表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/45

墓場の中で

「ここ…墓場じゃないか!」

薄い霧に包まれていてはいるが墓が所々にある。

恐らくかなり大きな墓場なのだろう。

「うう…」

少女は自分に抱きついてくる。

だよね…こんな所自分だっていたくないよ。

「どこの墓場だろう…?」

見渡すが霧に包まれていてどこかわからない。

「あの二人は…いないか」

しかも魔力があちこちに溢れていて探知もできない。

気配も二人だけじゃなくてもっとたくさんいてどれかあの二人なのかわからない。

「ってたくさん…?」

「おねえちゃん!う…後ろ!」

「え?…うわあ!?」

背後からたくさんの屍が歩いて来ていた。

怖っ!歩く死みたいな感じにたくさんいるぞ!?

「この量はちょっと無理!あと怖いし!」

ドラ○エみたいな屍ならまだ大丈夫だったけど本物のゾンビ映画みたいな感じのゾンビだからかなり怖い!

自分は少女をおぶって逃げた。

「ヴォオオオ」

「ひっ…!邪魔ぁ!『インフェルノフレイム』!」

目の前に突然現れたゾンビは爆発で四肢爆散した。

自分のバカ!なんでゾンビ一匹相手にこんな強い魔法使ったんだよ!

後ろを振り向くとゾンビ達は走ってきた。

「くそ…やけにいっぱいいるな!」

そして意外と足が早い。気を抜くと追いつかれてしまうほどに。

でも何かあのゾンビ達様子が変だぞ…?

「ってあなた大丈夫?」

「大…丈夫」

顔色を見るかぎりあまり良くはないな。

やっぱり…これだけ速く動いているんだ。このままじゃ少女の身体がもたないぞ!

「どうしよう…うわあ!?」

ひたすら走っていると自分は突然何かに足を掴まれて転ぶ。

「…っ!なんだ!?」

足を掴んでいたのは土から這い上がってきたゾンビだった。

「こいつらまさか…今蘇ったってことか!?」

「きゃああ!」

少女の悲鳴が聞こえた。そちらを向くとゾンビが少女に襲いかかっている。

「やばい…!『フレイムバレット』!」

炎魔法で少女の近くにいるゾンビを燃やす。

「くそ…どけ!」

足を掴んでいたゾンビを蹴って離す。

自分は急いで少女を抱いて走った。

「『ファイアウォール』!」

自分は走りながら魔法で炎の壁を出現させる。これで時間稼ぎになるだろう。

「━ダ━━ゲ━」

「ゴロォアアア!」

炎の壁の向こうでゾンビ達が叫んでいる。何か怨念を持っているような…

ゾンビ達が追って来ない今のうちに自分達は走って墓地から出た。

でもこれで安心はできなかった。

「やばい伏せて…!」

少女を降ろして周辺を見渡す。

そこには大きな建物があった。その周りには警備兵らしき鎧を着けた男がかなりいる。

入口に黒いローブ姿の男が何人か入っていく。

「もしかしてあれが組織の建物か…?」

かなり大きな建物だ。大きな一軒家どころじゃないほどデカい。

今すぐにでも突入したいが逃げることにした。装備はギルドに置きっぱなしだし、少女はかなり衰弱しているからだ。

警備兵にバレないように静かに自分は移動する。

「あ…うぁ…」

「なっ!?バカ!?」

しかしその衰弱しているはずの少女はフラフラと建物の入口に向かっていった。

当然警備兵も気づき剣を構えて走ってくる。

「くっ!『マジックシールド』!」

魔法の盾で少女を守る。

「侵入者…いやおそらく脱走者だ!至急伝えろ!」

やばい増援を呼ばれる!急いで止めないと!

「『ライトニングボルト』!」

「ぐわあああ!」

増援を呼びに行った警備兵を雷魔法で倒す。

カンカンカンカン

しかし鐘の音が鳴り響く。くそダメだったか!?

「この魔力の盾なかなか破れんぞ!?」

うわ!少女一人に三人でタコ殴りかよ!

「邪魔!『ウィンドエアロ』!」

少女を襲っていた警備兵達を吹き飛ばす。

すごい壁に衝突した音がしたが…大丈夫かな?

でも心配なのはこっちの方だ。自分は少女に問いかける。

「ねぇあなた!どうしたの急に!?」

「いかなきゃ…あの中に」

行かないと?あのダークコンバートにか!?

「今は逃げよう!危険すぎる!」

「いや!今行かないと手遅れになる!」

手遅れ?どういう事だ?少女はここから出るつもりは無いらしい。

「ああもう!わかった行くぞ!」

もうヤケクソだ!少女を信じるしかない!

「だけど行く前に…『マジックフレア』!」

上空に向かって魔法を放つ。魔法は空中で爆散した。

「今のは…?」

「合図だよ。ここから見えるかわからないけど…とりあえず撃っておいて損は無いはずだから」

ちなみにこの合図はリトの提案で、もし捕まってしまった場合、外でこの魔法を上空に放ってリト達に場所を知らせるという考えだった。

見えなかったら意味が無いけどね!

「そうだあなたの名前は?」

聞くことを忘れていたから今聞く。タイミング悪いとか思わない思わない…!

「私の名前…?」

流石に少女とかあなたとか言っているとよくわからなくなる。

「…わからない」

はい出たー。記憶喪失かな?こういうの一番面倒な展開なんだけど…

「おねえちゃん名前付けて」

「え!?」

突然の名付け要求!?そんなすぐには出ないんだけどな…

「うーん…黒髪だからクロミでどう?」

黒髪で獣人の耳があるのでクロミ。うん悪くないはず…多分。

「クロミ…うん。わかった」

正直かなり不安だったけど気に入ってくれたみたいだ。

「自分の名前はマコト」

「マコト…おねえちゃん」

「そのおねえちゃんはしなくてもいいよ」

「じゃあ…マコトさん」

敬語になっただけか…まぁいいけどさ!

「こんな所で話してる場合じゃないね。早く行こうクロミ」

「うん」

でもクロミが言っていた手遅れってなんだろう?

まぁどっちにしろ組織を壊すことができるから問題無いけどね!

自分とクロミは犯罪組織ダークコンバートの建物に入っていった。


「こっちだ!」

「逃がすな!」

「…まぁこうなるよな」

自分はクロミをおぶって建物内で逃げている。

いや建物というより城か?かなり大きい建物なので迷っている。

「左に曲がって!」

「はいよっと!」

「なに!?飛んだぞ!?」

角待ちしていた警備兵を飛び越えていって、クロミの指示通りに走っていく。

クロミは何かを感じるようでそこにいけば何かがわかるらしい。

「不安だけどこれしか方法はないんだよね…」

リトやミヅチが合図に気づいてくれてるとありがたいな…

「奴らまさかあそこに行くつもりか!?」

「それはまずいぞ!急いで止めろ!」

なんだ?警備兵がかなり焦っているように見えるけど…もしかしてクロミの言う通り何か重要な物があるのか?

「クロミ。結構走ってるけど大丈夫?」

「…そう。こっちの方向に…あなたが…」

はい電波受信中ですね。ここは邪魔しないようにしようかな。

受信中でも指を差してくれるので迷わず止まらずに進んでいる。

「と…止めろ!」

「『クイックステップ』!」

お?移動スキル使ってきたね?でもかなり動きが遅い。所詮は警備兵か。

自分は斬りかかってきた警備兵をひらりと避けていく。

「馬鹿な!?何なんだあいつらは!?」

「子どもを背負ってるあの女を足止めしろ!」

やっと自分がおかしいぐらい強いことを学んだかこいつら。

「壁だ!壁を作れ!先に進ませるな!」

警備兵は肉壁で道を塞ぐ。まぁ確かにそれなら大抵は通れないから引き返すよね。

「でも…相手が悪かったな。『マジックジャベリン』!」

「な…ぎゃああああ!」

警備兵の肉壁は一つの魔法で崩れた。一応犯罪組織の警備兵なんだからもう少し耐えようよ…

でも気づいたことがある。まず警備兵の装備は全て鎧で剣。明らかに無理やり装備させてる感じがする。

「もしかしてこの人達は仲間じゃないのかな…?」

可能性はある。かなり警備兵と遭遇しているが、黒いローブの警備兵は現れない。

「そして巨大な魔力の塊を感じる…一体ここで何をしているんだ…?」

「マコトさん右!」

「了解!」

右に曲がって行くと奥にかなり頑丈そうな扉が見える。

「お…おい止めろ!」

「無理だ!俺達であんな奴ら止められるはずが無い!」

戦意喪失。このまま進ませてもらうぞ!

「おっと…そこまでだお嬢ちゃん」

「なっ!?」

突然声と共に現れたのは黒いローブの男二人だった。

自分の危険察知が反応して急停止する。

すると突然足元から槍が飛び出してきた。

「惜しいっ!もう少しで串刺しになる所だったのに!」

一体どこから槍を出したんだ?魔法なら魔法陣が出るからわかるはずなのに…

「あなた達…何者?」

明らかに今までの警備兵とは違う強さを持っている。

「俺達は…ダークコンバートの幹部だ」

どうやらかなり強い中ボスのようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ