第4話 旅立ち⑧ーテラ視点1ー
親父から渡された二つの物をベッドに並べる
1つは紹介状、もう1つは俺に関するものだったりする
ベッドに倒れ込むと、息がもれるのは、ため息だとすぐにわかるが┄また、漏れでた。
出生なんてまだいい。
俺には今はただ、王都に行くには何が必要かを問われた事の方が問題なんだ
夕刻頃に時間を遡る、俺はぼんやりと居間のテーブルに突っ伏していると、母さんが頬をつついてくる
「┄何を落ち込んでるのかしらテラ?」
俺はほっといて欲しいのに、やたらと構ってくるから┄
「┄別に落ち込んでないし、ただ学園に行く理由が┄わかんないんだよ」
「強い奴とは戦って見たいし、ここにない物は┄学園で学べるだろうけど┄なんか、こう┄やる気がなくてさ」
ポツリポツリと自分の思いを母さんに喋ると、母さんは俺の頬をつついてくるのをやめて、前の席に座ると俺の頭を軽くコツいた
「やる気が無いんじゃなくて、王都でなにをしたいかって事を見つけなさい」
「テラが、自分で何を思い、道を進んで行くのかは、結局は、貴方次第なのよ」
「まあ、お父さんも昔、同じ事を思ってたもの、悩んで悩んで、道を見つけたら前に進める。
だから、テラも自分の先にあるものを悩んでいいの、理由なんて行ってみて、見つかる事もあるのだから┄ね!」
明るく正論を言われ、顔を上げると自信ありげな母さんに苦笑がもれる
だって、少しながら、先へと進んでみようとおもえたからだ。
ー回想終了ー
ベッドから起き上がり、手紙と紹介状を服の中にしまうと、不意にあの場所へと久し振りに行ってみても良いかと思え、家から抜け出すと秘密の場所に向かった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
場所は祠がある別れ道の先にある。
両親からは危険な所だと、立ち入りを許されなかった。
周囲には大きな岩があり、月や星が綺麗で、近くには湖がある、神秘の場所だといえる。
ライとは幼少期に冒険感覚で行った大切な思い出だ。
歩きながら懐かしくて回りを確認していると、大岩の辺りに1人の影を見つけた。
髪色はライに似ているのに、どこか少女のような中に憂いを帯びた表情で月を見つめている。
美しくて、綺麗だとぼんやりと眺めて立ち尽くしていると、その人物が俺を見つけ振り返ると水色のローブが翻り、次の瞬間
「┄テラも、来たんだ。こっちに来れば┄」
聞き覚えのある声に、ライ┄かよ!
と口に出して言いたかったが、
飲み込んだ。
「┄え┄おう!」
動揺のあまりに変な返事を返してしまったが
近くに行くとライは普通とは違う格好になっていた。
パジャマ姿ってやつかな。
それのせいかな、可愛く見えてしまったのだろうか?
少し考えるが、よくわからない気持ちでいると
ライが急に首を振っていた。
どうしたんだ、急に?
ふとした疑問だったが、まあいいかとリラックスしているとライが話をふってくる
「┄なんか、眠れなかったから、ちょっと来てみたんだ。でも┄、まさかテラが来るとは思わなかったよ」
「だよな」
「┄ライもか? 俺もなんだ!少し考えが纏まらなくて、ここに来たんだ。そしたらライがいた」
「そっか、なんか、お互い悩みがあると、ここに来るよな」
「かも┄しれない。ここ数年はなかったのに┄、まあ親父からの紹介状が原因だろうけどな」
服の中から紹介状を取り出すと、月明かりに照らしてみる、しかし、やはりなにも感じない┄
そんな事を思っていると┄急にビックリする話題をふられた。
「┄テラは、出発するなら、いつ行くの?」
「学園に┄だろう。迷ってる、ライは?」
「オレは3日後に行くよ。早く強くなりたいから、自分の力不足があったし┄ね」
3日後か? 早いなと驚きと寂しさが込み上げて来たが、不意にライが最後に言った言葉が気になった。
力不足と言って肩に触れるライの姿は、酷く辛そうな顔をしている
けれど、すぐに強い瞳になる姿に、俺は気づいてしまう。
ライがあのときに庇った時の事を思い出していて、力ではなく己れの身体でしか守れなかった事を悔やんでいると
それに早く強くなりたいという言葉は、自信過剰かもしれないが、背中を俺に預けるまでに力をつけたいと言われてるようで、心がざわついてしまう
何だか嬉しいような、恥ずかしいような気持ちになり、自然と笑ってしまった。
だから、辛そうにしているライの心が安らげるようにと軽く頭を撫でてみたら
とても柔らかい毛並みに、フワフワした触り心地が気持ちよくて、妙にいとおしさで変な気分にかられ、慌てて手を離した。
うわ~、なんだこれ?
一瞬、やばかった。男だって、わかってんのに手を出しそうになったよ!
月明かりのせいか?
き、きききっとそうだ!と思いたい
そんな動揺で心臓がドギマギしていると、バンッといい音が鳴り、少しビクッとしてライを見ると、気合いを入れてるのに、困惑気味な姿が面白くて笑ってしまう
「なに、してんだよ1人で?」
「┄良くない物を払っていただけだ。┄気にすんなって、あはは」
妙に苦し紛れの言い訳に、苦笑を浮かべるライの百面相が可笑しくて、また、笑っていた。




