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ラウンド71 新たな愛の証


「これ、半年前に約束した新しい誕生木のネックレス。ありきたりじゃつまらないから、僕なりにアレンジしてみたよ。」



 少し照れ臭そうに言いながら、アルシードはノアの前で小箱の(ふた)を開いた。



「これは……」



 中身を見て、ノアは(なか)ば放心する。



 金色の鎖と白い宝石が交互に連なったチェーン。



 その先で光るのは、二本の木の枝が絡み合って円環を作り、対角線上にパピラスとジェルクの花を咲かせたデザインのトップだった。



「せっかく北と南で同時に咲くんだよ? 片割れだけを持っているより、常に共にあった方がいいと思わない?」



「アル……」



「それに、これならね……」



 アルシードは片手で、シャツのボタンを数個外す。





「―――おそろい、できちゃうよ?」





 はだけたシャツの下で揺れるのは、箱の中身と全く同じデザインをしたネックレスだ。



「―――っ」



 涙ぐんだノアが、可愛らしい仕草で口元を両手で覆う。



「ノア・セントオールさん。これがアルシード・レインから贈る、新しい愛の証です。」



 口に出して言うと、結構恥ずかしいな。



 でも、半年前にノアがネックレスにかまけて欲しがったのは、この先に続く言葉だもんね。



 恥ずかしくても言うよ。

 これが嘘偽りのない、僕の本心だから……





「僕と結婚してくれますか? このネックレスに想いを込めて、あなたに永遠の愛を誓います。―――誰よりも愛しているよ、ノア。」





 これが、アルシード・レイン一生で一度きりの誓い。

 全身全霊をかけた、今世紀一のプロポーズだ。



「はい……はい…っ」



 ぽろぽろと泣きながら、ノアが何度も頷いてくれる。



 そんな彼女の首からこれまでのネックレスを外して、新しいネックレスをかけてあげた。



 正式にアルシードに戻ったその日に、タイミングよくプロポーズができちゃうなんて。

 笑っちゃうくらい、運命で結ばれているんだと実感するよ。



「ねぇ、ノア。この後、二人ですぐにルルアに行こうか。」

「ルルアに…?」



 鼻をすすりながら、ノアがその意図を問うように首を傾げる。

 アルシードは悪戯(いたずら)っぽく笑った。





「どうせもう、僕の国籍はずっと前から発行済みでしょ? さっさと受け取って―――このまま、婚姻届も出しちゃおう?」





 一度は完璧に捨てたはずの名前。



 それを取り戻した僕は、この先何度でもこの名前を名乗って、何度でもこの名前をしたためるだろう。



 ならば、最初にこの名前を直筆で記すのは、最愛の人と共に永遠を歩むことを誓う契約書がいいんだ。



「うん!!」



 とびきり幸せそうな泣き笑い。



 それがまぶしくて、愛しくてたまらなくて、誓いのキスを式まで我慢することなんてできなかった。





 ルルアを変えた魔性の変革王と、ルルアで生き返った天才科学者の電撃結婚。





 それはこの半年後、ルルアやセレニアだけではなく、全世界を震撼させることになる。



 ようやく秘密解禁となってみんなが口を滑らせちゃったせいで、僕たちの六年半に及ぶ歩みは、海を越えた運命の大恋愛として、それはもう話題になってしまった。



 ちなみに、デレデレになったノアが誕生木のネックレスを自慢しちゃったもんだから、僕からのプロポーズの一部始終もルルア中に知れ渡っちゃいました。



 あのね、ノアさん。

 嬉しかったのは分かるけど、プロポーズの思い出くらいは二人だけのものにしようよ。



 おかげで僕は、その記事を読んだセレニアのみんなに、ものすごーくからかわれるはめになったんだけど?



 さらにこれが口火となって、ルルアでは互いの誕生木を組み合わせたペアネックレスが大ブームとなった。



 やめてよね……



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