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2 Cill outな日曜 (ブランチ)

 深い眠りから目覚めて、布団の中でぼんやりする。


 今日は……、日曜か。


 ほっとして、寝返りを打つ。


 もっかい寝るか、それとも――。


 カーテンの隙間から入る光は、いつもより明るい。もういい時間なのだろう。


 そういえば、二度寝だった。寝坊しようと思っていても、いつもの時間に起きてしまう。悲しいかなサラリーマンの性だ。


 ベッドに座って眼鏡をかけ、大きくノビをした。


 飯でも食うか。


 ちゃんと二度寝ができた休みの日は、メニューはだいたい決まっている。むしろ、これを食べるために食材を残している。


 コーヒーを淹れながら、冷蔵庫から件の食材を取り出す。


 ハムかウィンナーなら切る。ツナならなおよし。それを卵に混ぜて、スクランブルエッグにする。それを食パンにはさむ。

 マヨにするか、ケチャップか、粒コショウを効かせてもいい。


 今日は――、チーズだな。


 焼きたてのスクランブルエッグの上で、チーズがやわこくなるのを見ながら、コーヒーをすする。

 眼鏡が曇る。


 大あくびをしながら、長袖Tシャツの裾で眼鏡をふく。

 SNSに投稿してから、のんびりとブランチをくらう。


 ザクザクした食パン、ふわふわのスクランブルエッグにチーズのパンチ。

 これぞ求めていた味。


 自分で作れば、いつだってカスタムメイド。その瞬間に食べたい味が食べられる。


 物足りない――。


 何しろ時間は昼だ。朝と昼、二食分腹が減っていても仕方ない。


 こんなとき、二枚目の食パンがあれば幸せで、確かめずともあってしまう。

 自宅は楽園だ。


 一枚目よりは、いくばくかの余裕があるから、二枚目はバターを塗る。焼く前に軽く、そして、少し温まって食パンの表面がカリッとなってから追いバター。


 ジュワッ、カリっのためには手間は惜しまない。

 面倒くさくとも、かまわない。


 うまいもんを食べる。ただこれに尽きる。


 溜まった仕事も忘れ、出るべき電話もなく、誰にも呼ばれず、己のためだけに生きられる。何と贅沢な時間だろう。


 食卓を兼ねたこたつ机で、ベッドに背を預けて伸びをした。


 満ち足りているのに、スマホを起動してしまった。

 楽園で世俗と繋がってしまう。


 いつメンに混じって、後輩からのいいねが届いていた。いいね返しすれば、どうやら山登りに出かけているらしい。


 どこでも繋がってしまうのは便利なのか?


 それにしても、休みの日に、出かける人ってすごいな。


 後輩などは、予約を取ってキャンプにも行くらしい。フットサルに行くのもいる。


「休みの日まで家に居たら、腐るぞ」


上司もそう言っていた。


 二度寝からの、ブランチ、まったりとコーヒーを飲むのが一番リラックスできる。

 そんなヤツがいてもいいではないか。


 俺は、出かける人がすごいと思いこそすれ、憧れてはいない。人それぞれなのだ。ただ、誘ってはくれるな。人と出かけるのは俺にとってはオンなのだ。


「さて、今日は来週のために買い出しに行こうかね」


 いざ、未来の楽園のため、出発。


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