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Song.6 ノリノリ! 悪魔親子爆誕!!


「えええぇぇぇっ!?」



 取材の一環で研究所の広場を案内していた時、誰かが急に大声で叫んだ。

 一人だけかと思いきや、どんどん電話が鳴って色んな人が仰天し始める。



 おやおや。

 何があったんだろうね。



 気にはなったけど、記者に聞くつもりはない。

 後でいくらでも丸裸にできるので。



 とりあえず、記者の方々が落ち着くまではドラゴンの観察でもしていようかな。

 そう思った矢先……



「あの、アルシードさん……」



 電話を切った記者の一人が、こちらに何かを訊きたげな目を向けてきた。



 え?

 今の電話、僕絡みのお知らせだったんです?



 何か、と視線だけで続きを(うなが)す。

 すると……



「モデルのシアノ君を……ご存知ですよね?」



 そう問われた。



 脳内処理にかかった時間は約二秒。

 思わず笑っちゃったよ。



「ははぁ、察しましたよー? とうとうあの子、我慢できずに僕のことを〝父さん〟って呼びましたね?」



「………っ!!」



 先に結論を述べてやると、記者の皆さんが面白いくらいに瞠目する。

 まだ知らせを受けていない人たちは、大慌てで会社に事実確認の電話をかけ始めた。



「で? どうして今、その話を僕に? 僕に話を聞かなくても、シアノ本人が愉快に話したのでは?」



「それが……シアノ君は、あなたが父さんであると言った後、詳しくは語らずに逃げてしまったそうで……」



 あの子もやるなぁ。

 自分からは深く語らず、僕に話をさせる流れに持っていくなんて。



 ここで僕があの子の発言を認めれば、虎の威を借る狐だとは思われないね。



 利用してもいいと言われたからには、相手が僕だろうと遠慮しないということなのか。

 それとも、単純に嬉しすぎただけなのか。



 本当に……可愛い子だよ。



「なるほど…。それで僕に〝シアノの発言は本当か?〟って確認してくれと、芸能担当から頼まれたわけですね? ……って、訊かれるまでもなく、僕から先に認めちゃってるようなもんか。」



 僕から結論を察して言っちゃったし、これまでの話の流れを()めばそれは明らか。

 ならば、ここは―――





「ええ。息子だと思って可愛がってますよ。セレニアで〝ジョー・レイン〟をやっていた時から、ずーっとね♪」





 面白いから、乗ってあげましょう♪



「ほ、本当なんですか!?」



「んー……逆に、疑います? 自分で言うのもなんですが、あの子結構僕に似てると思いますけど。頭の回転がすこぶる早いところと、世渡り上手なところが特に。」



「あ…」



「まあー大きくなったものですよね。確かに基本を教えてきたのは僕ですが、それをあそこまで応用して自分の力に変えてしまうなんて。天才と呼ばれている僕でも感心します。」



「シアノ君の飛躍の裏には、あなたのお力添えが……」



「誤解はしないでください? あそこまで飛躍したのは、確かにシアノ本人の実力です。僕はただ、後ろからそっと見守っていただけですよ。まあ、シアノが初めてステージに立った時は、コーディネートに力を入れちゃいましたけど。」



「あの衣装は、アルシードさんプロデュースだったんですか!?」



「そりゃあ、可愛い子供の新たなスタートダッシュですもの。親として、全力で背中を押すのは当たり前でしょう? 大歓声を浴びるあの子を見た時は、父親冥利に尽きるなーと感動したものです。」



「ええぇっ!? どうして今の今まで、親子関係を黙っていたんですか!?」



「これも親として当然では? あの子自身の輝きを、親の七光りだと思われたくないじゃないですか。僕の名前がよくも悪くも目立ちすぎるってことくらい、痛いほどに分かってるんですよ。」



 語れば語るほどに、記者の皆さんは騒然。

 あんぐりと大口を開けちゃって、馬鹿なのが際立つからやめた方がいいよ?



「そういうことでぇー……」



 そこで、ガラリと口調を変える。

 (あや)しい雰囲気を身にまとい、人々にとびきりの悪魔スマイルをプレゼント。



「秘密解禁となったから堂々と言いますが、シアノはこの僕が育てたんです。そしてシアノは、見事に僕の教えをマスターしました。やられたらやり返すという気質もね。あの子を下手にイラッとさせようものなら……僕が手を出さなくたって、痛い目を見ますよ?」



「………っ!!」



 すでに僕の天才劇場やら復讐宣言やらを見ている人たちだ。

 詳しく語らずとも意味は分かるらしく、途端に皆さんの顔から血の気が引いていく。



「ちょうどいいので、本日の取材協力はここまで。科学界のアルシード・レイン、芸能界のシアノ・ルクレイアの天才悪魔親子を、今後もどうぞご贔屓(ひいき)に♪」



 最後にウインクを一つかまして、人々に背を向ける。



 ごめんねぇ、シアノ。

 僕を〝父さん〟と呼んだからには、君も悪魔の仲間入りだよ。

 このレッテルをどう有効活用するのか、僕に見せてごらん。





 ―――応援してるから、ね?





〈シアノ編 END〉



 ここまでお読みくださった皆様、本当にありがとうございました!



 アルシードとノアのお話から読んでくれた方。

 ライトにシアノの短編だけを読んだ方。



 楽しみ方は人それぞれだと思いますが、この作品を見つけてクリックしてくれただけで感謝感激です。



 さて、『竜焔の騎士』シリーズにはこの物語の他に、ディアラントやミゲルの話がまとまった『竜焔の騎士~Side Story~』もあるわけですが……



 シアノの短編をこちらの外伝に収録したのは言うまでもなく、シアノの成長とアルシードが密接に関係しているからです。



 まあ、その最たる理由は〝こっちにシアノの話をくっつけないと、シアノがアルを旦那さんって呼んだ背景が分からんな…〟ってことなんですがね!



 実はこのシアノ君、作者の筆が違う方向に行っていれば、レクトと共に死んでいたかもしれない人物でした。



 生き残れば確実にキリハがルルアに連れていくだろうとは思っていましたが、死ぬ可能性も残っていた手前、そこまで深い未来展開がなかったのです。



 そんなふわふわな状況からシアノを生き残らせることに決め、ならば数年後の彼も描写せねばなーと、真剣に彼の未来を思考し始めました。



 また裏切られて捨てられるのが怖い。

 それでも、誰かに必要とされて愛されたい。

 だけど、自分から手を伸ばすのもまた怖くて……



 そんなシアノが誰かに歌声を褒められたことをきっかけに、いくらでも仮面を被れるかつ、不特定多数の人から関心を集められるネットの世界に手を伸ばすのは必定の流れ。



 とはいえ、よくも悪くも発言の自由度が高いネットの世界は、当時のシアノの精神では生き抜けなかったでしょう。



 シアノの未来を明るくするためには、これまでの価値観を前向きな意味でぶち壊してくれる誰かが必要なんだけど……



 なんてことを考えている時に同時並行でアルシードとノアの外伝も書いていたもので、ちょうどルルアに来ているアルシードを突撃させてみたら、これが上手いことはまったという感じですね。



 アルシードもアルシードで、ルルアに来ていることでまるーくなっている状態なので、シアノの面倒をよく見てくれること。



 ……まあ、おかげでシアノが悪魔に仲間入りしたのですが(笑)



 作中では〝ノアがお母さんなのはちょっと…〟とバッサリ切り捨てたシアノですが、この寄せ集め家族はなんだかんだと仲良くやっていくんだろうと思います。



 では、シアノの物語にまつわるエピソードはこのくらいにしましょうか。

 最後に改めて、ありがとうございました!!



 2025/1/18 時雨青葉



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