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26 パーフェクトを打開せよ(明太子スパゲッティ)

「どのレシピにするべきか」


 明太子を前に、左手のスマホを凝視する。


 明太子は完成された料理だ。


 なにしろ、炊き立てご飯に乗せるだけで、最高にうまい。

 さらに熱々のお茶をぶっかけたら、明太子の出汁が出た明太茶漬けになる。

 しらすを乗せてもいい。


 そんな完成された明太子に向かって、料理をしようなんざ、冒涜ともいえよう。

 だが、作ってみたい。


 自家製明太子スパゲッティってどんだけうまいんだろう?


 皆さんは、まぜるだけの明太子ソースを食べたことはあるだろうか?

 俺は、中学生の頃から、お世話になりっぱなしだ。


 だって、混ぜるだけよ。

 スパゲッティだってレンチンで茹でられるし、鍋を汚さずにおいしくて満腹になる明太子スパゲティが食べられる。

 最高だよね。


 料理なんてできない状態でも、腹を満たしてくれる。

 スパゲッティの乾麺とセットで日持ちがいいってところもよい。

 今も台所に常備してある。

 救世主と言ってもいい。


 何なら、まぜるだけのソースでチャーハンを作るのだって好きだ。


 明太子だけでも完成されていて、

 なおかつ市販品でも十分うまい。


 だが、思ってしまったのだ。

 これ、自分で作ったらどんな感じなんだろう、と……。


 どんな明太子スパゲッティが理想だと言えるだろうか。

 明太子多め。これだけは譲れまい。


 明太子の風味が生かされていて、なおかつ生臭くない。

 明太子を全面に味わいたいから、今日は他の具はいらない。


 アバウトな青写真を描いて、レシピサイトをサーフィン中。


「これは牛乳が入るのか」


 クリーム明太、捨てがたい。

 多めのソースをスパゲッティに絡めて食べてはどうだろう。


 想像して、首を振る。

 今日だけはナシだ。明太子の風味優先で!


 何しろ明太子は、そこそこのお値段だ。

 生ものだから、何日もかけて食べるわけにもいかない。

 買うときも躊躇する代物を、脇役にするわけにはいかん。


「であれば、生クリームもないな。じゃあ、ニンニクオリーブオイルはどうだ?」


 ニンニクで香りに奥深さが出そうだ。食欲も刺激されるだろう。

 ペペロンチーノがうまいのだから、ニンニク、オリーブオイル、唐辛子の組み合わせがまずいわけがない。


「でもな。今回目指すのは白米に明太子的なやつだから」


 なら、素直に炊き立てご飯に乗せればいいのだが、そうはいかない。

 やってみたいをやるから楽しいのである。

 守ってばかりではおもしろみがない。


「よし、これにしよう!」


 決めたのは、明太子に白だし、バターだけのレシピ。

 生臭くなるかどうかは賭けになるが、どうなったとしても食べてみせる。


 ぐらぐらに沸いた鍋の蓋を開ける。

 眼鏡が曇る。


 そこにギュッとねじったスパゲティ麺を、パッと入れる。

 するてっと、スパゲティ麺は四方に展開してくれる。

 菜箸で混ぜなくても、固まらないのでお勧め。


 スパゲッティ麺を茹でる隣で、明太子を包丁でほぐす。

 もったいないので皮も細かく叩いて食べる予定。

 白だし大匙イチに、バター10gを混ぜたら、あとは茹であがるのを待つだけ。


 茹で上がる直前にゆで汁をお玉一杯分ソースに入れ、バターを溶かす。

 そこへ湯気がもうもうと立つ麺を投入!


 ここからは、まぜるだけのソースと同じだ。

 なのに、混ぜるたびにウキウキしてしまう。


 混ぜても混ぜても、明太子ソースがあるよ!

 局所的にソースが絡まったりしてない。

 めっちゃ贅沢。


 海苔を乗せ、写真を撮る。

 思わず笑けたのは、海苔の太さのせいだ。


 まぜるスパゲッティソースに慣れてるからか、刻み海苔への要求値が高い。

 俺のは市販品のより四倍は太い。


「家庭料理の愛おしさっちゅーか、どんだけ不器用なんだか」


 文句を言うのも食べるのもセルフサービスなところがいい。


「さて、バターが勝ちすぎてないといいんだけども、どうかな」


 若干の不安を感じながら、頬張る。


「うまっ」


 すぐにフォークで荒く巻いた。一口にはやや大きいが食べてしまう。


 あぁ、明太子うま~。


 ちゃんと明太子が明太子の能力を遺憾なく発揮している。

 これででんぷん質のものを食らう幸せよ。

 皿に明太子ソースがほんのり残るのをスパゲッティ麺で集めて食べる。

 スパゲッティでソース多めが好きだから、これがたまらなく嬉しい。


 たった三つの材料でできる絶品明太子スパゲッティ! というところか。


 大葉を刻んだり、レモンをかけたりしてもよさげ。


「あ~、腹いっぱい。夕飯何にしようかな」

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