第3話 継承⑧ーテラ視点ー
ライとの帰りを断るのは、心苦しいものがあったが、どうしてもジルに確認を取らない事には、心の中のモヤモヤが晴れる事がないと思った。
何故にジルか?
それは、ライに言えないもう一つの理由があったからだ。
夢の中の登場人物にライの父親と俺の親父が出てきた。
そして二人の兄弟と言う三つのキーワード、それを頭で推理し出された解答は、俺と親父や母さんは親子ではない、という真実を突き付けらわれた。
だから心の動揺が酷くて、すぐに家に帰る気がおきなかった。
ならばジルに会って謝罪と、ともに親父達と何だかんだで仲が良いジルに聞くのが、心の傷を受けるダメージも違ってくると思ってのことだった。
他人の口からのほうが┄きっと┄
ジルは椅子に座り、まっすぐに俺を見据え、残って私に何を話すのか?と言う目で見られ、いざ話そうとすると口が渇くが一度呼吸をとり
「俺は、不思議な夢を見たんだ。そこでは赤ん坊になった俺と、騎士服を着たセクイズとローランド、そして妙に懐かしく感じる男兄弟二人を見たんだ。」
「┄┄それで、なんだい?」
「これは、どういう状況だと┄思う?」
「┄それを私が口にすることで、貴方に何か答えがでるとでも?」
「┄ある┄はず┄。だから┄言ってくれ┄┄」
自分で口にしているのに、胸が苦しくなってしまい、最後の言葉が小さくなってしまうものの、決意を決めて聞いた事に後悔はない。
そう思ってジルに言ったのに、ジルは静かに息を吐いてから、呆れたような表情を俺に向けて
「┄甘えないでください。己れ自身が出ている答えを、他人から聞けば傷が軽いとでも思ってるのでしょうが、易々と答えをくれるとでも、思っていたのならば間違いも大概に
しなさい」
「私に求めて、自分の傷に恐れを抱いては先に進むことは出来ないと知りなさい。だから┄言っておきます、私にその質問に答える義務はありません」
厳しい口調で突き放された言葉に、甘えを見透かされ、俺は自分を恥じた。
そうだよな、ジルがこういう奴だってわかってて聞いたんだ。
突き放されてショックを受けるのは間違いだよな。
そう思い苦笑を浮かべ立ち上がったとき
「ですが、一つだけ言っておきます。その質問は、貴方自身が勇気をもち両親に聞きなさい。両親は必ず、貴方に答えをくれます、そして知りなさい両親の思いを、二人はけして拒絶することなく、愛してくれますから┄」
ジルは突き放した後にアドバイスをくれた。
あんたは冷たいんだか、優しいんだかな。まったく俺の心を乱すなよな?
けど、少しだけ勇気をもらえたような気がした。
「┄サンキュー」
小声でそれだけ言い残し、俺は両親のもとへ行くために店を出た。
◇◆◇◆◇◆◇◆
俺の家は村長をしているためか、家は少し大きい方だが、別にそれだけだ。
親父なきちんとしていて真面目な所があって、剣術は双剣なため、俺の武器は二つ使えスキルも結構覚えてたりする。
だから血筋的な能力は、確かにあると思ってたのに、あの夢のせいで頭の思考はグチャグチャになったが、ジルのお蔭で気持ちは落ち着いた。
家の前の扉を呼吸を整え、勇気をもってドアノブを回して入ると、目の前に親父と母さんが立って出迎えられた。
「┄ただ┄いま┄」
よし、普通に声がでた!と思ったそのとき
「目が覚めたなら、さっさと帰ってこい!このバカ息子が!!」
と怒鳴りつけつつも、バッと親父が抱きついてくる
「┄まったくよ、心配させて!!」
母さんは親父と俺を両方抱きしめて、泣いていた。二人からは本当に俺を心配する気持ちが伝わり、目頭が熱くなる。
ずーっと俺の両親として育ててくれた二人が、愛情をそそいでないわけないのに、不安が俺の心を支配する。
俺だって両親が大事なんだ。
だから確かめないといけない
嘘と
いう親子関係より、深く互いの思いを伝えあい本当の家族になるために
でも、今は!このぬくもりの幸福に勇気をもらおう┄┄
◆◇◆◇◆◇◆◇
一通りの対面で報告するために、家の居間あたりで俺は話したいことがあると話題をふると
何に対してかと両親に問われたが、真剣な俺の表情を見た後に居間に移動して、ソファーに親父お母さん、対面する場所のソファーに俺という構図で座った。
俺は母さんが入れてくれた紅茶を一口、口の中に流し込むと息を吐き、まっすぐに両親を見据え話し始めた。
「話しって言うのは、倒れて気を失ってる間に見た不思議な夢のことなんだ。俺が何処か豪華な建物の中で赤ん坊になってて、11才か12才ぐらいの男の子二人が俺の事を弟って言っててさ、そんで騎士服を着てた、いまよりも若い親父とライの父親が俺を連れていくっていう┄┄おかしな夢を見たんだ」
「だから、不安になって帰ってこれなかったんだ、普通の夢ならよかったけど、これ俺の奥にある記憶だって、夢に出てきた変な奴に言われてた。そうしたら、俺の考えだと嫌な現実を突きつけられたんだ。」
「俺と親父や母さんが血の繋がらない、他人になるって、確信し恐怖した。なあ親父、正直に言って欲しい、真実を話してくれないか?覚悟はできてるからさあ」
自分の心のままに思った事を口にして、話し終わった俺の顔は悲壮な表情をしているのだろうか?
親父は俺の言葉を聞いて、複雑な表情をするが、母さんが親父の手を置く互いに頷いたあとに俺を見て話し始めた。
「┄┄わかった、話そう。だが、しかし、一つお前に言っておくぞ┄、確かに、血の繋がりはないがなくとも、お前は昔も今も俺達の大事な息子であることは、誰にも譲る気はないからな」
「そうよ、私も父さんもテラの事を、この世で一番に愛しているんだから、他人だなんて哀しいこと言わないで」
「まったくだ、大事じゃなければ、ここまで育てとらんわい、まったく!!」
「そっか┄┄ごめん」
その言葉は今の俺には、不安を拭うほどの威力を発揮してくれ、悲しい気持ちは薄まり
嬉しいような、泣きたいような、複雑な気持ちの表情を浮かべたのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
親父からは、出生の秘密を僅かな部分を簡単に説明してくれた。
俺はある方達により頼まれて逃亡していたこと
親父とライの父親が騎士団に所属していたこと
逃亡先である、ブルーヒスト村で母さんと出会い結婚したと、最後はラブラブ話しだった。
急に親父と母さんは思い出話しになり、二人のラブラブな雰囲気は恋人のいないものには毒なため、そうそうに途中退場を余儀なくされ、自分の部屋に戻る事にした。
部屋に着いて中に入ると、月明かりが部屋を照らしていたが、気分は最初の頃よりも、だいぶらくになっていたため、俺は灯りをつけずにベッドに倒れ、仰向けになった。
「┄色々と知ったせいかな、本当、今日は疲れた┄」
不安や哀しい気持ちは、両親の話し方や今まで
のことを思うと消えてくれた。
だが、違う思いも感じるようになった。
あの戦いでの未熟さや、親父が言ったあの方って、夢の中に出てきた兄弟のことだろうか?と推測できる。
それに親父が「あの方達と会ったときに、本当の真実を知ることになる」とか遠回しにいわれ、今は話すときじゃないような言い方に、ちょっとイラッとした
うん、少しは俺らしさをとりもどした瞬間だったためよしとした。
「┄なんか、考えんの面倒臭くなってきた、ねよう┄そうしよう」
モゾモゾと布団に入り俺は眠ることにする
うん、今日はいい夢を見るぜ!!
そう意気込みだすと、欠伸が自然と出て眠ることができた。
しかし、このとき俺は忘れていることがあったが、次の日にそれを思いだし、親父達にそれを報告することになるのだった。




