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水の都エスタシスと蒼天のギルド

水の都エスタシスに着いた自分達は馬車から降りる。

「こ、ここが水の都エスタシスか!」

街には樹木や川があり、自然が豊かだった。

セルフィアとはまた違った街並みをしている。

ちなみにエスタシスはセルフィアに次ぐ二番目に大きな街で、魔法関連の研究者が多いらしい。

「マコトこっちだ」

「あ、うん」

自分とギルは街を軽く歩きながら依頼のことを確認した。

まずこの街にある『蒼天の旅団』というギルドと合流する。

リスアスによるとギルドにはもう連絡したので、自分達が来ることは知っているはずとのこと。

その後、邪神の洞窟というダンジョンを蒼天の旅団と協力して探索をする。

「問題は、ダンジョンの難易度とギルドの人と仲良くできるかっていう所だね」

なんせ共闘なので協力し合わないとダンジョンはそう簡単に攻略はできないだろう。

「そういやギル。昔、蒼天の旅団にいたってことは大体の人とは知り合いなんだよね?」

「んーどうだろうな。新しい奴が入ったとか聞いてないけどな…なんせ六年前だから記憶にあるかどうか…」

六年とは微妙だね。顔見れば思い出すくらいかな?

まぁギルは鉄仮面だけど。

ちなみに依頼の期限は無いので何日もかかっても大丈夫らしい。

「………ん?」

気のせいだろうか?なんか視線を感じる。

周辺を見渡すが自分を見ている人は見る限りいない。

「……?」

それにこの街に入ってから違和感がする。

何かの結界魔法だろうか?それとも緊張してるのかな…

「どうしたマコト」

「いや…何でもない」

今の所、危機探知スキルは全く反応なしだから問題は無いと思うけど…

とにかくこの街も広いので迷わないようにギルについて行った。

「━━━━━………みつけた」



「ここが『蒼天の旅団』のギルドハウスだ」

「ここが…ギルドハウス?明らかに路地裏だけど…」

ギルについてきたのはいいが、ついてきた場所が路地裏にある扉だった。

「中に入ってみるとわかるさ」

ギルは扉を開けて中に入って行った。

このギルド本当に大丈夫か…?

恐る恐る扉を開けて中を見る。

「お邪魔しまー……す?」

しかし中は豪華な装飾がされたホールみたいな場所だった。

明らかにあの路地裏の扉の中とは思えない場所にいる。

「ど…どうなってるの?」

「ああこれは…」

「ハッハッハ!ようこそ!我がギルド『蒼天の旅団』へ!」

ギルの説明を遮って、突然ホールに声が響く。

声の方向を向くと広い階段があり、そこから金髪の男が降りてきた。

「相変わらずだな…ベルイール」

「ん?その声はギルバート君かい!?おお!ずいぶんと図太い声になって!」

「馬鹿にしてるのか?」

ギルとベルイールという男が話し合う。

「ん?そちらの少女は…?」

あ、こっち見た。自分で自己紹介しようとしたがギルが紹介をしてくれた。

「ああこの子は…」

「あー!!ギル君!帰ってきたの!?」

またかよ。ギルの声をまた遮って声が響く。

階段を勢いよく降りてきたのは桃色ツインテールの少女だった。

身長は自分より少し小さい。

「もう!帰ってくるなら念話飛ばしてよ!」

「あれ?リスアスが連絡したって聞いたけど」

「あー…もしかしたらギルマスだけ知ってる系かな」

あのー…自分の紹介は?

「ギル…ギル!」

「ん?ああすまん」

ギルは一回咳払いして、自分の紹介をしてくれた。

「さて…この子はマコト。こんなか弱そうな少女だが強さはデーモンの集団を一瞬で殲滅する力をもつ奴だ」

「デーモンって…マジ?」

「しかも集団をかね?…本当か?」

うん。まぁ普通は疑うよね。

「あっ…ごめんね?私はカナメ。でこっちのバカはベルイール。一応貴族出身だけど悪い奴じゃないから大丈夫」

「ふっ…ベルイールという。マコト君だったかな?短い期間だがよろしく頼むよ」

あー以下にも貴族出身って感じの奴だな。

まぁ悪い奴じゃないっていうのは多分本当だろうな。

「…マコトです。よろしくお願いします」

「ところでその服…マコトちゃんってルフォーク族?」

「いや。マコトは人間族だ」

「なに!?ルフォーク族ではないのか!」

なんか勝手に種族間違えられてるような…

「えっと…カナメさん。ここのギルマスは一体何処に?」

「え?ギルマスなら確か…テトー!出てきなよー!」

「………」

無音。返事は返ってこない。

「また寝てるのかな?もう仕方ないわね…起こしに行くから、ベルイール!」

「ん?どうしたねカナメよ」

「この二人をリビングに案内しといて」

「ふっ…任せたまえ!この二人の案内はこの私、ベルイールが引き受けよう!」

いちいちうるさいし長いな。

「それでは我がギルドの至高なるリビングにお連れしよう!」

「……まぁ多分慣れるさ」

「…そうだね」

でもかなり時間はかかりそうだ。


ベルイールについて行くとかなり広いリビングに着いた。

「さぁ座りたまえよ!今お茶を準備しよう!」

ベルイールはお茶を準備するため走って部屋から出ていった。

「マコト。一応聞くがレベルのことは黙っておくか?」

「え?うーん…でもどうせ隠してても後でバレるだろうし言ってもいいよ」

「そうか」

…この人はいつまで鉄仮面被ってるんだろ。

「ちょっと!テトそっちじゃないって!」

「ん?もしかしてギルマス来たのかな?」

その割にはやけに騒がしいけど…

少し待つと部屋の扉が開いた。

「……まだ眠いんだけどー」

現れたのは寝癖がついたボサボサ銀髪の女性だった。

「もう!あんたはギルマスなんだからしっかりしてよ!」

「はぁ…なんでこんなギルドのマスターになったんだろ…」

「…もしかしてこの人がギルマス?」

ギルとカナメは頷く。

嘘だろ?こんなミヅチよりも適当そうな人がギルマス?

のそのそと歩き、目の前の椅子に座った。

そして見ていたかのように、タイミング良くベルイールが入ってきた。

「我が故郷に代々伝わる紅茶を用意した。是非堪能したまえ」

え?紅茶ですか。この世界でも紅茶は飲まれてるのか…

お茶が用意されてからお互いに自己紹介をする。

「あー…テトです。一応ここのギルドマスターです」

「マコトです…よ…よろしくお願いします」

「………」

「………」

なんだこの間は。

「えーと…路地裏の扉からこんなギルドに入ったんですが、どうなってるんですか?」

「ああそれは魔法ね。ちょっとした魔法を使って外は質素に中は豪華にみたいな感じに見せるの」

ギルマスに代わってカナメが説明してくれる。

へーそんな魔法があるんだ…

「さてと!自己紹介は済んだけど、流石に今からダンジョンにいくのは危ないから今日はここに泊まってって!」

「え!?マジっすか!?」

「おお!それは良い考えだ!早速寝床を準備しよう!」

またベルイールは走って部屋を出ていった。

「私もベルイールを手伝ってくるからテトと話してて」

カナメも部屋から出ていった。

「………」

「………」

「Zzz…」

ってギルマス寝てるし!

「ちょっとえっと…テトさん起きてください!」

「ファッ!?なに!?なんかあった?」

かなり力強く揺さぶったのでテトは飛び起きた。

大丈夫かこのギルマス…

「そうだな…とりあえず明日のダンジョンの作戦を考えよう」

「ああ…ああそうかダンジョンの作戦ね…」

テトはうつらうつらしながら話してる。

「確かあのダンジョンは途中からは探索されていないはずだ」

「つまり未探索?」

「いやセーフエリアは見つけたから半分は攻略している」

「…でもそこまでたくさんのトラップと魔物がいる」

「ああ…俺は入った訳じゃないからわからないが…どうやら魔物とトラップの配置が凶悪で、油断したら一軍団が軽く全滅したらしいぞ」

う…そんな危険なダンジョンにいくんですか!?

「なに。俺とマコトとテトがいれば誰も死にはしないさ」

ん?なんでこのギルマスも期待してるの?

「テトはトラップや魔物を探知するスキルをたくさん覚えているんだ。こんな奴だがな」

なるほど。いわゆるシーフみたいなスキルがあるのね。

「なんですかそのこんな奴って。年中無休で鉄仮面を被ってるギルバートには言われたくないよ」

「これには外せない理由があるんだ」

どんな理由だよ。


水の都エスタシスに着いてから初めての夜。

相変わらず月は大きく見える。

「明日からはダンジョンだ。早めに休んでおけよ」

ギルはベルイールに用意して貰った部屋から出ていく。

さすがに少女と一緒の部屋で寝るのは気が引けるらしい。

「うん。ありがとうおやすみ」

「ああおやすみ」

バタンと扉の閉まる音がした。

「…はぁ」

自分は思わずため息をつく。

だって高難易度のダンジョンに向かうんだぞ?

確かにゲーマーとしての血は騒ぐがこの世界には多分コンティニューはない。つまり死んだらおしまいだ。

「細心の注意をするしかないよね…」

だけどただ自分だけ生き残るだけじゃ駄目だ。

全員生きて帰る。それが目標だ。

……フラグじゃないよ?

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