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妖術師と少女と化け物

現在自分、脱走中。

犯罪組織ダークコンバートに誘拐され、部屋に拘束されていたけど森で会った怪しい男ジャックが組織の仲間のはずなのになぜか助けてくれた。

「…でもなんかおかしいな」

結構走り回っているはずなのに誰もいない。

かなり広い建物のようだが静かなのだ。

まるで人が元々いないような静けさだった。

「というかなんだこの建物!」

広すぎて階段が見つからない!

今自分のいる場所はよく城とかにある薄暗い牢屋の階層みたいな岩の造りだった。

自分は牢屋という言葉に気づき、足を止めた。

「…他に捕まった子とかいるかな」

こんな大きな建物をもつ組織だから誘拐された子とか他にもいるはず。

自分は捕まった子を助けるため牢屋の階層を回った。

「ていうか警備員とかいないのか…?」

脱走者がいるのに全く人が来る気配がない。

「ん?」

警備員が来るのを警戒しながら牢屋の中を見ていったら、中に人がいた。

「ひっ…!?」

中にはボロボロの服を着た少女がいた。自分に驚いて怖がっている。

「落ち着いて!大丈夫?いまあけるから離れてて」

自分は魔法で扉を壊そうとするが少女は動かない。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」

それどころか少女は頭をうずくまって謝り始めた。

ひぐ○しかよ…ここで何をされてたんだ…?

「…『マジックアンロック』」

カチンと扉の開いた音が響く。

今使った魔法はどんな鍵でも開けられる解除魔法だが再使用に2日かかる面倒な魔法だ。

でもこの少女はかなり怯えているようだし爆発魔法とか使ったらパニックになるのは目に見えるからね。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさ…え……?」

「大丈夫。自分はあいつらの仲間じゃないから」

少女は自分が組織の仲間じゃないことを見て確認すると目から涙が溢れてきた。

少女は頭から手を離し、自分に抱きついてきた。

「おっと…大丈夫?」

少女は自分の胸の中でコクコクと頷く。

自分は慰めるように頭を撫でてあげた。

「ん?あなた…獣人なの?」

暗くてよく見えなかったが少女の頭に耳が生えている。

だが少女はフルフルと頭を振る。

「…つけられた」

「え?まさか…獣人にされたってこと?」

少女は頷く。おいおいなんて奴らだ…こんな少女に無理やり獣人の耳をつけたってことか?

というかそんなこと可能なのか…?

「くそ…とりあえず脱出しよう。他の子達は?」

少女は答えられずに下を見る。

恐らくもうこの世界にはいないのだろう。

「そう…じゃあせめて、あなただけでも助けるから!」

走れる…って言おうとしたが少女の服装や身体からして走るのは難しいだろう。

「仕方ない…乗って!」

自分は少女をおぶって走る。少女はあまりにも軽かったので少し焦った。

(…多分まともな食事もしてなかったんだろうな)

今すぐにでも組織を潰したいが、今は子と一緒に脱出することを優先しないと!

牢屋の階層を走り回っていくと階段らしきところを見つけた。

「…なるほど警備員がいなかったのはそういうことか」

階段近くから強い魔力を感じる。

見てみると広い空間に大きな魔物がいた。

なんだろう…頭はライオンで尻尾が蛇というキメラみたいな魔物がいる。

かなり強そうだ。確かにこいつがいれば脱出されることはまずありえないだろうね。でも相手が悪かったね。

自分は少女を下ろし、指示をする。

「いい?絶対に顔を出さないで。あいつは自分一人でやるから」

「だ…大丈夫なの?」

心配してくれてるのかな?自分のスカートを掴んで見つめる。

「安心して。あんなやつさっさと倒すから」

自分は少女の頭を撫でて安心させる。うーん…なんか慣れてきたなこの年下の扱い方に。

「さて…行くぞ!『マジックジャベリン』!」

自分はキメラに向かって魔法を使って奇襲をかける。

「グオオオオ!」

「いっ!?嘘だろ!?」

自分の放った魔法が跳ね返されこちらに飛んでくる。

「あぶ…な!」

辛うじて避けるが分割詠唱していた魔法が全てリセットされてしまった。

「もしかして魔法反射してくるのか…!?」

メ○テンかよ!チート能力だぞそれ!

「グオオオオ!」

「うわわわ!」

尻尾の蛇が魔法弾を撃ってくる。ちょっとかなり卑怯だぞその戦法!

「くそ…武器は…!?」

周辺を見渡すと古びた剣が落ちていた。

自分はそれを避けながら手に入れる。

「魔法が駄目なら近接で…『スイッチ・ブレード』!」

擬似剣士になる魔法を発動させてキメラに急速接近する。

目の前まで高速移動して自分は溜めた力を放出する。

「くらえ『ライトニングソード』!」

雷属性の技でキメラを斬りつける。

古びた剣は斬りつけた時に折れてしまった。

キメラの肉が焦げた匂いがした。キメラはそのまま地面に倒れて力尽きた。

「ふう…危なかった!」

魔法反射なんてしてくる魔物がいるとは…今後あのくらい強い魔物が現れたら気をつけないとね。

「…終わった?」

少女が壁から顔を出してきた。

「うん。安全だから大丈夫だよ!」

少女はこちらに向かってくる。

「おねえちゃん強いね」

「まぁね」

だってレベル124だものね!そう簡単に負けるわけにはいかないからね!

「でもこれだけ音出したのに警備員が来ないのはなんでだろう…?」

聞き逃したか心配いらないと思っているかのどっちかだろう。

まぁ多分後者だろうな。

「よし。じゃあ警備が来ない内に行こう」

自分は少女を再びおぶって階段を登った。


牢屋の階層から登ってくると薄暗い木造の階層だった。

「多分この階層に奴らがいるはずだけど…」

おかしい。人の気配がしない。奴らが気配遮断を持っている可能性はあるがそれだけではなかった。

「ずいぶんと放置されているような…?」

近くにあった小さなテーブルには埃がついている。

廊下も薄暗く、壁の所々に穴が空いていて廃墟のようだった。

「…怖い」

少女はぎゅっと自分の裾を掴む。

「大丈夫。お姉さんがいるから」

気配探知だけでなく魔力探知や危険探知を使って進む。

「━━だが……━さ」

「ん?今、人の声が…」

声の聞こえた方向を見ると明かりがついている部屋があった。

「人か…?」

自分は静かに部屋に近づく。中から話し声が聞こえてきた。

おそらく組織の仲間だろう。

「━なぁあのガキどうするんだ?」

「ああ?そうだな…売り物にするか」

「いやあのガキはかなり強い奴だぜ。売り物にするには勿体ねぇよ」

「俺達の所有物にするってか?」

「へへ…まさしく人間兵器!使えるだろ?後でリーダーと話してみようぜ」

「人間兵器か…悪くないな」

なんだこいつら…自分のことを言ってるのか?

人間兵器って…最悪の使われ方なんだが…

二人はランプで部屋を照らしている。ここで一体何をしてるんだ…?

「お?見付けたぞ!これじゃねーか?」

「ん?…ああそうだ。よしこれを持って帰るぞ」

え?持って帰る?ここが組織じゃないのか?

「ってやばい…離れよ」

自分は静かに部屋から離れた。

しばらく待つと部屋から二人の男が出てきた。

一人は黒髪のロングヘアーでもう一人はモヒカンで世紀末とかに出てきそうな奴だった。

二人が消えていくのを確認すると自分達も移動を開始する。

「ていうかここが組織じゃないのか…」

じゃあここは一体どこなんだ?とりあえず外に出てみればわかるはずだ。

自分は少女をおぶって出口に向かった。

「これかな…?」

外の風が入ってきている方向に進んで行くと出口らしき扉を見つけた。

すこし開いているのでおそらくあの二人が出ていった後なのだろう。

「ん…しょ」

意外と重い扉を開けて外の空気を吸ったが…

「な…!?」

自分が見た光景は大きな墓場だった。

そう。自分達は墓場の中にあった廃墟に閉じ込められていたのだった。





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