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難しい依頼の本部

ミヅチと一緒に来たのは黒い建物のギルド本部。

「それにしても…デカい建物だね」

「そりゃギルド本部だからね。でかくて目立った方が良い」

「ふーん」

ミヅチが中に入って行ったので自分もついて行った。

「おお…流石ギルド本部だ」

中は高級ホテルみたいなエントランスだった。

ミヅチは受付の人と話す。

「『紫の集い』のミヅチだ。マコトを連れてきたから手続きを頼むよ」

「見れば分かりますよ…手続きは済んでいるのでそちらの階段からどうぞ」

「お!すまないね」

おいおい手続きも適当だな!

「…あんな目立つ髪色と服してれば誰だってすぐ分かるわよ」

…とりあえず聞かなかったことにしよう。

自分とミヅチは建物の最上階まで登った。

長い廊下を進むと奥の扉から声が聞こえる。

「━━で━の…」

「さぁギルド本部のマスターの部屋だ」

「…もしかして怖い?」

「いやそうでもないから大丈夫だよ」

その情報、不安だな…

ミヅチが扉をノックする。

「失礼しまーす」

「し…失礼します…」

「ああミヅチ。連れてきてくれましたか」

「………」

部屋の正面にいたのはまず銀髪で長髪の優男。

多分この本部のマスターだろうね。

でもその隣にいるのは高身長で真っ黒の全身鎧の人だ。

怪しげな威圧感を感じる。

「あ、すみません。『紫の集い』メンバーのマコトです」

「おや。ご丁寧にありがとう。僕は全てのギルドの管理をしている本部のマスターのリスアスだ」

リスアスという人は丁寧に挨拶をした。

良い人かも。少なくともミヅチよりは。

「…なんで俺を見てるんだいマコト?」

「そしてこっちの人は…」

「…自己紹介ぐらいはできるぞリスアス」

ギャー喋ったー!って失礼か。すみません。

「そうですか。ではどうぞ」

黒い鎧の人はこちらをじっと見ている。

「…漆黒の翼ギルバートだ」

「ギ、ギルバート!?」

あの厨二病がこんな強そうな人だなんて!

いや強いのは知ってるけどね。

「…くく」

はいそこミヅチ。笑い堪えられてないからな。

「ダンジョンでの力が尋常ではない者と推測されて来てみたら…こんな小さな少女だとはな」

む。今鼻で笑ったか?

顔も黒い鉄仮面で覆われていて、表情が読めん。

というかすごい威圧感だ。

危機探知スキルが反応してないのがおかしいぐらい強い。

「こんな少女がデーモンの大群を一瞬で撃退できるとは思えん。何か細工があるはずだ」

この厨二病完全に疑ってますね。

「まぁまぁでも実は私も疑心暗鬼でね。マコトさん?」

リスアスお前もかよ!

リスアスはニコニコしながらこちらを見ている。

「…自分に一体何をしろと?」

するとリスアスは一枚の紙を渡してきた。

「これは…依頼書?」

「はいそうです。あなたにはこの人、ギルバートさんと…」

え?まさか戦えとかじゃないだろうな!?


「…あるダンジョンの探索を依頼したい」


「「…は?」」

ちょっと待て。いやミヅチも唖然としてるのは無視しといて。

「な、なんで?」

「ギルバートさんがその力があるなら間近で見たいと言うので、マコトさんとギルバートさんにあったダンジョンを探索して貰えると良いと思いましてね」

「…………」

「ちょっと待てリスアス!いくらマコトでも拒否権はあるだろう?この依頼は模擬戦じゃないんだし!」

ミヅチが焦って依頼について抗議した。

てかギルバートと戦わせようとしたのかよ!

「はい。もちろん拒否権はありますよ?ですが今の状況を見たらマコトさんへの疑いの目は消えませんからね。一番レベルの近いギルバートさんが適任と思っての依頼です」

「ぐ…」

ミヅチが自分に耳打ちする。

(無理に受けなくてもいいぞ…なんせこれから行くダンジョンはおそらく俺でさえわからない超高難易度ダンジョンだ)

(………)

確かにこのままじゃ高難易度ダンジョンに連れてかれる。でもここで断ると自分への疑いの目は消えない。

「あ、ちなみにクリスタルの変更の犯人の容疑者に貴女も入っているのでよくお考え下さい」

「なっ…!?」

バカな!?むしろ自分は被害者のはずだぞ!

「本当はマコトさんのような優秀な人は失いたくはないので受けてくれると幸いです」

「…さぁ選べ。我と共にダンジョンを進むか、犯罪者としてこの世界を生きるか」

うわぁ…究極の選択だ。

でももうこれ選択権ないよね…

「わかった…ダンジョンに行く」

「おお!貴女ならそう言ってくれると思っていました!」

リスアスは満点の笑顔になる。

この人、絶対裏があるよな?正直ミヅチより凶悪に見える。

多分良い人って言ったけど撤回しよう。まだミヅチの方が可愛げがあるね。

「よしならば明日、もう一度ここに来い。…これは機密依頼だ。口外するなよ?」

「………はい」

今、釘打たれたな…

「それと、少し遠征になる。二日三日では帰ってはこれんぞ?準備をしっかりしてこい」

遠征っすか。マジっすか。

漆黒の翼ギルバートは部屋から出ていった。

「依頼の詳細、目的はギルバートさんから聞いて下さいね。…さて今回の用件は以上です。何か質問は?」

「じゃああの厨二…じゃなくてあの人はいつもあんな感じ?」

「…?ああ、性格のことですか?うーん…確かにあの様にかなり無愛想な性格ですね」

うわ…そんな人と二人で遠くまで行って、しかもダンジョン探索ですか?ちょっと嫌だな…

「まぁ頑張ります…」

「はい。大変でしょうけど頑張って下さい」

「それじゃ失礼するぞ」

「失礼しました」

バタン。

「……はぁ」

「ミヅチ。ため息つきたいのは自分の方だって」

正直こんな展開になるとは思いもしなかった。

「大丈夫かい?ギルバートと一緒にダンジョンなんて…」

まぁ大丈夫だろうけど問題はギルバートにあったレベルのダンジョンが選ばれることになるのは目に見えている。

「でも断ったら大変だよ?犯罪者は嫌だな…」

「…気をつけてくれよ」

とりあえず自分達はギルドに戻った。


ギルドに戻った後、自分は温泉に入ることにした。

「うーん一応武器とか買った方が良いかな…」

自分は浸かりながら考える。

でも高難易度ってことはトラップも凶悪かもしれないし、もし武器解除転移トラップだったら意味無いしな…

「…ギルバートって奴なんか怖そうだから嫌だな…」

漆黒の翼っていうから闇魔法とか使いそうだけど…

「って自分闇魔法は持ってないよな?」

確認するがやはり闇属性の魔法は持っていない。

なんでだろう?妖術師は闇魔法が使えないとか?

それともただ単にスキルを持ってないから?

「まだまだスキルの研究はわからないな…楽しいけど」

「…何か考え事?」

「ひゃぁ!?」

後ろから声が聞こえたのはマリだった。

「び、びっくりするからやめてよ…」

「ごめん。マコトの反応が面白いから…そして今の声も可愛い声が出た」

くっ!馬鹿にされてる!

好きでこんな身体になったんじゃないよ!

「…あの漆黒の翼と遠くのダンジョンに行くって聞いた」

「あ…うん」

「大丈夫。マコトは帰ってこれる」

「そうかな?」

マリは自分の顔をじっと見る。

「ダンジョンで死んだ人は何人もいたけど、マコトみたいな人が死ぬことは無かったから大丈夫」

「………」

自分は無言で温泉から上がる。

「死ぬつもりは無いよ。いざという時は自分だけ生き残ってみるさ」

こうなったら、ダンジョンで死ぬような雑魚モブ野郎じゃないってことを証明してやる。


「マコトー!ちょっと渡したい物があるんだ!」

「え?何?渡したい物って…?」

寝る前にミヅチがある物を渡してきた。

「これは…腕輪?」

「身代りの腕輪だよ。もし呪いとかの即死魔法を受けても身代りになってくれる優れモノさ!」

テトラジャの石とかホムンクルスみたいな効果ですか。

「ありがとうミヅチ…でもなんでここまでするの?」

「……心配だからだよ」

は?もしかして自分に好意向けてる?

…いかん寒気がしてきた。

確かに身体は女の子だが、心は男だよ!

「でもありがとうミヅチ。ちゃんと帰ってくるからさ。心配しないで待ってて」

「ああ…それじゃおやすみ」

「うん。おやすみなさい」


そして翌朝。

「それでは出発する」

「お気を付けて」

「ちゃんと帰ってきなよー!」

「マコトさん!頑張って下さい!」

「…頑張って」

紫の集いのギルドのみんなとリスアスに見送られて自分とギルバートは専用の馬車に乗る。

「みんなー!いってきまーす!」

馬車の窓から手を振って出発する。

自分には帰るギルドがあるんだ。

こんな浅いイベントで死んでたまるかよ!

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