とあるエトルミシア帝国前線国境守備兵は語る(1)
俺には前世の記憶がある。
前世は日本という平和な国で、高校生として暮らしていた。
学校での成績もそこそこ優秀だったが。
さらに、俺にはFPSという銃のゲームの才能もある。世界レベルの大会に出ていくつかの賞を取るくらい、俺は上手かった。
俺が前世で死んだ日は、初めて世界大会で1位を取った日だった。
仲間たちと別れて、1人での帰り道に一匹の黒猫を見かけた。その猫の背後から、走って来た車が猫にぶつかろうとしていたの見て。
俺は、なぜか体が自然に動いた。賞状を捨て、その猫のところに突っ走った。
『ドン』
いつの間にか、俺の目の前に白い光が浮かんでいた。そして、少し時間が経つと自然と散らかった。
女の人が俺の前に現れた。
『私はあなたのいる地域を担当する、所謂『神』と呼ばれていますが。この度、眷属がご迷惑おかけして、本当に申し訳ありませんでした。』
女の人の腕の中には、さっきの黒猫が抱かれていた。
『本来貴方は、ここで死ぬべきじゃなかったです。なので、特例中の特例ですが。私の上司が管轄する地域に、今の貴方の記憶を保留させたまま、転生させてあげることが出来ますが、いかがでしょうか。』
要するに、小説やアニメとかでよく見る異世界転生ファンタジーっていうやつかな。
『いいだろう。でも、俺って普通の人間として生活していくのかな?何か異能とかもらえない?』
生まれ変わる世界にもよるが。普通の人として生まれたら、異世界ファンタジーになるところか、生まれてすぐ死んでしまうことだってあるだろう。
だから、俺は大胆に目の前にいる、神と自称する女に要求した。
『そうですね。どんなものが宜しいでしょうか』
と聞かれて少し困るが、もうちょっと転生先の情報が欲しい。
『俺がこれからいく世界って、魔法とかある?武器とか科学はどのくらい発展してるかな』
『そうですね。前に上司から聞いた、かなり曖昧な記憶ですが。貴方がこれから向かう世界の魔法は、火球魔術でいうと、精々木に火傷付けるくらいではないでしょうか。』
女は一度話を止めて、何かを思い出そうと努力して、眉を顰める。
『武器とか、科学は…よく覚えていませんが。銃とか大砲は出来ていたと思います。因みに、転生先の国も選べることができますが、その世界で一番科学が発達した国にしますか?』
なるほど。銃とか大砲がある世界なら答えは決まってる。俺はFPSってゲームが得意いからね。
科学は…、魔法がそのレベルなら、もちろん科学が進んだ国に生まれたほうがいいだろう。
『生まれる国は一番科学進んだところがいいと思う。あと、異能は、何か銃や爆撃から生き残れるやつにして欲しい。』
この異能があれば、その世界に行っても順風満帆に生き残れるだろう。
『畏まりました。それでは、こんな下っ端の『神』が持つ僅かなる奇跡で申し訳ないですが…
貴方に如何なる銃撃や砲撃も当たらないようにしてあげますね。それでは、良い人生を~』
女の声と共に、俺の意識がどこか深いところに沈んだ。
俺の生まれ変わり先は、エトルミシアという名前の国だった。
この世界の学校で習う地図を見る限り、前いた地球とは大陸の構造がまるで違う。
俺が今いるエトルミシアという名前の国は、北だけ大陸と接する所謂半島国家で、面積は前世いた日本の半分も満たさないが。海に接する首都アテネウスは数千年の歴史を刻むと言われている。
近代に入り、工業革命や技術革命が進展する中、エトルミシアは急速に海外植民地を確保。その結果、約半世紀前から帝国と称するようになった。
俺が生まれたベーメンという名前の町は、この国で唯一、海を跨らない北の国境線上にある。
そして、そこの平市民として生まれた俺は、最低従軍年齢の15歳になると、従軍の道を選び、ベーメン近辺に駐屯地のある国境守備部隊に配属された。




