑い離れた。
私は短剣を見るなり驚いた、先程とは違い恐怖を感じなかった。
暖かく、優しい色に輝き、私を受け止めているように見え、手を短剣の柄へと握る
すると、しっくりとして、初めから持っていたかのように、不思議と手が馴染んでいるのを感じた。
凄い腕のある人にでも、作ってもらったのかと思い、短剣を握ったままで、ジルさんに聞こうかと視線を向けたときだった。
ドーン
と急に爆音が辺りに響き渡った音がした。
ジルさんは爆音がした場所を探ろうと、険しい表情で周囲の気配を警戒していた。
私とテラも、ジルさんから渡された短剣を構え周囲を見据えた。
「┄ねえ、まさか盗賊がいて、自分の根城を壊したりすると┄思う?」
「┄わかんねぇ、でも可能性は低いことだけは感じる」
「ジルさんは、どうしますか? オレらは様子を伺いに、行ったほうが┄┄いいですか?」
警戒を緩めずにいるジルさんに、どうするべきか意見を求めるため声をかける
しかし、ジルさんは┄真っ直ぐ一点を集中して、私の意見を聞いていないようだ
私はそんなジルさんを不思議に思って、ジルさんが見ている方向を見るが、村の家々があるだけで、なにもなかった。
でも、テラがジルさんの見ている方向を見ながら、ポツリと呟いていた。
「繊細な感じなのに、綺麗な剣戟が聞こえる┄誰か┄俺たち以外にいる┄のか?」
「┄テラ┄わかるの?」
「┄え? なにがだ?」
「┄ジルさんが見てる方向に、なにがあるのか?」
まるで見えてるような物言いに、驚きながら聞くと、テラは一瞬だけキョトンとしていたが、慌てて手を振る
「┄ああ、違う違う。見えてるんじゃなくて、探索スキルと耳が良くなったのか、音が聞こえるように、なっただけだ。それに誰かいるって思ったの┄┄ジルの顔の表情を見れば一発で、わかるって」
テラに言われ、ジルさんを見るなり驚いた。
ジルさんにしては珍しく、眉毛が下がり、心配げのなかに幸せそうに笑みを浮かべている姿があった。
どうして┄そんな表情をするんだろう
少しモヤっとしてしまう
もしかしたら、大切な人がジルさんには┄いるのか? と危機的状況なのに、場違いなことを思ってしまう
そのときテラが私の頭に、ポンッと手をおき
「┄あんまり変なことを考えんなよ。いまは戦闘前だ┄集中しろよ」
「うん」
声をかけるテラに頷き、頭を切り換えて自分の頬を叩き気合いを入れた。
するとテラは私の頭から手を離し、ジルさんをみてから┄┄
「┄ジル! 気になるなら一人で行けよ! 俺らに気を遣って行けないんだろ? 留守番しとくら┄ライと」
「┄え? 留守番するの?」
「┄ああ。子供の力と大人の力じゃ、役立たずの子供だって前にジルに言われたからな、同じことは2度もしねえよ」
「だからジル、安心して行ってこいよ」
「そうだね、オレも危険なことしないって、約束したから守るよ、ジルさん」
テラの言葉にジルさんが、行きたい場所があるんだとわかり、自分自身の我儘はいけないと思い、ジルさんの背中をおすつもりで言ったら、ジルさんは1度、目を見開き驚いていた。
でも私達を見て忠告とアドバイスをつげた。
「わかりました。ですが┄1つ約束してください。もしかすると敵を取り逃がす可能性があった場合は、あなた達の方向に来ることがあります」
「敵に襲われたときは、殺す覚悟は決めて戦いなさい、そして自分の命を一番に考え行動をとること、いいですね」
「「はい!!」」
私達は元気よく返事をし、手を敬礼する
ジルさんは一瞬、不安そうな顔をされてしまったが、私達の頭を撫でたあと、私達を信頼する笑みを浮かべ
「では、行ってきますね」
と言い残しジルさんは走っていった。




