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おいでませダンジョンへ

仲間との衝突から巨大な魔物が現れるという面倒な出来事が終わったというのに、自分は今も緊張を解くことは出来ていなかった。

「マコトちゃん大丈夫?」

「え?うん大丈夫…」

「ああもしかしてあのでっかい穴開けちゃったこと?大丈夫よあのくらい普通によくあるから無視されるよ!…まぁちょっとメンバーには残っちゃったけどね」

後ろでギルドメンバーが騒がしくなっている。

「な…何だったんだ今の!?」「魔法なの!?」

うん。まぁそうなるよな。

あれだけド派手な魔法を目の前で使ったら混乱するよね。

「大丈夫だ。むしろマコトに手を出す奴がいなくなっただけさ」

「それはそれで嫌だけどね…」

ギルと違って尊敬ではなく恐怖で見られると思うし。

ちなみにあのパーティの二人は腰を抜かして逃げてしまった。

なので自分とギルだけのパーティになってしまった。

「心配するなマコト君!もし君に手を出そうとする悪はこの私ベルイールが説得、もしくは成敗しよう!」

「え…あ、うん。その時はよろしくお願いします」

正直に言うとこの人には助けられたくない。

それとベルイールに説得なんて出来るのか…?

後ろでパンパンと手を叩きながらテトが歩く。

「はいはいみんな落ち着いてー。拠点のテントは完成したので、ダンジョンの構造教えるから各自聞いといてー」

「…とりあえず戻ろうかな」

あの巨大な魔物はここだけじゃなくてダンジョン内にもいるかもしれないからな。

「さて…まずダンジョンは神殿型。中は迷路のようになっていますが道幅は広く、さっき現れた大型の魔物が現れる可能性は高いです。ですが恐れずに全員で協力して討伐してください」

拠点のテント内でカナメがダンジョンの説明をする。

ギルマスのテトは隣で聞いていると思いきや、目を閉じて寝てやがった。

「それとマコトちゃんはあんな魔法を使わないこと。みんなもマコトちゃんに頼らずに協力してね」

「はーい」

自分だってあの魔法を連続で使うと魔力がすぐに無くなるから、あんまり使いたくは無いさ。


「それじゃあダンジョン『邪神の洞窟』探索開始します!」

「「おおー!!」」

月の出た夜に大きな掛け声と共に自分達はダンジョンの探索を開始した。

「………?」

「どうしたマコト?」

「いや…何でもない」

街からかな?さっきから視線を感じるんだよね。

でも気配探知に引っかからないってことはただの緊張?

「そう願いたいね…」

なんせ最近不運続きなんで。

とにかく今はダンジョンに集中しよう!

「━━回復します!」

「援護してくれ!」

「左から新手が来てます!」

「全く休む暇がない!きつい!」

道中で次から次へと魔物が出てくる。

外にいた巨大な魔物よりかは小さいがそれでも大人四人分ぐらい大きな魔物が連続で現れる。

「おおう!」

ギルは最前線で魔物を薙ぎ払っている。

自分も一応前線にいる。ギルとはパーティだからね!

「ギル!左から魔物!『アタックテリトリー』!『プロテクトテリトリー』!」

「了解だ!」

左から中型魔物が接近していた。

ギルだけでなく他のパーティへ補助魔法を詠唱しまくる。

何とか前線は持ってはいるが…

「グォオオオオオオオ!!」

「げ!?ドラゴン!?」

新たに真っ赤なドラゴンが現れる。リオレ○スかよ!

「自分はこっちをやるからギル!」

「気をつけろよ!」

正直怖いけど言ってられない!

「グォオオオオオオオ!!」

「くらえ!『ブリザードゲイン』!」

ドラゴンに巨大な氷塊をぶつける。

「まだまだ!『フロストジャベリン』!『アイスストーム』!」

氷魔法オンパレードだ!

「グォオオオ!」

「うわぁ!」

突然、炎吹いてきた!ってそりゃそうか。ドラゴンだし。

ドラゴンは息を吸い込んでいる。

「なんかやばそう…『フロストウォール』!」

自分は氷の防護魔法を張る。しかも後ろの奴らに当たらないように横に広く展開した。

バサァ!

「ってちょっと待て!飛ぶのは卑怯だろ!」

まずい!ドラゴンが氷の壁を飛び越えてしまった。

「グォオオオオオオオ!」

「ぐわぁああ!」

やべ!後ろで戦ってたメンバーに炎の玉が当たった!

「こんの…『マジックフライト』!」

空を飛ぶのならこっちも飛ぶしかない!

「グォオオオ!?」

「くらえトカゲ野郎!『ブリザードスラッシュ』!」

強力な氷の刃でドラゴンを斬りつける。

ドラゴンはそのまま落ちて行き力尽きた。

「ふー。何とかなったか!」

だがまだ終わってはいなかった。

奥から更に魔物が近づいてきたのだ。

強行突破しようとしても道を塞いで通れないのでひたすら倒すしか方法がない。

「疲れるなこのダンジョン!」

「気持ちはわかるけど我慢してマコト!…『キュアフィールド』!」

カナメが広範囲回復魔法を撃ちながら叫ぶ。

ちなみにカナメは大医術師という職業で、回復魔法に特化した後衛の職業だ。

ここまで沢山の強い魔物が現れたが全く死人が出ないのは、正直彼女のおかげだ。

「体力に注意しながら前進するんだ!誰も死なせはしないぞ!」

「「おおー!!」」

ギルが更に前線を上げる。

「ギル!あんまり無茶しないでよ!」

「ああわかってるさ!『斬鉄剣』!」

強力な剣術技を使って魔物をなぎ倒す。

「もうすぐ休憩ポイントのはず!みんな頑張って!」

「くっ…!『アースストーム』!」

土属性魔法で現れた岩石を魔物にぶつける。

しかしやっぱり中盤だからかな?

魔物の出現速度が速くなっている気がする。

「うわぁあああ!」

「なっ!?後ろからドラゴン!?」

しかもさっき戦ったドラゴンとは比べものにならないくらい巨大なドラゴンが二匹だ。

「やばい!ギル!」

「すまん…!今は無理だ!」

ギルはまだ前方にいる魔物2体と戦っていて、こちらの戦闘には参加できない。

後ろには魔法職のメンバーが沢山いるから危険だ!

「いや…自分が前線に行けばいいんだ!」

回復をしている戦士から武器を拝借する。

いやちゃんと断ったよ?

「頼むぞ…『スイッチ・ブレード』!」

魔法職の妖術師から戦士職に擬似変化できる魔法を使う。

手にした武器は大剣。

頭の中に大剣を使うためのスキルと戦士職のスキルが流れ込む。

「はぁぁ!」

大剣でドラゴンに近い味方を助ける。

「大丈夫!?」

「え…?あなたは魔法職なんじゃ…」

「今は説明できないけど、とにかく中心に逃げて!」

自分より小さい少女が背丈を超える大剣を振り回してるから流石に驚くよね。

「くらえ『ドラゴンファング』!」

剣術スキルの上級技を発動させる。

「グォオオオ!」

「ぐっ…!」

ドラゴンの尻尾攻撃が炸裂して、自分に直撃する。

流石に一撃では倒れないか…

「マコトちゃん!」

「大…丈夫!」

自分が何とかしないと全滅だからここは意地でもやるしかない!

「っ……!」

痛みで足元がふらっとした。

前線に出て戦うってこういうことか…

「ォオオオ!」

「くっ…『アサルトスラッシュ』!」

剣術の連続斬りを発動して一匹のドラゴンは倒れた。

「ギャオオオオオオ!」

「!?」

突然もう1匹のドラゴンが咆哮を上げる。

そしてかなり速い速度で自分に突進してくる。

ゴウッ!

「あぶなっ!」

辛うじて避けるが、電車並に速いぞ!?

ドラゴンはそのまま連続で突進攻撃をし続けてきた。

突進が速すぎて攻撃できず、避けるのが精一杯だ!

「この…!『トラップ・バインド』!」

目の前の地面に魔法陣が出現する。

その魔法陣を踏んだドラゴンは光の鎖で拘束される。

「今だ…『エクスブレード』!」

強い光を纏った大剣で動けないドラゴンを斬りつける。

「グォオオオオオオオオオ!!」

ドラゴンはそのまま力尽きた。

「はぁ…はぁ…」

「マコトちゃん大丈夫!?『ラージキュア』!」

心配して駆けつけたカナメから回復魔法をかけてもらう。

「ああ…ありがとうカナメ」

「こっちも終わったぞ!大丈夫かねマコト君!」

ベルイールが近づいてきた。

ちなみにベルイールは前線でギルと戦っていた。

ギルもベルイールも少しボロボロだった。

ちょっと無理しすぎたかな?

「おい!あれってセーフゾーンじゃないか!?」

メンバーが指を差して叫ぶ。

奥にそこだけ空気の変わった空間が見える。

どうやらこのダンジョンの休憩ポイントのようだ。

「はぁ…とりあえず中盤か!」

「…だがここからが本番だぞマコト」

そうだった。ここからは未知の領域だった。

不安に思いながら自分達はセーフゾーンに進んだ。


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