【XXX】
【有無ゼロコ】
「【有無ゼロコ】がきたー!」
【有無ゼロコ】―――格闘術を使い戦う、最強の少女の名である。
漆黒の髪と瞳に純白の肌の少女が、拳を撃ち脚で穿つ。
1人を前にして、正義が栄え悪が無に帰していく。
平和を護り混沌を祓うその姿を、天使と誰かが敬い、悪魔と誰かが恐れた。
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「"最強"……」
最強の少女は今―――
東京・江戸川区の警察寮にて。
スマホのネットニュースで今朝の件についての記事を閲覧していた。
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[有無ゼロコ 巡査長 東京・江戸川区のテロリストを単独制圧]
格闘術で任務をこなすという最年少警官の彼女が、本日7月4日の朝。
東京・江戸川区のN銀行を襲撃したテロリストを単独且数秒で制圧する活躍をしました。
最強の人間は誰かと聞かれたら、彼女であると全ての人が言うことでしょう。
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「人の為に頑張るのは気持ちがいいなー!」
正義の力を奮い人を笑顔で助ける。
警察で人の為に……
平和の為に働き続けることを、彼女は幸せそうに楽しんでいた。
と、スマホの画面をスワイプしたらとあるニュースが表示される。
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[サバイバルゲーム 全世界プレイヤー数1億人突破!]
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「……!」
『サバイバルゲーム』
2072年……サバイバルゲームをAR(拡張現実)でプレイする、日本を主導として謎のスーパーエンジン「G」を元に開発されたゲーム。
たった1ヶ月で日本を始めとした世界中で流行り、人気度は今年のゲームランキングNo.1、ゲームプレイヤー数はギネスに認定されているほど。12歳~65歳の男女がプレイできるスポーツとして、オリンピックの競技に取り入れることも検討されている。
彼女は"警察官"を確かに楽しんではいたが、"ゲーム"等の娯楽をしたことがない。
警察として働くときもサバイバルゲームをしている人をたまに観ていた。ゲームで楽しむということを、心の中で欲していたのである。
今は、12歳。そして1ヶ月後には長期間の休暇があり、心に決めるに至るには十分な状況であった。
「―――サバイバルゲーム、やってみよっか」
手に強く力が入り、スマホを操作して、サバイバルゲームのアプリをダウンロードする。
本名でサバイバルゲームのアカウント作成をして、プレイヤー登録をする。
警察官でなく、ただの"子供"の彼女がそこにいた。
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【有無ゼロコ】
ArinashiZeroko
格闘術/攻撃力1/ライフ10
【○】自分は、無の力を使用できる。
あなたは、バランスタイプのプレイヤーに決定されました。
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