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姉妹と姫様

「ひぃぃぃ!た…助けてくれ!」

「なんなんだあの女!?」

自分は二十人の兵士を素手で薙ぎ払う。妖術師なのに物理で殴る。魔法なんて無かったんや…

「それにしても…弱すぎないか?」

弱いとはいえ国の兵士だろう?こんなに弱いのはどうかと思うんだけど…

「マコト。あまり倒しすぎると出口を聞けなくなるぞ」

「おっと…そうだねっ!」

自分は逃げ惑う兵士の中から一人引っ張り出す。

「い…命だけは!命だけは勘弁してくれ!」

「…おかしいな。自分、悪役になってないか?」

やりすぎたとはいえ、こんな反応されると辛いな。

自分はこれ以上悪化する前にできるだけ優しく話す。

「ここから出る方法を教えてくれない?出られなくて困ってるからさ………あのー?」

「マコト…目がわらっとらんぞ。何で脅迫しとるのじゃ」

あれ!?優しく話したはずなのに!?兵士は更に怯えてしまった。いい大人がこんなに怯えるのはちょっと引くけど。

「仕方ないの……おいお前ら!よく聞くがよい!」

ユマリア姫の言葉に兵士はピタッと止まった。

「妾達はここから出るために出口を探しておる!決して姫君を襲撃するためにここにいる訳ではない!」

おお!ユマリア姫か姫様っぽいことしてる!場所が地下道じゃなきゃかっこよかったのにね!

「おいどういうことだ…!?」

「あのローブの女、まるで姫様みたいに話しているぞ…?」

あ、やばい。正体がバレるかも。

(ユ…ユマリア!このまま話すと正体がバレるかもしれないから別の口調でお願い!)

(呼び捨てにするでない!あと口調を変えろと難しいことを言うでない!できるわけないじゃろう!?)

うーん参ったな…このままじゃバレるのも時間の問題か。

「仕方ない…走るよユマリア!」

「え?うおぅ!?な…何をするマコト!」

「ここを突破する!『マジックフライト』!」

自分はユマリアをお姫様抱っこして空中を飛翔する。

「空を飛んでるぞ!?」

「な…!?あいつ人間か!?」

いいえ。半ルフォーク族です。

兵士全員驚いてるけど、一番驚いているのはユマリアだった。

「マコトお前は一体何者なのじゃ…!?」

「別に。ただのお人好しだよ」

兵士の攻撃が届かないギリギリの高度で地下道を進んだ。

「追え追え!逃がすな!」

「増援を呼べ!出口を塞ぐんだ!」

自分は兵士の言葉を聞き逃さなかった。兵士が増援を呼ぶ。それはつまり入口から入ってくるということ。

入ってくる兵士を見れば出口が分かる!

「少し飛ばすよ!舌噛まないでね!」

「妾を誰だと思っておる!偉大な国のひ━━ぎゃあああ!」

飛ばすって言ったのに…

「くそ!追いつけん!なんなんだあいつは!?」

「人間が空を飛ぶなど有り得ん!別の種族なんじゃないか!?」

お?もしかして自分の正体に感づいたか?でもルフォーク族だって思いはしないよね。機械みたいな所ないし。

「あ…!見えた!」

前を見ると沢山の兵士と外の景色が見える。

「まずは掃討…!『サイクロン』!」

自分は風魔法で出口に出待ちしていた兵士を吹き飛ばす。

直当てはしてない。あくまで吹き飛ばした。

「ぎゃあああ!」

なのになぜか断末魔が聞こえた。この国の兵士弱すぎるぞ!

「よいしょ…っと」

自分は外に出れたので空高くまで飛び、この場を去った。

飛んでる途中ユマリアが話しかけてきた。

「マコトよ…これからどうするのじゃ?」

「うーん…このままだと犯罪者に成りかねないからね。ユマリアが偽物の姫を倒せば万事解決なんだけど…」

今おそらく偽物はギルド本部にいる。リスアスが何とかしてるだろうから自分達はとりあえず待機かな…

「あ、そうだ。シエル達を探さないと」

街に置いてきてしまった二人を探すため、一度地上に降りてユマリアを下ろす。そしてまた空を飛ぼうとするとユマリアが止めてきた。

「空を飛んでおると目立つぞ?大人しく歩いて探した方がいいと思うが…」

「うーん…確かにこれ以上目立つのは危険か」

自分は仕方なく街を歩いて探すことにした。でもかなり大きな街だからそう簡単に見つかるわけないだろうな…

「あ、姉様」

道に出たらあっさり見つかってしまった…

「シエル!良かった…無事だったんだね」

「…?姉様。私、何かと戦闘はしていませんが…どうかしましたか?」

そうか。シエル達は自分達の状況を知らないのか。

「ってマリは?ギルドに帰ったの?」

「いえ。マリさんは別の用事でどこかに行きました。私は今からギルドに帰還するつもりですが…」

シエルは後ろにいるユマリアに気づいた。

「…そちらの方は?」

あれ?なんでシエル警戒態勢なの?地味に魔力を溜めてるの分かってるぞ。

「お…おいマコト…」

「うーん…シエルだから大丈夫かなぁ…」

自分はどうしてこうなったかシエルに手短に説明した。


「━━━…ということは、あなたがユマリア姫?」

「そうじゃ…そういうお前…シエルはルフォーク族か?」

「はい。国の姫様と会話できて光栄です」

流石はシエル。お辞儀とか礼儀正しいね。

「ルフォーク族…妹ということはマコトも…?」

「自分は半ルフォーク族だよ。半分は人間でベースも人間だから機械の部分はないんだけどね」

いや自分は作られたやつじゃないからわからないけど。

自分は転生してきたし。

「なるほど…だからそんなに強いのか」

「まぁそうなるのかな?」

「姉様。ここで話すよりギルドで話した方がいいと思います」

「そうだね。自分も少し疲れたし…一旦ギルドに戻ろう」

「ギルド?ああ、マコト達のギルドにか」

「もう暗くなるし…一晩泊まる?」

「そうじゃな…夜行動するのは危険じゃからな」

ユマリア姫の寝床もとりあえず決まった。

自分達は足早にギルドに帰ることにした。


ギルドに帰ってくるとミヅチがいたのでユマリアのことを話す。

「あー…ということはその人はユマリア姫ってことかい?」

「うん。確か寝るところ余ってなかったっけ?そこに寝ればいいらしいから」

「ちょっと待てマコト!姫だぞ?小汚い部屋に寝かせるのは…」

「妾は構わんぞ?飯も寝床もお前達と同じレベルで大丈夫じゃ」

「ほ…本当ですか?なら案内します…」

ミヅチが珍しく緊張した顔で会話するので、自分は笑いを堪えきれなかった。

「さて…自分は温泉でも入ってこようかな」

「あ、では私も」

「え」

「姉様?…どうかしましたか?」

「いやシエルって温泉大丈夫なの?」

半分機械だし…回路ショートとかしない?

「大丈夫です。身体は人間なので問題はありませんよ」

まぁシエルが大丈夫っていうなら大丈夫か。

自分とシエルは説明の前に温泉に入ることにした。


「そういえばシエルと温泉入るのはこれが初めてか…」

「こっちに来てからはそうですね」

温泉の湯に浸かりながら話す。シエルが隣にいるけどあまり気にならない。慣れてきたし…妹でもあるからね。

「マリはどこに行ったんだろ?仕事だっけ?」

「はい。多分ミヅチさんが知ってるはずなので後で聞きにいぎしょうか」

シエルは自分の顔をじっと見つめる。

「な…なに?」

「姉様はいつも問題を抱え込みますよね。今回のように」

「そうだね…トラブル体質だからかな?」

自分は少し茶化したが、シエルは真面目な顔でこっちを見る。

「幾ら強くても死ぬ時はあっという間です…私は姉様には死なれたくないんです」

「シエル…」

「これ以上家族が傷つくのは見たくないんです…姉様は特に。私の使命は守ること。姉様のために戦うんです」

シエルは自分の手に手を添える。

「今回は誘拐のような危険はないでしょうけど、用心に越したことはありません。気をつけてくださいね?」

「…気をつけるよ」

自分とシエルはしばらく静かに湯に浸かっていると突然扉が力強く開いた。



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