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安心できる場所を見つけて

「意外と遠かったな」

「意外と…じゃないでしょ!?多分二時間はかかったよ!?」

本部についてから時計塔を見ると、だいたい五時半ぐらいだった。

ドラゴンで着陸した所からギルドは近いものの本部は少し遠いくらいで本当はもっと早く着くはずだったのだが…

「全く…ミヅチが道に迷うからこんなに遅くなったんでしょう!おかげで帰り多分真っ暗だよ?」

「いやマコトが道を間違っていることを教えてくれなかったのが悪い」

「自分のせいなの!?」

このギルドマスターは…そのうち捨てられるんじゃないか?

「全く…さっさと報告して帰るぞ」

「なんで半ギレなの…」

でもさっさと報告したいのは同意見だ。

ただでさえ自分は拉致られておまけに神との対話だからな。

身体的疲労と精神的疲労がきている。早くおフトンにダイブしたいんです!

そう思いながら自分達はギルド本部に入った。


自分達は受付の人にリスアスへ報告があると言って一部報告内容を教えたらあっけなく通れた。

「受付の人驚いてたね…」

「そりゃそうだろう。なんせあの犯罪組織に拉致されて帰ってくるだけじゃなく、組織を潰して秘密を見つけたんだからさ」

「う…やっぱりやばかったのかな…?」

「いやマコトの行動は正しいと思うね。これでもう拉致事件は無くなるはずだから」

まぁ、クロミが入っていったから自分も入ったんだけど…

結果オーライだし。大丈夫か?

「そういやミヅチ。リオルって一体どこにいるの?」

「ん?リオルか?あいつは調査隊と一緒に建物に向かったはずだよ」

なるほどだからあそこに来れなかったのか。

「しばらくは帰ってこれないだろうな…なんせ神が関わってるんだから」

「それは自分もなんだけどね…あと確かヤタマっていう街にいるギルドメンバーって…」

「それナツキとリオルだぞ?」

な…なんだってー!?それじゃそのヤタマって所から風の街フィンドに行ってたのか…

「あと残り二人のことか?残念だが帰ってくるのは難しいだろうな…」

うーんそれは残念。顔だけでも合わせたい所だね。

そう話していたらリスアスの部屋に着いた。

「邪魔するぞー」

「失礼しまーす」

ノックもせずに堂々と入った。資料を持って立っていたリスアスからは…

「全く…ミヅチ。ここはギルド本部長の部屋なんですよ?ノックぐらいしたらどうですか」

開幕嫌味言われた。

「すまん。さっさと報告したいもので」

「後半だけ敬語使っても変わりませんよ…」

リスアスは資料を本棚にしまい、正面の机に座った。

「さて…では報告を受けましょう。犯罪組織ダークコンバートについて」

「ああ。手短に話すぞ」

そういってミヅチは本当にリスアスへ手短に報告をした。


「混沌の神…祭壇…結界に反応の無いドラゴン…」

話が終わるとリスアスは頭を抱えていた。

「全く頭が痛いですね…これは明らかに第三者の手が加わっているということになります」

「それはつまり…別の国の刺客か?」

「そう断言するにはまだ早いのですが…おそらくそうでしょうね」

ジャックは別の国が送った刺客?そうは見えないんだけど…

「指名手配するにも情報が足りません。簡単な相手ではありませんね…」

しばらく無言が続いた。しかしそんなことしても意味がないと悟ったのかミヅチが突然話し出す。

「そのジャックのことは後回しでとにかく今は祭壇の探索じゃないか?」

「混沌の神の化身が宿ると思われる祭壇…敵の情報とはいえ本当にあるのでしょうか?」

そう言われると確かに怪しい。でも他に情報無いし…

「考える間にも奴らの計画は進んでいる。もしかしたら二年前の魔王よりやばいことが起きるかもしれない」

「…そうですね。とにかく今は調査範囲を広くしていくしか道はありません。時間はかかりますが…必ず見つけましょう」

流石はギルド本部マスター!頼れるわー。

「マコトさん。色々大変で怖い思いをしたと思います…後遺症などはありませんか?」

「後遺症?特にないけど…」

あるとしたら夢の中で混沌の神に目とか足とか切られて挙げ句の果てく殺人予告されたことかな。

「それは良かった…マコトさんはいくら強い人だとしてもあくまでか弱い少女なんですから」

「……はぁ」

まさかロリコンじゃないよな…?

「報告は終わったからもう帰ってもいいか?」

「はい。今日はお疲れでしょうからね。情報報告の報酬は明日受け取って下さい」

「ああ。がっつりいただくからな」

相変わらずこっちのギルドマスターはゲスいなぁ…



報告が終わったのは七時ぐらい。辺りはもう暗くなっていた。

「はぁ…今日は本当に疲れた…」

「お疲れ様だ。…そういやマコト今日は何の日か知ってるか?」

「え?何の日かって…?そんなの知らないよ」

何かの祝日なのか?そういえばこの世界での日付サイクルに関して全く知らないな…

「祝日では無いがな…マコトがきてから一ヶ月だよ」

「えっ!?そんなに経ってたっけ!?」

まぁダンジョン内で宿泊したりしたから時間にはルーズだったけどさ…まさかそんなに経ってたとは。

「本当は今日お祝い開こうかと思ったんだが…マコトが拉致られてあえなく中止さ」

「う…なんかごめん」

「気にすることじゃないさ。いつかやればいい。生きてれば何とかなるんだからな」

ほほぅ…ミヅチのくせに意外といい事言うじゃんか。

「でも一番トラブルに会いやすいマコトだからうっかり死ぬこともあるだろうよ」

「黙らっしゃい」

やっぱり前言撤回だわ。このギルマス最低だ。

「でも…心配してくれてありがとう」

「ああ。マコトはギルドの仲間であり家族だからな」

家族か。その言葉に自分は胸が苦しくなった。

前世の話だから忘れていたけど、自分には親がいなかった。

事故で死んでしまったのだ。幼い時に祖父母に引き取ってもらったので顔すら覚えてないけど…

「って何考えてるんだ自分…」

そんな話を考えても意味がない。今はこの世界で生きていくことを考えよう。

「ところでさ…ミヅチ」

「ん?」

「ここは一体どこなんだろうね?」

ギルドに戻ったのは夜中だった。


「はぁ…マジで疲れた…」

自分はギルドに帰ったらすぐさま自室にあるベットにダイブした。

そして疲れによってそのまま寝てしまった。

不意に目が覚めると重要なことを忘れていた。

夕飯、食べてないや…

「うげ…でも真っ暗じゃないか…」

部屋には時計を置いていないが多分もう二時くらいだろうか?

「うーん…水だけでも飲もうかな…」

自分は仕方なく重い身体を起こして食堂に向かった。

「リトには…いや水だけだし大丈夫だろ」

一応リトに断ってから行こうかと思ったのだが起こすのもなんか失礼だし無断で行くことにした。

「そういやクロミってどこに寝てるんだろ…?」

少なくとも空いてる部屋にいるかナギサあたりの部屋に入って一緒に寝てるとか?

色々考えながら食堂について、静かにコップ一杯の水を飲んだ。

とりあえず水だけ飲んでおけば人間死にはしないはず。

ギルド内はただ静かだった。外からはフクロウの鳴き声が聞こえてくる。

自分は何も考えずに部屋に戻った。部屋の扉を開けて中に入る。

「はぁ…ってうわぁ!?」

「あ、マコトさん」

でもなぜか中にはクロミがいた。

「ク…クロミか。びっくりした…」

「ごめんなさい…マコトさんは帰ってきたけど部屋で寝てるって聞いたから…」

「いやさっき起きたんだけどね…」

なるほど入れ違いになったのか。でもなんでクロミが自分の部屋にいるんだ?

「まぁいいか。何か用なのかな?」

「えっと…その…」

クロミは口ごもる。自分は何となく推理する。

ベットに座って待機…クロミは少女…おまけになんか眠そう…

「ああ…一緒に寝ようってこと?」

クロミは自分が言うのを待っていたかのように頷く。

自分はクロミの隣に座る。

「はぁ…いいよ。自分はあんまり眠くないけどさ」

「だ…大丈夫。隣にいてくれればいい…」

まぁ年齢的な意味で、真夜中一人で知らない所で寝るのは流石に怖いか。

「そう?じゃあ横になってもいいよ」

「ん…じゃあ…」

ゴロン。

「…クロミそこは枕じゃないんだけど」

「Zzz…」

本当に眠かったのか自分の膝枕ですぐに寝やがった!これじゃ自分も寝れないな…

「まぁ…たまにはこんなのもいいか」

クロミは安心してすやすやと寝ている。自分は無意識にクロミの頭を撫でる。…なんか妹みたいだな。

外の大きな月を見ながら、ここに来て一ヶ月経つ静かな時間を過ごした。

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