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7つ星  作者: 水嶋
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モク仲

新キャストでの物語の始まりです。

「タムさん!明けましておめでとうございます!」


「ははは、まだ明けてないよ。ハイ、みかんもう一個オマケしたげる。ナイショだよ」


「ふふふ、ありがとう!じゃあ頑張ってね!」


「佳奈ちゃんもね。」


今日は大晦日、某テーマパークはカウントダウンで年明け4時まで特別営業する。


俺はここのセントラルキッチンで働いていて、今日は働くキャストにサービスで年越し蕎麦とみかんを無料配布している。


普段はキッチンキャスト以外はここには立ち寄らないが、今日だけは他のキャストもこれを貰いにやってくる。


表舞台で働くキャストも寒い中大変だが、何気に裏方の俺達も今日は忙しい。


さっきの佳奈ちゃんは清掃キャストで、普通なら関わる事がないのだが、言わばモク仲だ。


出会いは休憩室の喫煙所だった。





「ライターガス切れですか?」


俺はタバコに火をつけようと必死で安物ライターをカチカチさせていた。


「そうみたい。コレ外から見て分からないから切れかけかどうか分からなかった…」


「じゃあ、ハイどうぞ」


そう言ってジッポーを出してきた。


「若い女の子がシブいね」


「ふふふ。このオイルの匂いが好きなの」


「あー!分かる。でも手間かかるでしょ。俺も昔少し使ってたけど、面倒でやめた。」


「そうそう、石とかすぐダメになるし、オイル切れ早いし、補充もカパって下開けなきゃだしね。でもやっぱ風に吹かれても消えないし、この手間暇が愛着湧くんだよね」


「確かに風には強いな。軍人さんとかも使うんだっけ?この面倒さに耐えられるのは尊敬だなあ。」


「ふふふ、私我慢強いのは自信アリよ。」


「へー。良い奥さんになりそうだ。」


「まだなる気ないからね。夢あるし。」


「良いなあ。なんかそう言うの眩しい…」


「田村さん?まだ若いでしょ。あはは」


「鈴木さん?君は見たまんま若そうだね」



お互いネームプレートを見ながら名前を呼んだ。ローマ字表記だが、2人ともありふれた苗字なんで、漢字もすぐ想像出来た。



「うん、ハタチ。」


「ハタチでジッポーかあ。やっぱ渋いなあ」


「私形から入るタイプだからね。田村さんは幾つ?」


「俺24。タムさんで良いよ。みんなそう呼んでるから」


「なんだ、結構歳近いね!じゃあ私は佳奈で良いよ!じゃあまたね!タムさんも若いのにセッターは渋いからね!」


俺のセブンスターを指差して笑いながら喫煙所を出て行った。






そこから休憩室で佳奈ちゃんとたまに顔を合わせる様になった。


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