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闇と光の絆

セーフゾーンでこれから行くエリアの作戦会議が始まっていた。

奥には大きな石の扉がある。恐らくあそこから入るのだろう。

「さてと…これから向かう所は調査隊が調査できなかったエリアよ。トラップや魔物の襲撃に注意して行きましょう」

全員静かに頷く。

このダンジョンは気を抜いたら簡単に死ぬ可能性が高い。

ましてやこれから行くエリアは全くの未知エリアだ。

「大丈夫だ!我々、ギルバート君とマコト君ならばこのダンジョン、攻略できるはずだ!」

ベルイールは本当にムードメーカーだな。

メンバーの緊張を和らげてくれている。

後はうるさいのが無ければなお良いんだけどね。

「…問題はトラップだな」

「ええ。もし転移トラップで飛ばされたら大変なことになる」

確かに転移トラップには嫌な思い出があるからね。

武器強制解除とかかなり怖い。

「トラップを探知するにも気配探知じゃわからない時あるかもしれないからな…」

『…あーあーみんな聞こえる?』

「あれ?テトの声が聞こえるけど…?」

幻聴かな?テトは確か入口の拠点テントにいるはずなんだが…

『幻聴とか思ってる人はカナメの胸を見てね』

え?カナメの胸?

「…ぺったんこ?」

「ちょっとマコトちゃん!?私だって胸はあるわよ!?」

え!?違うの!?

「はははは!マコトは面白いね。でも残念な胸じゃなくてネクタイを見てほしい」

「テト…?後で覚悟しときなさいよ?」

カナメから謎のオーラが見える。

おおう。リアルに怒ってらっしゃる。

ってじゃなくて…確かネクタイだっけ?

「じー…」

「…………」

「…………」

「……わかんない」

「ちょっとマコトーー!?」

なんでだ!?急にカナメが掴みかかって来たぞ!?

「ここ!小さい水晶付いてるでしょ!」

「え?…あ、ほんとだ」

かなり小さい水晶がネクタイについている。

そこからテトの声が聞こえていた。

『今、拠点から音声を発信してるんだよ』

「ま…魔法?」

『んーちょっと違うかな。ルフォーク族の文明を参考にして作った魔道具だよ』

小型音声機みたいなものか。ルフォーク族ってすごいな…

『それでどう?ダンジョンは?』

こっちの苦労を知らずに質問してくる。

「えーと…とりあえずダンジョンの休憩ポイントまでは着いた。死亡は今の所ゼロ。でも強くて大きな魔物が沢山出てきた」

『おお!死亡者ゼロ!いいね!』

いや、確かに重要なことだけどそっちじゃねぇよ。

「テト。俺達はこれから未探索のエリアに進む。サポートできりか?」

『ほいほい。じゃあ展開するよ』

カナメのネクタイに付いていた水晶が赤く光った。

『これでトラップがあっても反応するはずだよ』

「え?ホントに?」

『ホントホント』

おお!テトがついに働き始めた!

「ってテトの仕事これだけ?」

『いやいやこっちで魔法展開して送ってるからね?』

あ、そうなんだ。

「さてと…じゃあ行きましょう!」

自分達は休憩ポイントから出て、大きな石の扉を開けた。


「………?」

「ここは…?」

扉の先には奇妙な光景が広がっていた。

まず薄暗かった前のエリアと違って明るい。

松明の明かりじゃなくてもっとこう…電灯みたいな明るさだ。

あと、広い部屋だが石像が壁に並んでいる。

道は奥に見えるが明らかに違和感がある。

「魔法か…?」

一応魔力探知で集中するが何もない。

「テトのトラップも反応なし。どうやら何も無いみたい」

「奥に行くか」

不安ではあるがとりあえず進むことにした。

静かに足音だけが響く。

「あれ?」

「ん?どうしたのマコトちゃん?」

「いや…なんか人減ってない?」

後ろを向くと何人か減っているような気がする。

「気のせいじゃないか?」

「だと良いんだけど…」

「大丈夫よ。テトのトラップ探知が反応してないもの」

反応すると赤い光は点滅するらしいが今の所何も起こらない。

何回か最初の部屋みたいな広い空間を通るが何も無い。

しかし何か異変が起きていた。

「マコト…?」

「ん?どうしたの」

「…人減ってるわ」

後ろを向くと明らかについて来たメンバーの数が少ない。

「まさか…トラップ?」

「でも水晶は反応してないわよ!?魔法陣だって現れないし…」

確かに転移トラップなら魔法陣が現れて、その魔法陣の中にいると強制転移されるはずだ。

でも今はなぜかそういった魔法陣も現れず、しかも音も無くメンバーが消えていく。

「テト!聞こえる?」

「…無理だ。休憩ポイントの所でしか繋がらないはずだ」

圏外ってことか。

「わぁぁぁあああ!!」

「!?…何の声!?」

突然悲鳴が聞こえて足を止める。

「…あれ?カナメ?ベルイール?」

周りを見渡すと自分とギル以外いなくなっていた。

「まさか…はぐれたか?」

「でも隣で歩いていたよ?」

しかも話しながらだ。いや待てよ?悲鳴が聞こえた時、足を止めたけど…まさかその時に?

「ギルにも悲鳴が聞こえた?」

「ああ。声を聞く限り男の声だった。突然だったからな。足を止めてしまった」

もしかしてその悲鳴が聞こえて、足を止めたら転移される仕組みになっているのか?

「…マコト、あれを見ろ」

「え?どうしたの?…扉?」

前方に見えるのは見る限り怪しい木の扉だった。

「開けるぞ…いいか?」

自分は静かに頷く。

扉の先は気配探知でも魔力探知でも反応がない。

何があるかわからないってことだ。

木の軋む音が響きながら扉を開ける。

「━━良くぞ来た。冒険者よ」

重い声が聞こえた方を見ると全身黒鎧の男が剣を刺して待っていた。

ギルと同じ全身黒鎧だが違う所は頭に長い角が二本生えている。

某ゲームの戦士みたいな格好だ。

「さぁ早速だが、貴様らの魂をもらおうか」

黒鎧の男が刺さっていた剣を抜くと凄まじい魔力が放たれる。

「これは…!?」

「ゆくぞ!冒険者よ!」

開幕剣の衝撃波を飛ばしてきた。

「ぐっ!」

咄嗟のガードでバランスを崩すもすぐに体勢を整える。

「ほう…?初撃を弾くとはなかなかやるな黒の騎士よ?」

「ギル!大丈夫?」

「ああ…大丈夫だ」

ギルは剣を構える。自分も魔法の詠唱を始める。

「騎士と魔術師か。クックックッ…二人だけで我を殺せると思っているのか?」

黒鎧から闇のオーラが放たれる。

「やってみなきゃわからないよ!『ホーリーバレット』!」

自分の魔法を撃った瞬間、ギルは走り出した。

「ぬぅん!」

自分の魔法を片手の素手で弾き、ギルの剣を止める。

「どうした!?その程度か!」

「っ…この」

「ギル!挑発に気をつけて!」

やばいかなり強い。奴が闇属性だと思って光魔法を撃ったのだが簡単に弾かれた。しかもギルと互角に戦っている。

「『斬鉄剣』!『アサルトスラッシュ』!」

「ほう!なかなかやる!」

ギルが強力な剣術を使いまくるが黒鎧は全て防いでいる。

そしてついに黒鎧が動き出した。

「ぬぅん!」

「ぐわっ!」

馬鹿な!ギルが一振りで吹き飛ばされただと!?

「くっ…『ミドルキュア』!」

すぐに回復魔法をかけるが敵の攻撃は止まらない。

「フハハハハ!どうしたどうした!」

「調子こくな…『トラップバインド』!」

罠魔法を発動して光の鎖が黒鎧の身体を拘束する。

「何っ!?」

「…!『エクスブレード』!」

すぐさまギルが斬りつける。黒鎧の頭が取れた。

「貴様ぁ…」

しかし黒鎧の頭は無く、黒鎧の正体はデュラハンだった。

「…『マジックシールド』!」

すぐに防御魔法を発動するが…

「そうだな!まずは貴様の魂から喰らってやろう!」

光の鎖が弾け、一瞬で目の前に現れる。

「なっ!?はや…きゃああ!」

「マコト!」

くそ…!かなり痛い!何とかシールドが身代わりになって避けれたがシールドが一撃で壊されてしまった。

しかしデュラハンの攻撃は止まらない。

「シャアアア!」

「くっ…今のはやばかった!」

ひたすら避け続けるがだんだんかすり傷どころじゃなくなった。

「ぬおおおおお!」

「えっ…?きゃああああ!」

突然デュラハンから魔力の爆発が起きて吹き飛ばされた。

「くそ…!」

空中で体勢を整えるが、デュラハンは高速移動で自分の真上に移動してきた。

「やば…!?」

「沈みがいい!」

自分はそのままたたき落とされてしまった。

「ぐ…」

「まずは魔術師…貴様だ」

デュラハンの手が闇の力をまとい始めた。

「貴様の魂を寄越すが良い!」

闇の手を自分に向かって飛ばしてきた。

(まずい…当たる!)

必死に避けようとするが、ダメージで身体が動かない!

万事休すか!?

「おおおおおおお!」

「えっ!?ギル!?」

ギルの胸から闇の手が貫通する。

ギルバートは自分をかばったのだ。


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