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ラウンド44 魔の会議

 セレニアには、絶対に触れてはいけない禁断の会議がある。

 そこで行われる話は明かされていないが、メンバーがメンバーである。



 きっとそこでは、誰を生かして誰を消すかという、それは恐ろしい会話が交わされているのだ。



 そこにいたら寿命を食われると、あの〈風魔(ふうま)のディアラント〉や大統領のターニャすらも、この会議への介入を拒んでいるのだという。





(―――って言われてるけど、実際はおじいちゃん二人の長話に、僕が付き合わされてるだけなんだよねぇ。)





 紅茶を(すす)りながら、ジョーはテーブルの向かいを半目で眺める。



 そこでは、ケンゼルとオークスの仲良しコンビが、くだらない話をして笑い合っていた。



 何があの〈風魔のディアラント〉も介入しない、だ。



 あいつはこの二人に捕まるのが面倒だから、噂にかこつけてのらりくらりと逃げていっただけだっての。



(うーん…。みんな、なんでこの二人が怖いのかなぁ? 僕からしたら、自由奔放なただのおじいちゃんなんだけど……)



「そういや、ジョー。」



「はい?」



「昨日、国防軍のローミルがついに罷免されたぞ。これまでどうにか言い訳して追及をかわしてたくせに、今になって脱税の証拠という証拠を掴まれたらしい。」



「でしょうねー。」



 携帯電話をいじりながら、ジョーはオークスの報告を心底興味なさそうに流す。



「一昨日、僕の携帯電話にシステムへの侵入アラートが飛んできたんで、そろそろタイムリミットだろうなーとは思ってたんですよ。」



「なーんじゃ、やっぱりお前さんか。」



「僕は、直接は何もしてません。システムの防衛プログラムに回数制限を組み込んでおいて、一定回数の侵入があった場合に不正の証拠が爆散されるようにしてあっただけです。一度失敗した時点で諦めておけば、もう少しは長くは生き残れたでしょうに。」



「お前さんは相変わらず、言い方が可愛くないのぅ。」



「不正に不正を重ねてデータを改ざんするような奴に、同情の余地はないですよーだ。」



「まあの~。国家システムに侵入した時点で、立派な犯罪じゃしの!」



「まあ、この前ディアが天然で、ジョーがそろそろセレニアから消えるって言ったのがきっかけらしいぞ? さりげなく僕のところに探りを入れに来たから、出発日を十日ばかり早めて教えてやったんだ。」



「それで一昨日侵入してきたんですか。ディアは相変わらず、天然で人を破滅させるんだから。」



生粋(きっすい)の馬鹿って感じのガバガバな雰囲気が、自然と馬鹿を油断させるのかもなぁっ!」



「馬鹿は馬鹿で制すってか。」



「あっはっは!!」



 こんな話ばかりで終わるのが、この会議の常である。



「そういやお前さん、ルルアでもかなり暴れておるらしいのぅ?」



「はい?」



「しらばっくれおって。大統領御殿の防衛システム、もはやお前さんが管理者らしいじゃないか。向こうの情報部が泣いておったわ。」



「なんだ、もうルルアも支配したのか。これだから情報の覇者(悪魔)は!」



「いや、ルルアの場合はこれまでの悪魔寄りっていうより―――」



 コンコン……



 ふとその時、ささやかなノックの音が会議室に響いた。



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