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7つ星  作者: 水嶋
11/14

リゲル

今回は粗方梟介が活躍しましたね。

荒木さんには今後に期待しましょう。

佳奈ちゃんのお母さんに久しぶりに連絡した。


「お久しぶりです。いきなりのご連絡すみません」


「いいえ。田村さんが佳奈の事をずっと気にかけてくださっていて、私も嬉しく思います。」


久しぶりに会った佳奈ちゃんのお母さんは、前に会った時より少しだけ落ち着いてみえた。


あの時はお互い焦燥し切っていた。

あの時から少しずつ時間が過ぎて行ってるんだなあって実感した。


事情を説明して佳奈ちゃんのスマホを借りた。

ちゃんとまだ保管してくれていた。

必ず解決して見せますと俺は言った。


「宜しくお願いします」


とお母さんは言った。






それを持って荒木さんの事務所へ向かった。


梟介さんに見てもらうと


「時間が経ってるからメールなんかのやり取りは全部は無理かも知れない…でも登録してあったアドレスなんかはクラウドに保管されてるだろうからそれは引き出せるかな。解約してなかったのは不幸中の幸いだったね」



そうなのだ。佳奈ちゃんのお母さんはまだ解約していなかった。

もしかして、誰かから連絡が来るかもと思っていたらしい。


やはりお母さんもあの自殺に違和感を感じていた。

警察に調べて貰うには手掛かりが無さすぎたので何か出て来ないかとお母さんも模索していた。

やはりメール等の復旧は時間が経ち過ぎていて難しいと言われたらしい。



「そこから相手のスマホに侵入して引っ張れるかも。多分カモ相手を脅す為のやり取りは消してないか、何処かに保存してると思うんだよな。警察が動き出すと証拠消される可能性あるからすぐに取り掛かるね」


と、何かこれってバレたら犯罪とかにならないんかな?と少し不安にもなったが相手はもっと悪どい事をしてきてるからお互い様かと聞かなかった事に決めた。



そこから色々動き出した。


最終的に警察に介入してもらい、詐欺グループの逮捕に至った。


やはりこの先生って言う人も荒木さんの予測通り詐欺師だった。


佳奈ちゃんみたいな被害者は若い人を中心に男女問わずいた。


女の子は佳奈ちゃんみたいに使われている人も多かった。

見た目が可愛い、綺麗な人はターゲットにされやすかったのかも知れない。

その他はあの先輩みたいに勧誘の手先等に使われたり他の犯罪の駒に使われていた。


最終的には性風俗などの仕事をさせられたり、薬物で奴隷の様に扱われたり…

生きていても地獄だったのかも知れない。


男の被害者は借金をカタに脅されて違う犯罪に利用されていた。

見た目が幼くて綺麗だと女の子がされてたみたいな事をやらされている人もいたらしい。


佳奈ちゃんを陥れた菅野志帆と言う女も見つけ出せて捕まえられた。

この女も元々は被害者だった。

だが、被害者だろうが何も悪く無い人を陥れる加害者になった人を到底許す気にはなれない。


佳奈ちゃんは戻っては来ないのだ。

まだ命が有れば反省して悔い改められるだけでも有り難いと思って欲しい。




依頼は粗方目処が経って後は警察に任せると言う段階になった。


やはり、あの動画から色々手掛かりも見つかり急速に止まっていた時間が進み出した気がした。


動画を見つけた時はあまりのショックでまた目を逸らして逃げ出したくなった。

でも佳奈ちゃんはそれを許さなかった。

佳奈ちゃんが他の被害者を救えと命をかけて俺に向かって叫んでいる様に思えた。


やはり佳奈ちゃんは俺を導く星だったんだろう。

いまは流れて行ってしまったけれど、他の被害者達も救って行った。






「この度は大変お世話になりました。これで漸く俺も前を向いて進んで行けると思います。依頼料はどれ位になりますか?」


今回は成功報酬だと、まだ具体的な金額を提示されていなくて、解決したら話し合いとなっていた。


受付の女の子が話してきた。


「それでは…今回は相談料はサービスさせて頂き、此方の実労働時間計算で…最低賃金で時給計算させて頂き、この金額です」


と提示された金額は思っていたよりかなり安かった。

一応目安にと相場は調べていた。


「この金額で…ここまでして頂いたのに良かったんですか?」


「はい。まあ実際の解決は結局警察ですからね。私達は納税してますから、普段から依頼料を国に積み立ててる様なものですよ。ははは」


「はあ…」


「あとは…実は今回がこの事務所の初めての仕事だったんですよ。なんで此方の勉強代の差し引きと、これからの田村さんの人生への餞代ですね!」


と、清々しい笑顔を荒木さんがしていた。





まるで…


ここから新たに進んで行く人生を応援してもらっている様で…

この先に進む道を作ってくれた、力強く輝く巨人の左足、リゲルみたいに思えた。


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