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ギルドと魔王と変わり者

この世界は二年前まで魔王による魔物の被害がたくさんあったらしく、未だに復興が終わっていない場所があるとか。

魔王はこの街セルフィアに集まった兵士やギルドで多数の犠牲者を出したが何とか討伐。この世界に平和が戻った。

「って言っても魔物はまだいるけどね」

シズクとナギサと浴場から出ながら会話を続ける。

「魔王は討伐したのに?」

「元々、魔王に仕えていた奴は消えたけどそこら辺の魔物は普通にいるんだ」

それって平和とは言わないんじゃ…?

まぁ魔王っていう強大な力をもつ奴がいなくなったんなら平和か。

「でも私達は参加しませんでしたよね?」

「えっ?そうなの?」

シズクの言葉に対してナギサが困った顔をする。

「シズク…それは言わない」

なんか聞いちゃいけないことだったみたい。

「…まぁ確かに私達のギルドは魔王討伐に参加しなかったよ。うん」

「はぁ…」

一見全員強そうな職業のギルドの集まりなのになんで参加しなかったんだろう?

三人で浴場を出て、食堂に向かう。

「理由はミヅチに聞いてみたら?少なくとも私よりかは詳しく話してくれるはずだから」

ナギサは逃げるようにさっさと食堂に向かっていった。

「実は私、このギルドに入ったのは一年前なんです」

てことはシズクは魔王が討伐されて一年経ってから入ったのか。

「なのでクエストに参加しない理由がわからないんですよ」

「…もしかしてタブー視されてるのかも」

「なるほど…わかりました」

なにか理由があったんだろうけど、聞かないことがいいだろう。

「マコトさーん!何してるんですかー!」

いつの間にかシズクはかなり先に進んでいた。

シズクを追うと食堂に着いた。


「お、来たね」

食堂に入るとミヅチが食事をしていた。

「マコトさんなにかリクエストがあったらリトさんに頼んでくださいね」

「ん?リト?」

シズクは調理室の窓口を指さす。

そこには優男のような人が料理をしていた。

リトという料理人はこのギルド専用の料理人であり、戦闘の教官でもあるとか。

「は?戦闘の教官?」

「リトさんはただ料理できるだけでなく剣の達人なんだ」

なんと!剣の達人とな?もしかして自分みたいな魔法職でも剣が使えたりしますかね?魔法剣士的な。

「リトの腕は確かだからちょっとした無理も頼めるから仲良くして損はないよ」

「ふーん…了解」

早速あいさつついでに注文しよう。

「リトさん!今日の夕ご飯はなんですか?」

シズクが先に声をかけるとリトと呼ばれる優男は反応してこちらを向いた。

「やぁシズクちゃん。今日の夕飯は魚定食と肉定食のどっちかだよ」

なんて大雑把な選択肢なんだ…

「んー…悩みますね…」

「おや?もしかして新しく入った子?」

リトは自分に気づくと声をかけてきた。

「あ、どうもマコトって言います。よろしくお願いしますね」

「リトだ。ここのギルドの料理人と教官をしてるんだ。よろしくね」

うーむよく見るとイケメンだな。こんな奴を仲間にするなんてミヅチと大した奴だな…

「マコトさんの服を見る限り魔法職業かい?」

「ええ。職業名は妖術師です」

「へぇ…妖術師っていうんだからなにか妖術が使えるのかい?」

お?リトさん興味ありですか?

「でも夕ご飯たべてからでいいですか?」

「ああ、じゃ何がいい?」

自分はとりあえず魚定食を選んだ。

シズクは時間をかけて肉定食にした。

「ほい魚定食と肉定食だ」

しばらく待つとリトが二つの定食を出す。

自分とシズクは受け取ってミヅチの近くのテーブルに座る。

黒パンと見たことのないやき魚とサラダ。

いや明らかに魚とパンは合わないだろう…

まぁ美味しそうだし、実はこの世界に来てから初めての食事だし。

我慢だな。うん。


「そういやナギサさんいませんね」

大体食べた時にシズクが話す。

そういえばナギサは先に食堂に向かったはずなのに食堂にいない。一体どこに行ったんだろう?

「ナギサならここに来てから戻っていったよ。なんか仕事残ってたみたい」

そんなに自分と入りたかったのか…?

とりあえずご飯も食べ終わったので食器をリトに出して、ミヅチと一緒に食堂から出た。

「あぁミヅチ。ちょっと聞きたいことがあるんだけど?」

「ん?なんだいマコト」

「このギルドは二年前に起きた魔王討伐クエストに参加しなかったって本当?できれば理由も聞きたいんだけど…」

「………」

沈黙。

まずい。もしかして本当に聞いちゃいけないことだったかも?

「…まぁどうせバレることだしね。しょうがない話そうか」

「あ、別に無理して話さなくても大丈夫ですよ!ミヅチさん!」

ミヅチの顔を見て悟ったか、話を止めようとする。

「いや大丈夫だよ…そうだね簡単に言うと参加できなかったんだ」

「え…?」

参加できなかった?つまり魔王討伐クエストを受けることができなかったってことか?

「な、なんですか…?」

「簡単さ。このギルドには変わり者しかいないからだよ」

自分は気づいた。

このギルドには他の冒険者とかけ離れた職業の集まりなんだ。

つまり世界の危機的状況に変な仲間を入れないようにしたんだ。

「…そうだったんだ」

「後でちゃんと話そうとはしてたけどバレちゃったのなら仕方ないさ。でも参加しなくて良かった所もあったんだよ」

「…?」


場所と時間は変わり、夜中に近い時間の自室です。

ミヅチとの会話を終え、とりあえず自室に戻ってきた自分です。

「犠牲者三万人か…」

二年前の魔王討伐クエストでの死亡数である。

魔王討伐に向かった冒険者は約五万人。

つまりやく七割は戦死してしまったのだ。

「確かにそのくらい犠牲者が出たのなら行かない方が良かったんだろうけど…」

騎士団も動いてその結果ならここの騎士団はよっぽど弱いんだろうね。

「しかし…このファンタジー世界に転生して女体化ときた」

しかも自分のステータスは最強。

どんな魔物でも余裕だね。

でも魔物ってどんな感じなんだろう?

ミヅチのオークは倒したけど、一体っていうのもあるから複数の敵に対してどう対処できるかいまいちわからない。

明日戦ってみて魔法の感覚を覚えないと。

今日一日トンデモ出来事が多すぎて疲れた。

「…っと。まだ眠くないしスキルの効果でも見ますかね」

スキルの効果をすべて把握するのはゲーマーの基本だし。

スキル一覧を出し、その一つ一つの効果を見た。

まず状況下での無詠唱が可能になるスキルの条件は、自身の生命値が一割を切っている場合と敵の数が自身のパーティ人数の四倍の場合、無詠唱が可能となる。また、敵のレベル差が50以上の場合も可能になる。

「…これ意味なくないか?」

まず自分の体力が減ることはそうそうないし、レベル差も50って…自分124ですが?

まさかレベル174とか出たら使えるが、そんな魔物、覇王とかでもない限りまずありえない奴だし。

敵の数は…まぁありえなくもないが四倍というのは…

他にも沈黙無効、鈍足無効など、状態異常に対する耐性もたくさんあった。っていうかほぼ無効だね。

パッシブスキルは大体見たので次は魔法スキルを見た。

「攻撃魔法だけじゃなく、回復、補助もいけるね」

自分賢者ポジション確定ですね。

でも少しだけよくわからないスキルを色々見つけた。

まず、『スイッチ・ブレード』という補助?魔法だ。

効果は魔力を剣に切り替える魔法とあった。

他の人にかけるとか?と思ったら自分にしか使えないらしく、他人には使用できないようになっている。

「魔力の剣を出すとか?いやでも別の魔法にあるよな…?」

『マジックブレード』という魔法で簡易的な魔法の剣を作り出す魔法だ。

次に、『マジックチェンジ』っていう魔法。

他の魔法を二つ詠唱しないといけない魔法らしい。

「なぜ二つも詠唱しないといけないんだ?」

一様攻撃魔法になってはいるが…

どれもこれも戦闘で使わないといまいちわからないスキルばかりだ!

補助なら今でも使える魔法があるだろう!?

補助魔法中心に見ていく。しかし多いな魔法。もしかして自分の習得してる魔法ってこの世界の魔法全部とかじゃないだろうな?

やだ私の魔法多すぎ…!?

「お?もしやこの魔法は…?」

皆さん魔法ではお馴染みの魔法があった。

「よし…『インビジブル』!」

魔法を詠唱すると自分の身体が透けていくではありませんか。

そう!この魔法は姿を消すことのできるあの魔法です!

やばいテンション上がってきたぞ。

「しかもこの魔法他の人にも使えるのか」

この魔法…やはり侮れん!

でもよく見るとみるみる魔力値が減っていくではありませんか。

しかも自動回復する魔力補給のスキルを超える速さで減っている。慌てて魔法を解除して減るのを止める。

効果が凄い分ちゃんと消費魔力も大きいとは…。しかも継続して減っていくのはまずいでしょう。

なるべく使わないようにしよ…

別に他の魔法で逃げたり隠れたりできるしね。本当に逃げたい時用だな。

「まぁスキルはこんなもんかな?」

ほぼ全部のスキルは把握できたので後はどんな感じに出るか確認しないとね。

ちなみにこのウィンドウを表示させるのは危険だとミヅチが言っていたのでこれからはあまり出さずにいこうと思う。

そろそろ眠くなってきたし、もう寝ることにした。

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