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転生と少女と魔法技術と戦争  作者: 紫と雪と狐
ファイアボール
3/12

遭難(2)

ガチャッ――






もうこのままユーリくんに撃たれると思っていたところ、急にドアの開ける音がしました。






【%&&$#$#$#】


【#%$#&#$#】






ユーリくんがだれかと、連邦語で話しています。




自分の額から、銃の当たる感覚が消えました。




気になるので、一度目を開けます。




そうすると、目の前に1人の中年男が立っていました。彫が深い顔で、頭頂部にはいくつかのシルバーストリークが現れています。




彼と何かの言葉を交わしたユーリくんは、なぜか黙ったまま退室していきます―――




そして、部屋に自分と中年男の2人が残されました。




状況はよく理解できませんが。この男が新しい拷問官でしょうか。同じ痛いことされるなら、ユーリくんにしてもらいたかったけど、仕方ありませんね。




自分には逆らう力がないですから。




しかし、中年男は自分の顔見て、急に泣き出しました。




彼は目を大きく開け、涙が彼の眼窩から零れ落ちているのが見えますが。




なぜ、自分を見て泣いてるでしょか。




自分はこの光景に隠せない戸惑いを感じてしまいました。






【$&%$&$%&】






連邦語は理解できませんが。彼はなぜか自分の拘束を解いていきます。




縄が全部外されたら、今度は自分の手を強く握り締めます。






【あっ…、ごめんなさい。いた・・・いです】






握られた手から伝わる激痛で、思わず言葉が漏れてしまいましたが。




彼は一瞬だけ戸惑った顔して、自分の指の傷に気付いたか―――




また、自分を見て涙を蛇口の水のように流します。




ほんと、変な人ですよね。




彼の目線は、一度自分の全身を通して最後に足の当たりで止まりました。




爪の剥がれた跡が気になったでしょうか。




【$&%$&$%&,$&%$&$%&$&%$&$%&!】




とよく分からない呟きと共に、自分の体が座っていた椅子から離れていきます。




体が彼によって、抱き上げられたのでした。




この感覚は…なぜか懐かしい匂いをがします。やっと、彼が泣かなくなりましたが、今度は死んだ恋人でも見てるかのような目で、自分を見つめてるのはなぜでしょうか。




彼に抱き上げられたまま屋外に出ると、車が一台止まっていました。




彼は自分の体をガラス細工を扱うかのように、すごく丁寧に、車の後ろの席に置くと。




前の席に戻って、車を起動します。






【あの…自分はこれからどうなるでしょうか?】






あまりにも、状況が変化しすぎて、自分でも自分が何しているかよく分かりません。




この質問に対する彼からの返事は、もちろん何もありませんでした。




どのくらい時間が経たか分かりませんが。自分はいつの間にか、座った姿勢のままで寝てしまいました。






【#$%$#&%$$#】






中年男の声で目が覚めたかと思ったら、鞄を1個渡されました。




これを背負って欲しいということでしょうか。重くはなさそうですし、そもそも逆らえないので仕方ないですね。ちょっと傷に当たって痛いですが…




車から降りると、中年男はいきなり腰から軍用ナイフを取り出します。




やはり自分はここで殺されると思ったら、中年男はそのナイフで自分の靴の先端に穴を作り始めました。




穴掘り終わった靴が、まるでスリッパのような形になりました。




自分の足に、中年男がまたガラス細工を扱うかのように、靴を履かせてくれました。






【$%%#&&$$#】






中年男の言ってる言葉はよく分からないけど、自分に優しくしていることはよく分かりました。




なので、中年男が指である方角を指して、恐らく走れというニュアンスを伝えたいと思った時。




自分は素直に中年男が指した方向へ、全身の、特に手と足から伝わる痛みを我慢しながら走りました。






パーン






少し走り出したところで、後ろから銃声が聞こえました。




でも、自分にはそれに気を遣う余裕がありません。




ここの地形は、よく見ると、自分のよく知ってる場所




―――エトルミシア北方面軍 対魔術戦闘第207小隊の駐屯地は、ここからあと1㎞もしないと分かった自分は、もう一度走り出そうとしましたが。




意識のほうが先に体から抜けてしまったようでした。
















【貴様は一体、どこで何をしてたんだあ】


【ケットラー小隊長殿、事の経過は自分が先ほど述べた通りですが…】


【あんな戯言、俺が信じても上の連中は信じねーよ!どうやって報告書かくっていうんだ】






目が覚めると、自分がまた、また・・・拷問用の椅子に座らせられていました。




しかし、爪の無くなった所はしっかり包帯が巻かれ、ほかの傷口もある程度治療された状態でした。






【あの…、すいません。小隊長殿、自分を縄で縛らないのは小隊長殿のご判断でしょうか】


【貴様のようなチビを縄で縛る必要が一体どこにある!?寝言は寝てから言え】


【はい。申し訳ありませんでした。それでは、拷問はされないということで宜しいでしょうか…】


【するにしても、その傷が治ってからだなぁ。お前をその椅子に座らせとかなきゃ、情報部の奴らに見られるとまた口うるさく言われんから我慢しろ】






ケットラー小隊長殿には申し訳ないが。自分はこれでも結構我慢しています。もうそろそろ…泣いてもいいでしょうか?






【伝令です!アンナ・ベーメン二等兵はいますか】






外から、知らない人の声が聞こえました。






【貴様はそこで待ってろ。俺が聞いてくる】






ケットラー小隊長は言葉通り、ドアに向かって歩きました。




そして、戻ってきた時には、右手に青い封筒が握られています。






【貴様に北方参謀本部から直々の伝令だそうだ】


【はい…お手を煩わせて申し訳ありません!伝令をご拝借しても宜しいでしょうか】


【おまえのその手じゃあ、読めねぇだろう。俺が読んでやからジッとしてろぉ】






小隊長は、自分の返事待たずに封筒を開けました。




ここは、一度お言葉に甘えますか。






【了解しました。ご厚意感謝いたします】


【…なげぇから、重要なことだけ伝えとくぞ!アンナ、貴様は士官学校に入学するらしい】


【はい…士官学校…でありますか】






聞いたことはありますが、自分のような新兵が入学していい所ではないはずですが…






【そうだ。入隊一か月で士官学校は異例中の異例だなぁ。貴様ほんと一体何したんだろ】


【自分は…なので、先ほどから申し上げている通り…】


【ああ…わりぃもうその弁明はいいよー、俺も報告書かかんなくて良くなったからなぁ】


【はい…ありがとうございます】






ケットラー小隊長は、なぜか少し嬉しそうな表情を浮かべます。






【貴様もう今からベッドで休んでいいぞ!】


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