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転生と少女と魔法技術と戦争  作者: 紫と雪と狐
ファイアボール
9/12

唄姫(1)

入学審査から更に2か月が経ち、ちょうど自分が比較的気軽に歩けるようになる頃、士官学校の講義が始まりました。


入学式典を経て、今日が初めての授業日です。


午前中は屋外での体力訓練や、実戦を想定した戦闘指導に関する科目ばかりでしたので、自分は1人で、校舎の中にある座学用の教室で、事前に手に入れたシラバスを読んで時間を潰していました。


よく読むと、中々懐かしい名前がシラバスに載っていました。



『対魔術基礎訓練』



名前だけ、ほかの科目とまるで違う雰囲気出していますが。自分が知っている限り、これは単なる基礎体力訓練と火消し作業訓練の組み合わせです。


町の火消しと区別するためか、だれかわざと格好いい名前を付けたということでしょうか。


自分のような、新兵教育終えて、戦場で一か月くらいしか滞在したことのない小娘でも分かることですが。帝国軍火球魔術(ファイアボール)に対して、よく言えば全身全霊を持って対処してきました。悪く言えば、全く成すすべなく、ボロボロされるの待つしかないと言えましょ。


連邦軍の火球魔術(ファイアボール)は、平坦の地形であれば1㎞以上離れた先からでも撃ってくきます。


人に当たれば、飛んできた距離などにより火力に若干差がありますが、最低でも一瞬で当たる場所が黒炭に焼かれてしまいます。


しかも、数がとても多いです。その上、弾薬が置かれていた場所や、キャンプなど燃えやすい場所に当たると、被害が瞬く間に広がってしまいます。


なので、しっかりした防熱服を着て、火消し装備で待機するのが、対魔術小隊の主な任務でした。


因みに、防熱服というのは銀色でフード付き、頭から足まで全部覆うような構造していましたが。重さは大したことなく、特殊な金属を取り込むことで、一般人が着込んでも普通に走れるようにデザインされたそうです。


しかし、自分は初めてそれを身に付けた状態でランニング訓練に参加した時。走るところか、歩くことが背いっぱいでした。


隣で指導していたケットラー小隊長は、手本を見せるといって、一気にダッシュして10週したこと今でもはっきり覚えています。


小隊長、みんなは今まだ元気でしょうか。黒炭になっていないといいですが…



『君も負傷兵かな?この時間に教室で何をしている?』



色々考え込む自分の耳元に、若い男の声が響きました。



『1年でもこの時間座学の授業ないだろう?よくそんなに熱心だな』

『はい…いいえ。自分はただ、教室の場所に馴染むために、ちょっと早目に着いただけです。』

『ああ…わりぃ。畏まなくていい。俺もただの候補生だ。怪我してちょっと暇だからウロウロしてたんだ』



言われて見れば気が付きますが、この男の外見は多分20代くらいでしょう。


帝国の士官学校は、帝都市民であれば戦場経験なくても入れますが、帝都以外の出身は必ず何か戦功たてないと入れません。たまには自分のような訳の分からない入学者もいます。


なので、基本候補生同士は同階級のように接するのが決まりだそうです。


入学審査のあと、髭の男から聞いた話ですが、この状況から考えると信憑性は高そうですね。



『自分の名前はアンナ・ベーメンと言います。アンナと呼び捨てで呼んでいただいて構いませんが。お名前をお伺いしても宜しいですか』

『アンナか、俺はトーマス・メッツっていうけど、トーマスでいいぞ、よろしくな』

『はい。よろしくお願いします…トーマスくんも、どこかお怪我をされたんですか』



トーマスくんの体をパーッと見て、どこも傷口らしいところが見当たらりませんでした。



『ああ、そっか、ズボンに隠れて見えないのか、足だよ足、ほら~』



そう言って、彼は右足のズボンの裾を少し上に上げます。


彼の右足の赤く腫れ上がった皮膚の上に、焦げた皮膚の黒い模様が刻まれていました。



『火傷ですね。トーマスくんは、一体どこでそんな傷を…』



連邦軍の火球魔術(ファイアボール)にやられたとしたら、こんな程度で済まないはずですが…



『訓練だよ。訓練、アンナちゃんは1年だから、まだ知らないかもしれないけどさ。最近連邦軍の火球魔術(ファイアボール)を模倣って、短距離だけど火を放つ火炎放射器が作られてさ。それの威力を弱めたやつで、火が飛んできた時避けるようにする訓練だよ』

『ええ…そうなんですね』



この訓練自分が新兵教育の時受けたことなかったですが、もしかしたらこれからやらされるかもしれませんね…



『本当に、ちゃんと避けれるんですか?』

『俺が通うコースが特殊でさぁ、みんな反射神経やばいやつ集められてたんだよ。怪我をしたのは俺だけだからさ』



特殊なコース…その話なら、自分もやらされるのは余計な心配でしたね。



『ところで、アンナちゃんこれから午後座学の授業あんだろう。1時限目の先生のこと聞いてもいいかい?』

『は、はい。マクシミリアン・H・フンボルトという名前で、対連邦作戦研究の専門家だとシラバスに書かれていますが。』

『ああ、あの少将から退役したと噂される偉い人か』

『ええ…どういうお方なんでしょうか』



少将なんて、この国に何人いるか自分は知りませんが。すごい偉そうな方だということは分かります。



『連邦の成立が宣言される前から、今連邦が支配する地域で情報活動行っていたそうだ。それで最近正体気付かれて、帝国に逃げ帰ってきたが。年齢で後方に送られたらしい。』

『そんなすごい方なんですね』

『ああ、帝国にあの人より連邦に詳しい人ほかいねーだろ。ただなぁ…』


トーマスくんが急に釘をさすような目で自分を見つめます。



『あの人の授業を、特に最初1回目の授業を受ける時、絶対頭を下に向いたり、目を離しちゃダメだぞ』

『は…い?それは…一体なぜでしょうか?』

『内緒だ。一回、授業受けてみたら分かるだろう。』

『はい…』



トーマスくんは意地悪なんですね。


でも、そろそろ昼休憩の時間ですし、これ以上問い詰めるのはやめておきましょう…


でも、なぜか気になりますよね。


と色々考えた自分ですが。結局トーマスくんと違う話で色々語り合って、一緒に昼ごはん済ませた後も、答えを聞き出せませんでした。



























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