呪われし漆黒の翼と現れし少女
「ギル…ギル!」
ギルはデュラハンが放った闇の手からかばってくれた。
「ぐ…マコト大丈夫か?」
「人の心配をしてる場合なの!?『ラージキュア』!」
回復魔法を発動させるが貫通した傷は治らない。
「そんな…なんで!」
「はははははははは!この展開は予想外だが上出来だ!」
デュラハンは笑い出す。
「教えてやろう魔術師の女よ。我が放ったこの闇の力はどんな魔法でも治癒できぬ呪いよ!」
「つまり…その騎士は死ぬのだ!」
「ぐっ…マ…コト」
ギルはそのまま倒れ込む。
「そんな…嘘だ!ギル!起きてよ!ギル!!」
「はははは!愉快愉快!」
デュラハンは笑いながら外れた兜を拾って付け直した。
「さぁ…絶望するのはこれからだ魔術師!」
剣を地面に刺して、両手で何か唱え始めた。
「くっ…『マジックバレット』!」
魔法で止めようとするがデュラハンの足元の魔法陣によって弾かれてしまった。
「ククク…泣け!叫べ!絶望しろ!貴様は我が手下となり、仲間を殺める狂戦士となるのだ!」
ギルの身体が闇に包まれる。
「マ…コト…にげ…ろ」
「ギ…ギル?」
まるで壊れた機械のような音を立てながらギルは立ち上がった。
「うおおおおおおおおおおお!!」
「きゃああ!」
ドゴォオン!!
ギルは持っていた剣を叩きつける。
「━━━━!!」
「ギル!?」
突如ギルは自分を攻撃し始めた。
「目を覚ましてギル!」
「無駄だぞ魔術師よ!その騎士はもはや動く屍!正気などはありはしない!」
いや…まだ方法はあるはずだ!
回復が駄目なら蘇生魔法は?でも今ギルはゾンビみたいなものだ。蘇生魔法なんてしたら昇天しそう!
「とりあえず武器を…!『サンダーボルト』!」
「ぐっ…!」
よし武器を吹き飛ばした!次は…
「おおおおおおお!」
「何っ!?がっ…!」
武器を弾かれたからか自分はギルに押し倒される。
「マ……コ…ト」
「がっ!……ぎ………」
押し倒されたままギルに首を絞められる。
高レベル戦士職だから力が強すぎて離せない!
やば…意識が……
「は……ギ……ル……」
「……『バレットショット』」
「ぐうぅ!?」
「かはっ……ゲホゲホッ…!?」
な…何が起きた!?
ギルが何かに吹き飛ばされたような…?
「大丈夫ですか?」
歩いてきたのは銃を持った少女だった。
でも普通の少女じゃない。自分の視線は彼女の顔を見た。
まず耳には機械のような物が付いていて顔も機械が混ざってる。
完璧にアイ○スや!ペ○ソナのアイ○スや!
「ケホッ…あ…あなたは…?」
「…ひどい傷です。回復しましょう」
機械少女は自分を回復させようとする。
というかその着てる服って…
「おおお…?」
「む…やはりこの程度では倒れませんか」
吹き飛ばされたギルは立ち上がってこちらに向かってくる。
「まずは人命優先です。『ストップショット』!」
「ぐ…!?」
機械少女は銃でギルの足を撃った。
そのままギルは動かなくなる。
「回復を再開します。…『オールキュア』」
え?嘘。全回復魔法普通に使ったよ?この娘。
ていうかこの娘が着てるのメイド服じゃねぇか!
なぜそんな服を…
「貴様は何者だ」
「……あなたがここの主ですか」
「ふ…はははは!そうだ!我こそがこのダンジョンの主のデュラハンなり!絶望せよ少女よ!」
「生憎、そういった感情は持っていませんので…『サモンズドロー』!」
少女が手をかざした瞬間、少女の周りに沢山の銃が現れる。
「ほう…!?」
「あなたはここで消えるのです『アサルトショット』!」
「おおお!?」
少女の周りの銃から弾幕が同時に発射される。
「ぬぅ…!?貴様ぁ!」
うわ!?あの弾幕を受けながらこっちに向かって来たぞ!?
「近寄らないで下さい『チャージショット』!」
「ぬぉ!?」
溜められた魔力弾が放たれ、デュラハンを吹き飛ばした。
デュラハンを吹き飛ばしている時も銃の連射は止まらない。
「なんか一方的だな…」
遠距離からひたすら撃ちまくっている機械少女は突然話しかけてきた。
「あそこの黒鎧の方は味方ですか?」
「黒鎧…?ギルのことか!?うん仲間!」
「どうやら彼には特殊な呪いによって操られているようです」
「な…治る!?」
「はい。ですがまずはダンジョンの主を倒さなくてはいけませんので少々お時間を」
機械だからかな?無表情で銃を撃ってる。
マリとは少し違う銃だな。
サブマシンガンみたいな形をしてる。
「あれ?機械ってことは…」
「はい。私は遺されし文明のルフォーク族です」
やっぱりルフォーク族だったのか!
そんな思考をしている時にも機械少女は撃ちまくっている。
あの…ちょっと撃ちすぎじゃないか?
デュラハンが煙で見えないんだが…
「なかなかしぶといですね…『サモンズロケット』」
空間から大きな筒のような銃が現れる。
「これで吹き飛ばします」
発射と同時に爆音と爆発がデュラハンの元で起きる。
「ク…クハハハハ!なるほど!確かにその芸当はルフォーク族にしかできまい!」
しかし煙からデュラハンが歩いてきた。
しかも無傷だし!今の弾幕くらって無傷かよ!
「なるほど…伊達に高難易度ダンジョンの主をやってるだけの耐久力を持っていますね」
機械少女も感心してる場合かよ!
「では少し攻め方を変えましょう『スイッチ・ブレード』」
「えっ!?その魔法は…」
自分が覚えている魔法と同じ名前だった。
機械少女は空間から作り出した剣がひかりだしたことを確認すると全速力でデュラハンに向かった。
「我に斬り合いを挑むとは笑止!切り伏せよう!」
「誰もあなたと剣で戦うなんて言ってませんよ?『ウェポンブレイク』!」
機械少女が持っていた剣が赤くひかり出した。
確かあの剣術を使うと発動した武器が壊れてしまう筈だが…
「この剣は囮です」
いきなり剣術のかかった剣をデュラハンにぶん投げた。
「何ぃ!?ぐうぅ!?」
デュラハンは持っていた剣でガードするが余りに強い力で剣にヒビが入った。
もちろん投げた剣は粉々になった。
「『リターン・ガンナー』!『マジックミサイル』!」
機械少女は擬似戦士状態から戻り、銃で攻撃を開始する。
「ぐおおおお!?」
魔力のミサイルが直撃してデュラハンは吹き飛ばされる。
「『クイックリロード』!…『マジックミサイル』!」
ええ!?同じ技を連続で使ったぞ!?リロード時間を短縮する魔法を使ったのか?
「おおおおお!貴様ぁ!許せん…許さぬぞぉ!」
超怒りモード入っちゃったよ!?大丈夫?
「貴様の魂をよこせぇぇぇ!」
「お断りします『ホーリーバレット』!」
光属性の魔力弾を撃つとデュラハンは対抗するため闇の手を飛ばしてきた。
「『ホーリーバレット』!『ホーリーバレット』!『ホーリーバレット』!」
ちょっと撃ちすぎだって!てかリロード時間ガン無視かよ!
デュラハンが放った闇の手は跡形もなくかき消され、残った魔力弾がデュラハンに直撃する。
「ぐおおおお!!」
デュラハンから禍々しい魔力が抜けていく。
「やったか!?」
「…どうやらまだのようですね」
だよね!フラグ台詞でした!
「■■■■■■■━━━!」
「なっ!?」
突然突進してきたデュラハンは機械少女の腕を切り飛ばした。
「……!」
「くそ…『キュアレギオン』!」
壊れたり外れた部位を回復する魔法をかけて飛ばされた腕が機械少女に戻る。
「暴走してます」
「見ればわかるよ!どうしよう…!?」
「まずはあの突進攻撃を止めましょう『ストップショット』!」
「■■■■■!」
「危ないっ!」
機械少女を押して離すとその間にデュラハンの突進攻撃が通る。
「効いてないですね…」
「じゃあ…『ライトニングバインド』!」
自分から光の鎖が飛び出す。そのまま光の鎖はデュラハンを拘束する。
「よし成功か!?」
「■■■■■■■━!」
しかしデュラハンは光の鎖を弾き飛ばした。
おいおいどうしろって言うんだ!?
攻撃魔法は?でもあんまり効かなそうだしな…
「いや待てよ…?ねぇあなた!名前は?」
「えっ?シエルです。忘れたんですか?」
忘れた?どういう事だ?でも今はそれどころじゃない!
「じゃあシエル!その空間から出せる武器の中で刀はある!?」
「はい。少々お待ちを…『サモンズブレイド』!」
機械少女シエルは空間から刀を出してくれた。
「よし…『スイッチ・ブレード』!」
シエルからもらった刀が光り出す。
「姉様…一体何を?」
「いくよ…『クイックゾーン』!」
移動速度を上げる魔法をかける。
今シエルの言葉にものすごく重要なことが含まれてたような気がするけど気にする時間がない!
「■■■■━━!」
デュラハンは構わず突進してくる。
自分は刀を居合の構えでタイミングを合わせる。
「…『閃光飛来』!」
鞘から抜いた刀が閃光のように走る!
デュラハンとはすれ違いで斬りつける!
「ぐっ…」
腕は切り飛ばされずに済んだが肩に深い切り傷を受けた。
「でも…やってやったぞ」
ガラガラとデュラハンの鎧が崩れる。
「おおお…おお…我が…負けるのか…?混沌の神より授かりし力を持っても負けるのか…!」
混沌の神?そんな神がいるのか?
鎧から出てきた亡霊は自分に指を指す。
「ク…ハハハハ!魔術師よ!貴様は我に勝ったのだ!誇るがいい!騎士の命と引き換えにして我を倒したことを!」
「残念ですか騎士の命と引き換えにはなりません」
「なにィ!?」
シエルの方を向くとギルの周りに魔法陣が展開されている。
「これから浄化魔法を使います。これでこの人の呪いは消えるでしょう」
魔法陣は光り出しギルの身体をまとっていた呪いが消していく。
「『リザレクション』!」
シエルは呪いが消えたことを確認すると、すぐにギルに蘇生魔法をかける。
「なんということだ…我の計画が…」
「これで終わりです。邪神の洞窟の主デュラハン」
デュラハンの亡霊は消えていった。
これで邪神の洞窟は攻略できたのだ。