先輩として後輩として
「まさか同じギルドメンバーだったとは…!?」
さっき騒ぎになっていた帽子の少女は、同じギルドの仲間だったようだ。
ミヅチは帽子の少女を紹介する。
「ああまだマコトは知らないよね。この子はマリ。このギルドの仲間だよ」
「いやわかるけど…」
ついさっき会ったので。
帽子の少女は自分に近づいてきた。
「…マリです。職業は双銃士でレベルは116です」
え!?レベル116!?マジっすか?
結構高い上に双銃士?この世界に火薬ってあるの?
そして無口&無表情キャラときた。
「マリはこのギルドで一番レベルが高かったんだよ」
つまりこのギルドの最高レベルを抜いちゃったってことか。
「…高かった?ということはこの人は…」
マリが自分をじっと見る。
「えーと…マコトって言います。職業は妖術師でレベルは124なんだ」
「124…!」
やっぱりこのレベルを聞くとみんな驚くよね。
「…ミヅチ。この人何者?」
「さぁ?でもいい奴だと思うよ?」
おいミヅチなんで疑問形なんだよ。
「性格はともかく腕は確かだから大丈夫だよ。盗賊団を撃退したぐらいかな」
ミヅチの説明を頷きながら聞いていた。
よしミヅチ。後で顔面一発な。
「ん。じゃあ明日手伝って欲しいことがある」
「手伝って欲しいこと?」
「一緒にダンジョン探索を手伝って欲しい」
「ダンジョン探索?…わかったいいよ」
「ありがとう。じゃまた明日」
マリは足早に部屋から出ていった。
帽子から出ている髪は黄色だった。
ていうかなんで帽子を被ってるんだろう?
今から聞きに行ってみようかな。
「あ。そうだマコト」
「ん?」
自分も部屋から出ようとしたらミヅチが話しかける。
「実はこのギルドにはそれぞれ一組二人のパートナーと組んでもらってるんだ」
「はぁ」
「で、マコトはマリと組んでほしいんだよ」
「ふーん……は?」
「なんかマコトとマリって相性ピッタリだと思うんだよ」
「どんな相性?」
「それはマコトが見つけることでしょ?」
このギルマスは…。
「明日のダンジョンの詳細は全部マリに伝えているから聞いておいて」
「あれ?もしかしてミヅチからの頼み?」
「いやギルドのお仕事だね。定期的にダンジョンを探索して報告しないといけないんだよ」
「そんな大事なこと私がやるの?」
この世界に来てまだ一週間も経ってないのに。
「ああ大丈夫大丈夫!行ったっていう証拠の物を採取してくれればいいからさ」
相変わらず適当過ぎるこのギルマス…
「ってミヅチがやればいいじゃん!」
「いやそんなめんどくさいことやってる暇なんて俺にはないんだよ」
「殴るぞ」
「怖っ!マコト怖いよ!」
おっとうっかり本音が。
翌日。
「さぁーて!行きますかダンジョン!」
「…なんでナギサとシズクが?」
街門の馬車待ちの場所で自分とマリ、ナギサとシズクが立っていた。
「今から行くダンジョンはちょっと特殊なダンジョンだからね」
ナギサの横からシズクが説明する。
「ダンジョン内のマップや構造、罠などが変わる可能性があるのでその調査もあるんですよ」
「確かに罠は嫌だね…」
ダメージトラップならともかく、転移トラップはかなり怖い。
転移先が敵だらけとかよくゲームであるからね。
「…大丈夫。気をつければ」
いやマリさん気を付けるのは普通だと思うんですが。
「それに先輩としていい所見せちゃおうと思ってさ!」
…もしかして盗賊団の時のこと、まだちょっと引きずってるのかな?
「あ、そうだマリさん…」
「…マリでいい」
「じゃあマリ。えと…双銃士ってどんな感じの職業?」
武器は腰に銃らしき物を掛けているが…
「双銃士はこの魔導具を使って戦うの。…ちなみにこの魔導具は売ってないもの」
あ、非販売品ってことか。あと魔導具だったのか。
まぁ火薬があったら今頃大砲とか外壁に設置されてそうだしね。
「…敵の動きを止めたり吹き飛ばしたりする。もちろん魔力は使わないし速いから便利なの」
魔力を使わず敵を一掃できるのか。確かに便利だ。
「…マコトの妖術師っていうのは?」
「まぁよくわかってないけど…妖術っていう変わったスキルがあってね…」
この後妖術で姿を変えることのできることや多くの魔法を持っていることを教えた。
「すごい…カッコいい」
「え?カッコいい…?」
マリは目をキラキラして見ている。マジだ。
「いやいやマリの方がカッコいいでしょ?銃なんてカッコいい物使ってるんだから」
「…これは私の力じゃない。銃の力だから」
「………」
話していたら馬車が来た。
自分達は馬車に乗ってダンジョン近くまで向かった。
「おお…結構深そう」
馬車から降りて少し森を歩いた所にある洞窟型ダンジョン。
見るかぎり奥は暗くて全く見えないが、敵の魔力がかなり奥から感じる。
「階層は三層。現れる魔物はゴブリンやスライム種です」
「このダンジョンっていつ出来たっけ?」
「えっと…六ヶ月前ですね」
「ダンジョンって勝手に湧くものなの?」
「まぁ大体はそうだね」
「…例外もある」
例外?何か条件とかあるの?
「かなり強い魔物が住み着いた所がダンジョンになったりするんです。でもそういったダンジョンは極稀ですね。基本的にはこういった洞窟型ですが」
シズクが丁寧に説明してくれる。ええ子や…
「ここのトラップはほぼすべてダメージトラップなので発動したら回復と回避をお願いします」
すごい!あのドジっ子シズクが指揮官に見える!
「それじゃダンジョン探索始めますか!」
「「「おー」」」
空回りな掛け声と共に初めてのダンジョン探索を開始した。
「……おかしい。魔物がいないぞ?」
魔法で光を呼び出し、照らしながらすすんでいますが一向に魔物が出る気配がありません。
「魔物の魔力は感じますがもっと奥から感じますね」
結構進んだがまだ奥から魔物の気配と魔力を感じる。
「一体魔物は奥で何してるんだ?」
「さぁ…?」
とにかく進むしかないな。
「…!皆さん止まってください!」
シズクの呼びかけにより全員が足を止めた。
「もしかしてトラップ?」
「だろうね…」
前方には何も変哲もない道だが、危機探知のスキルが反応している。
おそらくこの先に進むとトラップが発動するはずだ。
「トラップは大体物に反応するからね…」
ナギサが近くの石ころを拾い上げる。
「こうするといいのさっ!」
持っていた石ころを道に投げる。
カランカランと石が落ちる音が響くと…
ジャキジャキーン!
かなりの量の槍が横と縦から飛び出してきた。
「…いや今の受けたら死ぬよね?」
「罠の威力が上昇していますね…」
威力関係なく即死だろあれ。
どこかの某ゲームの即死トラップじゃねぇか!
「これは気を引き締めないとな…」
やはりダンジョンのトラップは侮れん…
洞窟を少し歩くと自分達はまた足を止めた。
「…マコトさん」
「うんわかってる。」
自分は魔法の光を消す。
奥には松明だろうか?光が見える。
「この魔力は…ゴブリン種です」
光の先から魔物の気配がする。
松明の影に注意しながら奥を見るとゴブリンが七体いた。
「よし。じゃ同時に攻撃しよう」
みんなは静かに頷き、構える。
「…『マジックバレット』!」
「『アースマインド』!」
自分とシズクが同時に魔法を詠唱する。
ちなみに自分の魔法は無属性の攻撃魔法だが、シズクのは敵を混乱や錯乱状態にする精神異常魔法だった。
自分とシズクの魔法で三、四体は動かなくなった。
「よいしょー!」
「ふっ!」
「ギャアアア!」
奇襲に反応できず慌てる残りのゴブリン達をナギサとマリが片付けた。
「よし!奇襲成功だね!」
ナギサが親指をビッと立てる。
「皆さんこっちです!」
シズクが皆に呼びかける。何か見つけたようだ。
「この異様な階段は…」
「…次の階層への階段」
「でもおかしいわね?このダンジョンってこんなに早く階段ってあったかしら?」
「確かに早かったですよね…」
もしかしてトラップとか構造とか変わってる可能性大?
不思議なダンジョンだぜ…
「警戒して進みましょう。私達なら大丈夫です!」
シズクさんそれフラグ。
私達四人はダンジョンの二階層に進んだ。




